ジョン・レノンの真実が語られたグラミー・ミュージアムでのイベントレポート

October 10, 2018


ジョン・レノンの真実が語られたグラミー・ミュージアムでのイベントレポート

完売となったロサンゼルスのグラミー・ミュージアムでの『Imagine – The Ultimate Collection』初披露イベントでのメインの話題は、もちろんジョン・レノン1971作の傑作『Imagine』のマルチ・フォーマットでの新たな再発だった。

グラミー・ミュージアムのアート・ディレクター、スコット・ゴールドマンが司会を務めたこのイベントには、パネラーとして、ジョンとヨーコと長年にわたる家族ぐるみの友人であるエリオット・ミンツ、プラスティック・オノ・バンドのオリジナル・メンバーで伝説のセッション・ドラマーのジム・ケルトナー、『Imagine』の制作ドキュメンタリー『Gimme Some Truth』のプロデューサー兼監督を務めたアンドリュー・ソルト、そして今回の140曲にも及ぶリマスターと新たなリミックス集を含む数々の作品のミックスを担当してきたグラミー賞受賞エンジニア、ポール・ヒックスが登壇した。

このイベントは、その主旨に相応しく、アンドリュー・ソルトによるドキュメンタリーに収められた、ティッテンハースト・パークのアスコット・サウンド・スタジオで行われた胸が張り裂けるような「Gimme Some Truth」のレコーディングの映像から始まった。

その後、会場に漂う圧倒された雰囲気を感じとったスコット・ゴールドマンは、「今夜のイベントにすごく相応しい映像でしたね?」と観客に問いかけた。そして今回のドキュメンタリー作品のために200時間にも及ぶ映像を編集していく過程でジョン・レノンのことを深く知ることができたと語った監督のアンドリュー・ソルトへ話を振った。アンドリュー・ソルトは「ジョンの映像にはいつだってすぐに引き込まれてしまうんです。ジョンはとても情熱的で、見ていてすごく興味深い。とにかくカメラが回っていたことに感謝しかありません」と語った。

アンドリュー・ソルトは、名盤『Imagine』が完成するまでの日々を記録していたドキュメンタリー作品『Gimme Some Truth』よって、より一層ジョン・レノンの創造的プロセスに理解を深めたという。

Imagine (Ultimate Mix) restored, remixed & remastered

Imagine (Ultimate Mix) restored, remixed & remastered

 

アルバム『Imagine』が制作されていた当時、ジョンとヨーコの身近にいたエリオット・ミンツもまたその大きなスクリーンに映し出された映像に反応し、「あの時のジョンはなんて確信的で予言的だったんでしょうか。彼は楽観主義者であると同時に、とても疑い深く、彼の言葉は僕たちに先見の明を与え、嘘の幻想に騙されてはならないということも教えてくれました」と語った。

観客は『Gimme Some Truth』の上映に続いて、今回のアルティメット・コレクションに収録された音源からプロジェクトのエンジニアであるロブ・スティーブンスが発掘したジョン・レノンによる「Imagine」のオリジナル・ピアノ・デモを試聴した。ポール・ヒックスがその音源のアーカイブ方法について頻繁に質問されると語った。「この音源はスラップディレイだらけでした。これは文字通り、テープに録音された音源そのままなんです。このデモ音源に何をしたのかと訊かれたら、ちょっとだけイコライザーをかけたくらいかなって答えるほどです」とジョークを飛ばした。

 

ポール・ヒックスが2016年にこのプロジェクトを始めてから、彼とロブ・スティーブンスは、如何なるビートルズ関連のプロジェクトにおいて、ましてやこの『Imagine』に関しては特に、リミックス音源を作ることは避けてきたそうだ。彼らのアルバムへのアプローチは"覆い被さっていたものを剥がしてあげる"ことであり、そうすることで作品自体が目を覚ますのだと言う。このどこまでも"偽りがなく、剥き出しのアルバム"を前に、彼らはジョン・レノンの声を全面に押し出すことを決断した。「ジョンの声なのだから、みんな聴きたいに決まっていますよ」。

エリオット・ミンツもそれに同調して、「僕らは皆、曲の中で彼の声が誰よりも深く、純粋な響きを持っていたことはわかっていました。それからジョン自身もまた、その歌が持つメッセージと同じくらい、どうやって彼の声でそのメッセージを表現すべきなのかに拘っていたと思っています」と語りつつ、彼が"モノ音源の方が好き"と書かれたピンバッチが襟に付いたジャケットを着ていたという有名なエピソードでジョークを飛ばし、観客の笑いを誘った。

ボブ・ディランやレオン・ラッセル、ジョー・コッカー、そしてジョージ・ハリスンといった大物たちと共演してきたロックの大御所、ジム・ケルトナーは、彼がまだ駆け出しの頃にジョン・レノンとの「Jealous Guy」のレコーディング・セッションで"夢の中にいるかような状態"を経験した時のことを振り返った。

「当時の僕にとって、ヘッドフォンでジョン・レノンの声を聴きながら、実際に顔を上げた時に彼が目の前のマイクで歌っているっていうのは驚くべき光景でした。まるで地に足がつかないような感覚だったんです」と彼は語った。

ポール・ヒックスは、「Jealous Guy」のようなトラックでジョンのヴォーカルを引き立たせる以外にも、「I Don’t Wanna Be A Soldier Mam」の素晴らしいベースラインのように、楽曲の隠れた魅力を引き出すために巧妙な処理を施した。ステレオと5.1サラウンドで作られたアルティメット・ミックスでは、聴くものに"まるで自分がスタジオの中にいるかような没入体験をさせる"ことが目標だと、と彼は語った。

