作曲家ダイアン・ウォーレンによる名曲たちと意外な受賞歴

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1980年代から20年以上にわたって東芝EMIの洋楽ディレクターを務め、2025年には『東芝EMI洋楽部の輝ける日々』という書籍も発売した森 俊一郎さんが、“吉野家七味”として音楽出版社フジパシフィックミュージックの公式noteにて連載を執筆中。

今回は数々の名曲を送りだす作曲家のダイアン・ウォーレンについて。他の連載はこちら

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現代の名作曲家

さて、まずはこちらのプレイリストからいきましょう! 誰の作った楽曲をまとめたプレイリストでしょうか???

…と言ってもタイトルでバレバレですね。これ、すべて同じソングライターの作品。すごくないですか? 幅広いアーティスト、新旧取り揃えての並び、そして何と言っても映画での起用され方がまあエグい。

『アルマゲドン』(1998年)、主演女優リヴ・タイラーの父上エアロスミスのスティーヴン・タイラーにクライマックスで歌わせるまあ鉄板な“泣き”の主題歌を書けるなんて、この人を置いて他にいらっしゃいません。

映画『パール・ハーバー』(2001年)のフェイス・ヒルによる主題歌「There You’ll Be」も、クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』と前後した2018年にレディー・ガガ主演で4回目の映画化も大ヒットした『アリー/スター誕生』でガガ様が歌う「Why Did You Do That?」もこの人、ダイアン・ウォーレン!(2005年にはこんなコンピも出ていた)

たしかに生まれも育ちもアメリカはカリフォルニア、ってことで、映画の都(古いなあ、表現が)育ちはこの仕事のために生まれてきたようなお方。もちろん人口4,000万人のカリフォルニアではあるけれど、そんな中でこれだけ人々に受け入れられて愛されるポップ・ソング(と、あえて言う。ポップ・ソングとはつまり多くの人に愛される歌のこと)を書けるなんざあよほどの才能の持ち主!あっぱれだす、ダイアン姐さん。

 

ダイアン・ウォーレンの受賞歴

さてそんなダイアン姐さんのことですから、映画・音楽賞の常連であることはもはや言うまでもない。
映画賞の最高権威「アカデミー賞」では1987年の第60回に映画『マネキン』のテーマ曲「Nothing’s Gonna Stop Us Now」で初ノミネート。歴代では今年も含めて17回のノミネート。ならば最優秀受賞数もさぞや、なのだが、どっこい世間はそこまで楽じゃない。

誰もが受賞するだろうと思った『アルマゲドン』の主題歌で、エアロスミスのキャリア唯一の全米1位ヒットとなった「I Don’t Want to Miss a Thing」は、残念ながらセリーヌ・ディオンによる映画『タイタニック』の主題歌「My Heart Will Go On」にさらわれてまさかの逆転負け!(*おっと、ここでお知らせです。その大ヒット映画『アルマゲドン』、3月30日(月)13時~NHK BSのプレミアムシネマでオンエアされるというグッド・タイミング!)

それにしても毎年のようにこれだけ安定して、その時代に合わせた映画のための、しかも「肝」になる楽曲をつくれる……だから2023年の第95回アカデミー賞ではそれまでの大きな貢献度に対して「名誉賞」が贈られている(実はこれが初受賞)。アカデミー賞の仕組みをざっと俯瞰してみると、例えば主題歌部門のノミネートは音楽部門の担当者が投票、しかし最優秀の受賞を決めるのは担当部門だけではなく全審査員での投票、というハードルの高さ。そんなわけでノミネートの常連が受賞につながらない構図はあるようだ。

ちなみに一方のゴールデン・グローブ賞では過去、2010年の映画『バーレスク』からシェールが歌い上げた名バラード「You Haven’t Seen the Last of Me」で最優秀映画主題歌賞を受賞している。

では翻って音楽の最高峰を決める「グラミー賞」ではどうなのか? こちらもノミネートは多い。しかし受賞はセリーヌ・ディオンによる1996年のシングル「Because You Loved Me」での1回。作詞・作曲者としてダイアン・ウォーレン本人が最優秀映画テレビ視聴覚主題歌賞(Best Song Written for Visual Media)を受賞している(1997年)。受賞カテゴリーでわかる通りこれも映画がらみで、ミシェル・ファイファーとロバート・レッドフォード主演の映画『アンカーウーマン』の主題歌だった。吉野家七味残念ながら未見につき映画についてはノー・コメント。

そんなダイアン・ウォーレンさん、今年の第96回アカデミー賞(授賞式は日本時間3月16日開催)でも主題歌部門にノミネートされている。なんと今回はドキュメンタリー映画『Diane Warren : Relentless』(日本公開今のところ未定)の主題歌Kesha「Dear Me」でのエントリー。

最大のライバルは今年のグラミーでもノミネートされた『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』の「Golden」と巷では言われるが、これまでの貢献度からしても“もしかしたら?”がありそうな波乱の予感…さて、3月16日の発表までもう少し。注目です!

それでは今日はこの辺で、吉野家七味でした、バイバイ、またね!

Written by 吉野家七味 (連載はこちら


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