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2026年Brit Awards新人部門ノミネートの3組:ローズ・グレイ、ジェイコブ・アロン、シエナ・スピロ

2026年ブリット・アワードの“クリティクス・チョイス賞”の最終候補として、ローズ・グレイ(Rose Gray)、ジェイコブ・アロン(Jacob Alon)、シエナ・スピロ(Sienna Spiro)の3組が選出された。
“ブリッツ・ライジング・スター賞”から改名された同賞は、英国音楽の未来を担う新人アーティストを見出すために2008年に創設。受賞者は、メディア、放送、音楽業界の新進音楽に精通した有識者チームによって選出され、英時間2026年2月28日にマンチェスターのコープ・ライヴで開催される(ロンドン以外の都市で開催されるのは今回が初)ブリット・アワードの授賞式に先駆け、1月に発表される。
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クリティクス・チョイス賞”とは?
“クリティクス・チョイス賞”は、キャリア形成の入り口に立つアーティストへスポットライトを当てることを目的としており、ノミネート条件として、2025年10月31日の時点で、全英アルバム・チャートでTOP20入りを果たしていない、もしくはTOP20シングルを1曲以上リリースしていないことが定められている。
審査を務める有識者チームは、同賞が創設された2008年にアデルを初の受賞者として選出したことで、その先見性をすでに証明していた。その後の受賞者も、サム・スミス、フローレンス・アンド・ザ・マシーン、ホリー・ハンバーストーン、エリー・ゴールディングといった実力派が続き、昨年は、「Stargazing」のヒットで注目を集めたマイルズ・スミスが選出された。
ローズ・グレイ(Rose Gray)
ローズ・グレイは、英国イースト・ロンドン、ウォルサムストウ出身のシンガーソングライター。90年代のUKレイヴ・カルチャーやブリットポップ、トリップ・ホップに強く影響を受けたサウンドを特徴とし、それらを現代的なダンス・ポップへと昇華させている。
2021年のミックステープ『Dancing, Drinking, Talking, Thinking』などで見せた、ノスタルジックでありながらも新鮮な音楽性は批評家からも高く評価され、マドンナやカイリー・ミノーグといった往年のポップ・アイコンの系譜を継ぐ存在として、英国音楽シーンで期待を集める注目のアーティストである。
ダンス・ポップのデビュー作『Louder, Please』2025年1月にリリースして以来、グレイはケシャやシュガーベイブスとのツアーを経験し、自身のヘッドライン・ツアーも開催。さらにアルバムのデラックス版『A Little Louder, Please』も10月にリリースしている。
このノミネーションを受けて、彼女は次のようにコメントしている。
「このノミネーションに本当に感激しています。この瞬間は、この旅がどれほど自分を遠くまで連れてきてくれたのか、そしてこの1年がどれほどクレイジーだったかをあらためて思い出させてくれる特別な出来事です。ちょうど1年前、私はアルバム『Louder, Please』が旅に出て、聴くべきリスナーと出会い、真に輝きを放つことを強く願っていました。そしてそれは実現したのです。この作品をリリースしたことで、私の人生は本当に変わりました。この旅路に関わってくれた全ての人に心から感謝しています。これから訪れる未来が待ちきれません」
ジェイコブ・アロン(Jacob Alon)
ジェイコブ・アロンは、スコットランド・エディンバラ出身のシンガーソングライター。彼の音楽の核心は、聴く者を別世界へと誘うような、繊細かつ力強いファルセット・ボイスにある。
複雑なアコースティック・ギターの旋律と絡み合うその歌声は、ジェフ・バックリィらを彷彿とさせる神聖な響きを持つ。自身のクィア・アイデンティティや家族との葛藤、喪失といった深淵なテーマを、むき出しの感情で綴る歌詞も特徴的だ。楽曲「Fairy in a Bottle」などで見られる、美しくもどこか痛みを帯びた世界観で、
今年、ジェイコブはデビュー・アルバム『In Limerence』をリリースし、イギリスおよびアイルランドでその年にリリースされた最優秀アルバムに贈られる“マーキュリー・プライズ”にノミネートされたほか、ジュールズ・ホランドのTV番組やグラストンベリー・フェスティバルへの出演、BBC Radio 6 Musicによる“今年のアーティスト”に選出、さらにスコットランド人として初めてBBCイントロデューシング・アーティスト・オブ・ザ・イヤー2025にも選出されている。
ジェイコブ・アロンも声明でこう述べている。
「最高の気分です。僕の作品を評価してくれたレジェンドの皆さん、ありがとうございます。僕は英国人である前にスコットランド人とアイルランド人ですが、それでもブリット・アワードの批評家の方々がこうして認めてくれたことに感謝しています。僕はこの音楽を心から大切に思い、信じています。この作品が誰かの心に届くたびに、僕の世界が明るくなります。このノミネーションがきっかけで、より多くの素敵な人々がこのささやかなアルバムに何かを見出してくれることを願っています。‘Mon the gays!’(ゲイのみんなに幸あれ!)」
シエナ・スピロ(Sienna Spiro)
シエナ・スピロは、ロンドン出身のシンガーソングライター。彼女の最大の武器は、10代という若さからは想像もつかないほど成熟した、スモーキーで深みのある歌声だ。
ジャズやソウル、R&Bをルーツに持ち、ピアノを基調としたバラードで見せる圧倒的な表現力は、エイミー・ワインハウスやアデルといった英国の偉大な歌姫たちの系譜を感じさせる。TikTokなどのSNSでのバイラルヒットをきっかけに注目を集めたが、その実力は本物であり、むき出しの感情を歌い上げるパフォーマンスで多くのリスナーを魅了している英国ポップ・ソウル界の期待の新星である。
2025年2月にはデビューEP『Sink Now, Swim Later』を発売し、2025年11月にリリースした「Die on This Hill」は英国シングルチャート9位を記録し、ブレイクを果たしている。
Written By Hannah Zwick
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