今回のイベントの出演者が彼らにとってのジョン・レノン、そしてジョンの音楽が持つ意味について語りながらも、彼のアーティストとしての成長についてはそれぞれが違った見解を持っているようだった。ジョン・レノンとヨーコ・オノの長年の友人で、ラジオ番組"The Lost Lennon Tapes"でホストを務めたこともあったエリオット・ミンツは、ジョンとヨーコの2人の関係性が創造力を刺激していたと理解しておりこう語った。

「ジョンがザ・ビートルズからジョン&ヨーコへ移行していく様子を目撃していたんです。当時の彼は明らかに自己表現に関しては解放的になっていましたが、この作品に関して言えば、彼が自らの声と構想をコントロールしようとしているようなんです」。

スコット・ゴールドマンは話を映画『Imagine』へと移し、ジョン・レノンは自身の生き様を記録し、"自身のアート、制作過程や私生活、そして観客に接する時の彼自身"に至るまで全てを曝け出していたことは、現代のソーシャル・メディアの先駆者だったのかもしれない、と仮定した。

それに応じて、エリオット・ミンツは、ある夜にジョンと一緒に、なぜジョンが全てを記録しようとしているかのか、それは将来的にジョンの存在が重要な意味を持つであろう、ということを話し合ったことを振り返る。エリオット・ミンツ曰く、ジョン・レノンは、本物のアーティストであり、"素顔を曝け出した最初のアーティスト"であり、そのアンティークの細いメタルフレームの眼鏡で、彼の思うがままに自らを晒していたと語った。

「ジョンは決してショービズ向きの人間ではありませんでした。だから彼が彼自身じゃない時は、カメラを回しませんでした。でも、その人間性こそが僕たちが彼の元に集う理由のひとつかなって思っています。彼を心から信頼できたんです」とエリオット・ミンツは指摘した。

Imagine by John & Yoko - cinema trailer

Imagine by John & Yoko - cinema trailer

 

 

アルバムがリリースされてから数十年が経って、楽曲「Imagine」は今や国際的なアンセムになったが、当時のジョン・レノンは、"妥協のない商業的な作品"と説明していた前作の『John Lennon/Plastic Ono Band』に比べると、このアルバムは"もっと内省的で少しだけ光が差し込んでいる"作品だと語っていた。

「はたして当時の彼はこの"Imagine"という楽曲が引き起こす未来を見抜いていたんでしょうか?」エリオット・ミンツは問いかけた。「もちろん彼は自分が何を作っているのかはわかっていたとは思いますが、この"Imagine"と今夜私たちが聴いたそれ以外の楽曲とをそこまで大きく区別していたかどうかはわかりません。彼が種を蒔いて、僕たちが水をあげて、そして木が育ったんです」。

Written by Laura Stavropoulos



 ジョン・レノンの最高傑作『イマジン』が数々のフォーマットで発売 
*一部商品は10/12発売となります。

【音源/商品フォーマット】
『Imagine : The Ultimate Collection』

① スーパー・デラックス・エディション
<4CD + 2ブルーレイ収録、豪華本付ボックス・セット輸入国内盤仕様/完全生産盤>
UICY-78855  価格:12,000円+税

CD1 – アルバム – アルティメイト・ミックス ディスク1
CD2 – アルティメイト・ミックス ディスク2
CD3 – ロウ・スタジオ・ミックス
CD4 – エヴォリューション・ドキュメンタリー
ブルーレイ1 – イマジン: アルティメイト・ミックス
ブルーレイ2 – イン・ザ・スタジオ・アンド・ディーパー・リスニング

<日本盤のみ>SHM-CD仕様/英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
② 2CDデラックス・エディション UICY-15758/9
価格:3,600円+税

CD1 – リミックス・アルバム+シングルズ&エクストラズ
CD2 – エレメンツ・ミックス+アウトテイクス

<日本盤のみ>SHM-CD仕様/英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付

③ 1CD  UICY-15760
価格:2,500円+税

CD1 – リミックス・アルバム+シングルズ&エクストラズ

<日本盤のみ>SHM-CD仕様/英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付

④ 2LP<輸入国内盤仕様/完全生産盤> UIJY-75091/2
価格:5,500円+税

LP1 – リミックス・アルバム
LP2 – アウトテイクス

<日本盤のみ>英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付

⑤ 2LPクリア・ヴィニール<UNIVERSAL MUSIC STORE限定/輸入国内盤仕様/完全生産盤> PDJT-1015/6  価格:6,000円+税

LP1 – リミックス・アルバム
LP2 – アウトテイクス

<日本盤のみ>英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付


【映像/商品フォーマット】
ジョン・レノン&ヨーコ・オノ『イマジン/ギミ・サム・トゥルース』

2本ともオリジナルのネガを1コマずつ手作業で修復し、HDでリマスター。未発表映像も収録。それぞれのサウンドトラックも、5.1サラウンド・サウンドでリミックス&リマスター。

 

① DVD  UIBY-15092 価格:3,700円+税
<日本盤のみ>日本語字幕付/英文ライナー翻訳付

② ブルーレイ UIXY-15020 価格:4,600円+税
<日本盤のみ>日本語字幕付/英文ライナー翻訳付

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