リナ・サワヤマ(Rina Sawayama)、完売となった東京公演で宇多田ヒカルの「First Love」を披露

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All Photo by Sotaro Goto

1990年、新潟で生まれ5歳の頃に渡英。それ以降ロンドンをベースに活動を続け、2022年9月16日に発売されたセカンド・アルバム『Hold The Girl』が日本人アーティストとして史上最高位となる全英アルバム・チャート3位を記録したリナ・サワヤマ(Rina Sawayama)。

先日発表された英国最大の音楽賞「ブリット・アワード 2023」の新人賞にノミネートされるなど、大活躍している彼女が2023年1月に初の単独来日公演を実施。その反響は大きく、Twitterでは「Rina Sawayama」やライヴでカヴァーを披露した宇多田ヒカルの「First Love」がトレンドに登場した。その東京公演ライヴ・レポートを公開。

また東京公演のセットリストも公開されている(こちら)。

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完売の公演

ジャパン・ツアーは1月17日の名古屋公演を皮切りに、1月18日に大阪公演、1月20日にツアーファイナルを東京公演で迎えた。ここでは最終日であり、完売となった東京ガーデンシアターで行われた東京公演の模様をお伝えする。

東京公演の会場内では、『Hold The Girl』のTシャツを着た若いオーディエンスや無類の音楽好きであろうエルダー層が訪れており、老若男女問わず多様なオーディエンスがリナ・サワヤマの凱旋ライヴを観るために足を運んでいた。

ステージ上には階段を上り下りするための特設ステージが設置されており、豪華なライティングが印象的な作りとなっている。今回、リナはダンサー2名、ギター1名、ドラム1名の計4名を引き連れてステージに立った。

ツアータイトルでもある最新作『Hold The Girl』からの冒頭曲「Minor Feelings」でステージの幕を開けた。その後、息つく間もなくシングル「Hold The Girl」を披露。オーディエンスにクラップを呼びかけ、会場の溢れんばかりの一体感とエネルギーがオープニングから生まれた。リナはジャパン・ツアーでのMCは全て日本語で行い、この日も「ここがみんなにとってのセーフスペースにしてほしいから、近くの人に挨拶してみて!」と会場が愛とリスペクトに満ちた空間であるようにしている姿勢が印象的であった。

その後も、母親へと捧げた爽快なシングル「Catch Me In The Air」や日本航空JAL 国際線キャンペーン CMイメージソングにも先日決定したばかりの「Hurricanes」を披露。強烈なライティングで観客を魅了した後に、「Your Age」「Imagining」「STFU!」「Frankenstein」といったダークでインダストリアルでメタルな世界観へと誘った。「Frankenstein」では、緑の証明のなかゾンビを模したダンスムーブを見せ、会場を沸かせた。

雰囲気は徐々にエモーショナルな方向へと進み、ファン人気の高い「Bad Friend」や非常にコンセプチュアルなバラード曲「Send My Love To John」、そしてエルトン・ジョンがゲストシンガーとして参加したシングル「Chosen Family」を力強く歌い上げる。

宇多田ヒカルのカヴァー

そして、東京公演のライヴ前にリナは自身のインスタグラムで「これまでやったショーの中で1番規模が大きいので記念にスペシャルな邦楽カバーを歌おうっかなーどの曲にしようか?」とファンへ邦楽カバーソングのリクエストを呼びかけていたが、その楽曲を披露する前に次のように語った。

「このアーティストがいなかったら、この曲がなかったら、私、たぶん、ミュージシャンとかアーティストになっていなかったと思っているんです。6歳ぐらいに彼女の曲を聴いて、両親の前でソファーでこうやって、低くなって踊っていたんですけど(会場拍手)。しかもこのアーティスト、昨日40歳の誕生日を迎えて(会場歓声)。それを記念に歌ってみようかなって思いました。日本のカヴァーは初めてなので皆さん一緒に歌ってください。お願いします。This is First Love, 宇多田ヒカル」

このサプライズに呼応するように観客からもはちきれんばかりの合唱が巻き起こり、多くの人にとって忘れられない夜となっただろう。

 

ライヴ終盤と「This Hell」

ライヴ終盤に向けてはメロディアスでリナのカムアウト・ソングとなった「Cherry」、会場と一体になってジャンプした「Comme Des Garçons (Like The Boys)」、キュートな振り付けが印象的な「XS」を立て続けに披露し、ファンを魅了し続けた。

アンコールでは、最新アルバムでも最も人気のあるLGBTQ+コミュニティへ捧げるアンセム・ソング「This Hell」を真っ赤なライティングやギター、ドラムソロの盛大な演出と交えて披露し、ライヴを終えた。

力強いパフォーマンスでオーディエンスを魅了するのみならず、日本のファンのために日本語でMCを行うことで、なるべく多くの人に自分の発信するメッセージを届けようとするリナの姿勢に圧倒されるばかりの夜となった。パフォーマーとしてはもちろん、LGBTQ+コミュニティの一員としての意見やパーソナルで赤裸々な感情を打ち明け、人々にとっての等身大な姿を見せる彼女は今後も間違いなく世界にとって重要なアーティストであり続けるだろう。



リナ・サワヤマ『Hold the Girl』
2022年9月16日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music




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