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ボウイやビーチ・ボーイズの曲を収録、アバのフリーダの名作『Frida Ensam』

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アバ在籍中に初めて録音され、のちにアバを世界的トップに導いた新曲「Fernando (邦題: 悲しきフェルナンド)」を含むフリーダのセカンド・ソロアルバム『Frida Ensam(英題: Frida Alone)』の慎重なマーケティング戦略は天才的なひらめきだった。彼女のソロ・ヴァージョン「Fernando (邦題: 悲しきフェルナンド)」は商業上、彼女の自国で単独のシングルとしてリリースされることはなかったので、この大ヒット・ラジオ曲を入手したがったファンには11曲入りのアルバム『Frida Ensam』を購入るように仕向けられ、その結果1975年後半からその翌年までに約13万枚を売り上げた。唯一、隣国のノルウェーのみ「Fernando」のシングルをリリースし、今ではアバ関連のレア盤シングルとしてコレクターから高く評価されているが、当時は惜しくもチャート入りを逃している。

シングル『Waterloo (邦題: 恋のウォータールー)』とアバのアルバムの仕事を優先し、不可抗力的にそのためのレコーディングのセッションやプロモーション業務が遮られ中断を繰り返しながら、『Frida Ensam』 のレコーディングは18ヶ月もの期間に渡った。アルバムは「Fernando」を除いて、当時のフリーダの婚約者であり、バンド仲間だったベニー・アンダーソンがアルバムのプロデュースを行ったので、2人の多岐にわたる音楽の好みが反映したカヴァー集となった。10ccの「The Wall Street Shuffle」のカヴァーや、より親しみのある、軽快で、それよりも数年早くクジーニ・ディ・カンパーニャによってリリースされたイタリアのパワー・バラードの「Anima Mia」などが収録され、バランスが取れていた。

ほかのカヴァー・プロジェクトのように、新鮮な解釈は良くも悪くもあり、1968年の世界的なヒット曲であるゲイリー・パケット&ザ・ユニオン・ギャップの「Young Girl」 (「Jag är mej själv nu」というタイトルでカヴァー) に関しては、悲しげなバラードが軽快なカリプソのオーケストラによって作り変えられていたのには驚かされた。デヴィッド・ボウイの「Life On Mars (邦題: 火星の生活)」(カヴァー・タイトル:「Liv på mars?」) ではあまりいろいろ混ぜ合わせないように試み、この愛された名曲の数々あるカヴァーに全く引けを取らないものだった。ビーチ・ボーイズの「Wouldn’t It Be Nice (邦題: 素敵じゃないか)」(カヴァー・タイトル: Skulle de’ va’ skönt)は、これもまた軽快なポップの感性を表面化させた非常にストレートなアレンジで、ベニーとビョルンの歌集からそのまま出てきたかのような解釈だった。

Frida Ensam Album Record Label (ABBA Solo)アルバムは、元の曲とのコントラストを面白く見せるためにフリーダの母国語、スウェーデン語の歌詞によってレコーディングされた。「The Wall Street Shuffle」は「Guld och gröna ängar (英訳: Gold And Green Fields)」として作り直されたが、ほかの翻訳はより文字通りに行われ、実際には、言葉が理解できようが出来まいが、フリーダのパワフルなヴォーカルのおかげでこのカヴァー集は自信に満ちた作品となった。

アバの音楽の多くを支え、一貫性のある人気を今日まで維持したヨーロッパ風なフォーク・ポップ「シャラガー」というスタイルでフリーダが早々に成功を収めるのは明白だったが、スティーヴン・ソンドハイムのミュージカル『リトル・ナイト・ミュージック(原題:A Little Night Music)』からの一曲「Send In The Clowns 」(カヴァータイトル: Var är min clown)に対する心に残る彼女のカヴァーは、アルバムの中でも傑作となり、彼女のシャープで透き通ったヴォーカルを空想的な印象に見せている。一流ライターのテオドール・カリファテイデスはフリーダについて「まるでリスナーの心にもそうであるぐらい繊細に、彼女の声は音を表現している」と記し、この作品はその発言を非常に簡潔に要約していた。

アバのすべてのソロ・プロジェクトに、聴く者を魅了するスーパーグループの青写真がどれだけ反映されていたのか?ということはあまり聞かれないが、これは芯となる質問だ。『Frida Ensam』は生粋のポップ・アルバムであり、一世代に一度のフリーダの歌声は慣れ親しんだ名曲達を自由に歌いのけ、あまり知られていない曲は確実に心地よいアレンジに仕上げられていた。それは見事に渾然一体となった4人のミュージシャンによる化学反応のおかげでもあったが、それぞれ1人ずつに十分過ぎる魔法が備わっていたという多くの証拠であろう。

Written by Mark Elliott


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