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テイラー・スウィフト『ミス・アメリカーナ』解説:表情を殺していた女性の成長と行動する勇気の記録

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2020年1月31日にNETFLIXにて公開となったテイラー・スウィフトのドキュメンタリー映画『ミス・アメリカーナ』(視聴はこちら)。デビュー前から最新アルバム『Lover』の制作舞台裏まで、今まで公開されなかった貴重な映像とともにテイラーの歩みを追ったこの作品について、音楽ライターの服部のり子さんに解説いただきました。

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『ミス・アメリカーナ』予告編 – Netflix

ドキュメンタリー映画『ミス・アメリカーナ』は、13歳からつけていた日記の話から始まり、保守的な気質の土地で育ったクリスチャンらしく、「子供の頃からの倫理観は、良い人と思われること」と語り、「正しいことをする」、「ずっと目指してきたのは“good girl”なの」と言葉を結ぶ。これがテイラー・スウィフトというアーティストを知るためのキーワードであり、この映画の道標となる。

ドキュメンタリーは、全編でとても素直な言葉が語られていて、なかにはこんなところまで映して、と驚きがありつつ、世界の頂点に立ち続けている彼女の素顔に迫ると同時に、16歳でデビューしたテイラーの30歳までのひとりの女性としての成長の記録にもなっている。今まで語られてこなかった告白もあるし、プライベートな時間に着ているダサかわいいスウェット姿が見られたりもする。

また、随所でデビュー前の貴重な映像が挟みこまれる。両親にプレゼントされたアコースティック・ギターに大喜びしたり、11歳の時に母の運転する車で、ナッシュビルにある音楽出版社に自ら売り込んだりと、これまで聞いたことのある話が映像で観られるのはうれしく、本当に音楽が好きで好きでしかたなかったんだろう、ということが実感できる。

見どころは、とにかくいっぱい。よく1時間25分に収まったと思うほどの濃密な内容になっている。そのなかでまず注目すべきは、スタジオでプロデューサーとソングライティングしているシーンだ。2019年のアルバム『Lover』からの1stシングル「ME!」をジョエル・リトルと制作している時、メロディーにのせて、彼女の口から飛び出してくる言葉にジョエルが目を輝かせる瞬間がある。

Taylor Swift – ME! (feat. Brendon Urie of Panic! At The Disco)

このシーンで思い出されたのは、本作でもキーボードを弾く後ろ姿で登場するマックス・マーティンがスタジオで「We are never ever ever ~♪」とテイラーが口ずさんだのを聴いて、いいね、曲にしようと食いついたことで出来たのが2012年の全米NO.1ヒット曲「We Are Never Ever Getting Back Together」というエピソードだ。もうひとりのプロデューサー、ジャック・アントノフも「Getaway Car」を共作するなかで、テイラーの生んだ“リッチなボニーとクライド”の物語にインスパイアされて、単語を飛び交わせながら、歌詞を紡いでいく様子がいい笑顔とともに映される。

テイラーには自分の経験を歌に昇華させていく、ストーリーテリングの才能と言葉の優れた感性がある。それが異性で年上のプロデューサー達を刺激するのだ。ここには登場しないけれど、映画『キャッツ』のサントラで新曲「Beautiful Ghosts」を巨匠アンドリュー・ロイド=ウェバーと共作する際に、作品の原案になったT.Sエリオットの詩を全て読んだテイラーが作詞において巨匠をリードしていたという。そして、その歌をレコーディングした時のヴォーカルの美しさ。彼女自身のアルバムとは異なるせつない感情の表現を見せている。

『キャッツ』<Beautiful Ghosts>メイキング映像

ところで、新曲と言えば、本作から「Only The Young」が生まれた。楽曲の背景にあるのは2018年のアメリカ中間選挙での出来事。この時、テイラーは、タブーとされてきた政治問題に言及し、若者に選挙に行くように呼び掛けただけではなく、地元テネシー州共和党の女性候補ではなく、民主党支持を表明した。その理由は、彼女が女性やLGBTといったマイノリティの権利を守るための法案に反対していたからだ。当然の主張に思えるけれど、女性アーティストが政治問題に言及するリスクは、カントリー界の大人気女性トリオ、ディクシー・チックスの発言で嫌というほど業界の大人達は知っている。音楽とは関係ないところで、彼女達が強烈な批判とボイコットを受けた様子は、象徴的な事件として劇中でも映し出されている。だから、デビュー時から政治的な発言を避けるように厳命されてきたし、テイラーの決意を聞いたマネージメントの男性からも「ツアーの動員が半分になる」と、SNSで発信をやめるように言われてしまう。でも……。

“Nice Girl“でいることを守っていた22歳の頃の彼女は、今見ると、表情を殺している。そうやって生きることに限界が来たのだ。とても健全な成長だと思う。そして、時代が変わった。大々的にバッシングを受けることはなかったが、テイラーが支持した民主党は勝てなかった。正しい行為が報われなかった悔しさを託したのが新曲の「Only The Young」。テイラーは、アルバム『Lover』の「Soon You’ll Get Better」でディクシー・チックスと共演した。

Taylor Swift – Only The Young (Featured in Miss Americana / Lyric Video)

政治的発言の他にセクハラ裁判という闘いもあった。テイラーが求めた賠償金が1ドルということでも話題になり、まさに正しい行為を貫くための裁判だった。そういった行動を精神的に支えているのが母のアンドレアさんだ。彼女の存在は大きい。テイラーが子供の頃から夢を追いかける娘のサポートをしてきたことは知っていた。マネージメントチームの一員だけれど、決してステージママではない。良き理解者であり続けている。コンサートで裁判の話に触れて、「Clean」をピアノの弾き語りで披露した娘をバックステージで抱きしめて、「作品で浄化させた」と最高の誉め言葉を贈る。

10代で成功したアーティストの成長は難しい。道を踏み外すこともあるが、決して本人だけを責めるわけにはいかない。周囲に誰がいるか。とりわけ両親の存在が重要だ。テイラーが普通の感覚を持ち続けられているのもアンドレアさんの影響を感じずにはいられない。子供の成功で華美になる母親は残念ながら少なくない。

ドキュメンタリー映画『ミス・アメリカーナ』にはさまざまなメッセージが込められている。行動する勇気を受け取る人も多いだろう。個人的には2018年のアルバム『reputation』で、グラミー賞のノミネーションから外れた時に、テイラーが「実力不足だった、もっといいアルバムを作る」と言った言葉に、彼女が努力し続けるモチベーションを感じるとともに、私も頑張らなくてはと大いに刺激された。

さらに大きいのは過度のダイエットに触れていることだ。デビュー当初のテイラーは、長身・細身という抜群のスタイルでも10代の憧れだった。体質は遺伝することが多く、アンドレアさんはぽっちゃり型。努力しているんだろうなと思っていたから、ある時期からふっくらとしたテイラーにホッとした。完璧じゃなくていい。完璧なんて不自然。食事こそが力の源と目覚めた告白に、多くの人々が周囲の評判に振り回されることなく、“自分らしくいるのが一番”というメッセージを受け取ることだろう。

Written By 服部のり子



テイラー・スウィフト「Only The Young」
2020年1月31日配信
試聴・配信はこちら


Lover
発売中
CD&限定版 / iTunes



 

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