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オーケストラ・ロック楽曲25選

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1967年2月10日、ストリングス等によるロック・ミュージックとしては史上最も後代に影響を与えることになるレコーディング・セッションの為に、アビイ・ロードのスタジオ・ワンでオーケストラが集められた。元々はミュージシャン90人が参加予定が、最終的にレコーディングに参加したのは40人だった。そしてこの時レコーディングされたのは、ザ・ビートルズの「A Day In The Life」の素晴らしいオーケストラル・セクションであり、その音は同曲を非常に素晴らしいものにしている。

The Beatles – A Day In The Life

ザ・ビートルズが交響楽的な要素を自分達に取り入れて以来、多くのバンドやソロ・アーティストが様々な規模のオーケストラと仕事をし、例外なく特別で時には個性的な”何か”が様々な楽曲に付け加えられてきた。交響曲やシンフォニー、オーケストラという単語を聞くと我々はどういうわけか、プログレッシヴ・ロックを、つまりあの非常に難解で派手な演奏と壮大なコンセプトによるブリティッシュ・スタイルの音楽を連想してしまうが、このスタイルを取り入れているアメリカのアーティストも数多くいる。

ザ・ビートルズがアビイ・ロードにいたその年、過去にザ・ローリング・ストーンズと組んだことのあるプロデューサー&アレンジャーのジャック・ニッチェは、ストリングス・セクションとオーボエ奏者を編成し、バッファロー・スプリングフィールドの「Expecting To Fly」を支える美しいオーケストラ・パートを作り上げた。

同じ頃、1967年10月にイギリスで、ムーディー・ブルースはピーター・ナイトが指揮するロンドン・フェスティヴァル・オーケストラとともに、アルバム『Days Of Future Passed』の最後の仕上げを行なっていた。それがアルバムの中心にある美しいナンバー「Nights In White Satin」だ。革新的で独創性に富んだその内容にもかかわらず、それに相応しい評価を得ていないアルバムだ。

Nights In White Satin

さらに最前線にいるバンドとしてもうひとつ挙げられるのが、ディープ・パープルだ。それは少なからずジョン・ロードの優れた才能に負うところが大きい。彼等の『Concerto For Group And Orchestra』はグループとオーケストラのコラボレーションの決定的瞬間だ。

同じく別の意味でプロコル・ハルムも挙げられるだろう。彼等の『A Whiter Shade Of Pale』は名作達に影響を受けてはいるもののオーケストラはフィーチャーしてはないが、別のアルバム『Conquistador』ではオーケストラと共演、これまた同じくらいに素晴らしい作品に仕上がっている。

The Royal Albert Hall – Ian Gillan (the best performance) in Concerto for Group and Orchestra 69

その他ムーディー・ブルースのオーケストラ共演の跡を継いだのは、バークレイ・ジェームス・ハーヴェストの名作の『Mockingbird』、ジェントル・ジャイアントやキャラヴァン…どれもサウンド及びオーケストラの使い方が骨の髄まで英国的であった。同じことがピンク・フロイドと1970年の『Atom Heart Mother(邦題:原子心母)』にも言える。

これは多くの人にとって、ロックの聴き方を変えたアルバムだ。レッド・ツェッペリンの1975年作品『Physical Graffiti』収録の「Kashmir」がそれまでと異なるアプローチを試したように。

更に1970年、ピンク・フロイドが大西洋の向こう側でまるで異なる音楽の方向性を探求していた頃、スタジアムを満杯にしていたグランド・ファンク・レイルロードは、「I`m Your Captain (Closer To Home)」でオーケストラに取り組んでいた。まだ聴いていない人は、きっとビックリするだろう。

Closer To Home (I'm Your Captain)

我々がまとめた25曲のリストの中には、あまり知られていない逸品も幾つか入っている。キング・クリムゾンの卒業生(*訳注:イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズ、ピーター・ジャイルズ)によるユニット、マクドナルド・アンド・ジャイルズのアルバム『MacDonald & Giles』の最後に登場する美しい「Birdman」もあれば、アンブロージアがアーロン・コープランドあるいはファーディ・グローフェを探求した「Cowboy Star」や、アメリカ人オルタナティヴ・ロックバンドのマーキュリー・レヴの「The Dark Is Rising」も入っている。

ロックとストリングス混合の荘厳なこれらの作品は新しく感じられるかも知れないが、英国産バンドのアラームの「A New South Wales」でもアレンジャーのトニー・ヴィスコンティは同様のことを行なっている。

もうひとり‘プログレ専門家’でオーケストラを多く駆使しているのはイエスだ。イエスのリッチー・ヘイヴンスのカヴァー曲「No Opportunity Necessary, No Experience Needed(チャンスも経験もいらない)」には映画『大いなる西部』ジェローム・モロス作曲のサウンドトラックの一部が引用されている。

その後イエスにはリック・ウェイクマンが加入し、彼はキーボードでオーケストラと同じような仕事をこなすようになり、実際にオーケストラを使う必要はなくなった。しかし、リック・ウェイクマンは自身のソロ・アルバム『Journey To The Centre Of The Earth(地底探検)』ではロンドン・シンフォニー・オーケストラを使っていたりもしている。

YES – No Opportunity Necessary, No Experience Needed

同列に並ぶのは同じくイングランド出身のバンド、ルネッサンスだ。彼等の「Song Of Scheherazade」は非常に過小評価されている名曲。逆に大絶賛を受けたのがELP(エマーソン、レイク&パーマー)で、ロシア人作曲家ムソルグスキーの楽曲のリメイク『Pictures At An Exhibition(展覧会の絵)』は、まさに堂々としたオーケストラ作品。今回は1977年にカナダ・モントリオールのオリンピック・スタジアムでレコーディングされたライヴ・ヴァージョンを選んでみた。

それからロックやメタル・バンドが抱いているオーケストラ愛も忘れてはならないし、それを最もよく示しているのがエアロスミスとメタリカだ。後者が1999年にサンフランシスコ・シンフォニーと共にレコーディングした「Master Of Puppets」は大傑作だ。

レディオヘッドは70年代アート・ロックからの論理的成長をし、オーケストラが参加の2000年発表アルバム『Kid A』がそれを証明している。

オーケストラを駆使しながらまるで異なる結果を生み出しているふたりのソロ・シンガーはエルトン・ジョンとダン・フォーゲルバーグだ。エルトンの「Burn Down The Mission」はこのシンガー最高の瞬間のひとつであり、ダン・フォーゲルバーグの「Nether Lands」もまた然り。

そして最後に、オーケストラ・ロック・トラック最高傑作25選の中から、ザ・ダムドと彼等がカヴァーしたバリー・ライアンのナンバー「Eloise」を挙げよう。愛さずにはいられない作品だ!

Eloise (Extended Version)

(*本記事およびリストは本国uDiscovermusicの翻訳記事です)


♪プレイリスト『オーケストラ・ロック楽曲、最高傑作25選』を聴く:Spotify



 

 

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