クイーン『The Miracle』:メンバーが語る作曲クレジットの共有とバンドの一体感

Published on

Queen - Photo: Dave Hogan/Getty Images

2021年3月から2022年3月までの約1年間にわたってYouTubeで公開され1560万回もの再生回数を記録したクイーン(Queen)の50部構成のYouTubeでのミニドキュメンタリーシリーズ『Queen The Greatest』が、2022年11月18日に『The Miracle』豪華8枚組ボックスセット・コレクターズ・エディション発売に合わせて復活した。

今回のエピソードも数々のバンドやソロのビジュアル・プロジェクトを手がけるコンテンツ・ディレクター、サイモン・ラプトンが再び制作に携わっている。

今回公開されたエピソードでは、クイーンにとって重要な16枚目のアルバム『The Miracle』について振り返っている。このアルバムがどのように生まれたのか、バンドメンバーのインタビューと舞台裏の映像で、このアルバムがクイーンにとってどうユニークだったのか、なぜ完成まで2年かかったのか、そしてこのアルバムによってバンドのダイナミクスがどう変わったのかが明らかにされている。

この記事ではその内容を紹介しよう。映像は以下から日本語字幕付きでご覧いただける。

<関連記事>
ロジャー・テイラー、約8年ぶりのソロアルバムから新曲をMVとともに先行公開
ブライアン・メイ「Driven By You」制作背景を語る「フレディが祝福してくれた」

 

作曲クレジットの共有とバンドの一体感

前作の『A Kind of Magic』から『The Miracle』の制作に取り掛かるまでには、約2年半もの間があった。そのことについてジョン・ディーコンはこう語る。

「1986年は『A Kind of Magic』のツアーの後、みんな疲れ切っていて、基本的にしばらくは一緒に仕事をしたり、会ったりするのが嫌になったんだ」

「そして、その2年目の終わり頃に、なんとなく会って、フレディがスタジオで少し時間を過ごしてみようと提案したんだ。2年間休んでいたからリフレッシュできていたし、そのおかげでアルバムは良いスタートを切ることができたよ」

ブライアン・メイはスタジオでの作業や作曲クレジットを共有することについてこう語る。

「スタジオでの時間は、僕たちにとって最高の時間だった。僕らが書いた曲はすべて僕ら全員のクレジットになると決めていたから、なんだか僕らの中でポジティブなエネルギーが少し解放されたんだ」

マネージャーであるジム・ビーチは作曲クレジットの共有については「彼らは全く疑うことなくどんどん親しくなり、作曲クレジットの共有は大きな突破口となったよ」と振り返る。

バンドの新しい一体感は、リチャード・グレイが手がけた、バンドの4つの顔が1つのイメージに変形した画期的なジャケット・デザインにも反映された。アルバムは待ちわびたファンが殺到したため、発売後1週間でプラチナ・ステータスを獲得している。

 

多くのヒット曲

バンドの新しい集団的な活動方法は、象徴的なミュージックビデオを伴うヒットシングルを次々と生み出した。パワフルな「I Want It All」に始まり、 「Breakthru」「Invisible Man」「Scandal」、そしてタイトル曲「The Miracle」が続いた。

フレディにとって、タイトルトラックである「The Miracle」曲は、バンドがスタジオで見つけた新たな親密さを完璧に要約するものだった。彼はこう語る。

「この曲は、僕ら全員が貢献した曲のひとつだ。実際に一緒に曲を作るという意味では、これまでで最も近いところにいるよ。誰かが一行だけ書いてきて、“これはひどい”といって変えてしまう。ある意味、僕はそれが嫌だったんだ。というのも、毎日違う歌詞を歌い続けなければならないからね(笑)」

 

原点に返り大ヒット

このアルバムは世界的に大成功を収め、特にアメリカでの支持が再び高まったが、これはブライアン、ロジャー、フレディ、ジョンによるクラシック・クイーンのエネルギー、活力、独創性にあふれたレコードを制作したためだと多くの人が考えている。ロジャー・テイラーはアルバムの内容についてこう語る。

「もし俺たちがプリンスのような、あるいはその時代に流行っているようなサウンドに仕上げようとしたら、それはとても愚かなことだったと思うんだ。自分たちの信念を貫き、人々が俺たちに求めていると感じるようなアルバムを作らなければならない。だから、ファッショナブルでもないし、外部からの大きな影響を受けているわけでもない。これが俺たちらしいアルバムだと思うし、いろいろな意味で原点に立ち返っているんだ」

フレディはアルバム制作や収録楽曲の選定についてこう語っていた。

「僕たちは、自分たちが本当にそうしたいと思ったときだけ、また一緒にやろうと決めていたんだ。だから、今回僕たちはとても興奮してて、“ああ、やった!”と言ったんだ。そして、たくさんの曲ができたんだ。実際、この最終的な10曲にたどり着くまでに30曲くらいから選ばなければならなかったように記憶しているよ」

Written By Tim Peacock


クイーン『The Miracle Collector’s Edition』
2022年11月18日発売
国内盤: 5CD/DVD/Blu-ray/LP
国内盤: 2CD
輸入盤: 7inchアナログ
*日本盤には『THE MIRACLE RADIO INTERVIEWS』の訳、映像の字幕付き


ロジャー・テイラー『The Outsider Tour Live』
2022年9月30日発売
日本盤CD:2022年12月21日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / Amazon Music



 

Share this story

Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
モバイルバージョンを終了