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音楽業界映画『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』の妙にリアルな3つのポイント

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©2020 Focus Features, LLC. All Rights Reserved

アメリカで2020年5月に公開され、日本では12月11日から日本で劇場公開されている映画『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』(原題:The High Note)。

音楽業界版『プラダを着た悪魔』と評判のこの映画は、音楽ファンなら必見だと話題です。そんな作品について21年間アメリカで音楽ライターとして活躍して、生の音楽業界を見てきた池城美菜子さんのレビューをお届けします。

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共感してホロっときたり、恐怖で震えたり、感動で鳥肌が立ったり。映画で動かされる感情は、度合いの差こそあっても、その種類は決まっているように思う。音楽業界を舞台にしたロマンティック・コメディであり、お仕事ドラマでもある『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』を観ながら、私は映画鑑賞時としては、かなり珍しい感情に捕らわれた。何度か、ギョッとしたのである。なぜなら、アメリカの音楽業界の内幕、人物設定があまりにリアルだから。21年、アメリカで音楽ライター業を営んでいた身としては、デジャヴを起こすほどに。

種明しはシンプルで、この映画の脚本を書いたフローラ・グリーサンの前職が、最大手のレコード会社、ユニバーサル ミュージックのアシスタントだから。本作が脚本家デビューとなるグリーサンを検索したところ、見覚えがあるビルの入り口に立っている写真が出てきた。コロンバス・サークルの南に位置する、ユニバーサル ミュージックのニューヨーク・オフィスだ。真っ当な映画評は長谷川町蔵氏に任せて、本稿では『ネクスト・ドリーム』で描かれるアメリカの音楽業界が、どれくらい真に迫っているかを検証する。

まず、プロットから。いつか音楽プロデューサーとして活躍することを夢見るマギー(ダコタ・ジョンソン)は、敬愛する国民的歌手、グレース・ディヴィス(トレーシー・エリス・ロス)のパーソナル・アシスタント、つまり付き人だ。誰よりも近い場所にいても、そのまま音楽作りに関わらせてもらえるほど甘い世界ではない。そこで、マギーは偶然、出会った無名の歌手、デヴィッドと曲作りを始めるのだが…。

では、どこがリアルか解説しておこう。

リアルなポイント:ロサンゼルスの音楽シーン

本作の舞台は、L.A.だ。全米各地にレコード・レーベルはあるが、大きなレコード会社のヘッドクォーターはロスかニューヨークに集中している。グレースはユニバーサル傘下に入ったキャピトル・レコードの所属らしく、通称キャピタル・タワーが出てくる。レコードをターンテーブルのセンタースピンドルに重ねた形を模した円柱型のビルで、独特の存在感を放つロサンゼルスの名所だ。おそらくレコード会社が所有していた建物としては世界一かっこいいビルなので、お見逃しなく。

グレースの新曲発表のパーティーの煌びやかさも、かなり現実に沿っている。2015年から2019年まで続いた音楽業界を舞台にしたドロドロのドラマ、『Empire 成功の代償』にもよく出てきた、超高級ホテルや大型クラブを借りてのイベントは、2010年前半までは珍しくなかった。話題作りが目的なので、SNSで直接、ファンに繋がれるようになって少し減っているようだが。

キャピタル・タワー

 

リアルなポイント 憧れの職業がプロデューサー

31歳のダコタ・ジョンソンが演じるマギーは、スタジオの廊下に飾られたビリー・ホリディの写真にキスを投げるような、「本物の」音楽を愛するアラサー女性だ。この「本物」の定義は難しいのだが(正直、楽器の音色を使った音楽=本物、という表現が、近年のハリウッド映画にくり返し出てくる現象はどうかと思う)、口を開くごとに音楽のトリヴィアが飛び出すようなオタク。その彼女が、マイクや楽器を手にする側ではなく、曲を作る側に回るために努力する設定は、とてもリアルに感じた。

MTVやVH-1といった元音楽専門局(いまはリアリティTVが多い)が、裏話中心のドキュメンタリーを延々と放映したのもあり、「音楽業界では、プロデューサーやソングライターは当たれば大きい上に、パーソナル・ライフを犠牲にする必要もない」という認識は浸透していて、そこを目指す音楽好きは少なくないのだ。

映画『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』本編映像< I Can Get Some Backup Singers>

 

リアルなポイントモデルがいそうなレコード会社の重役に強欲マネージャー

マギーのボス、大物シンガーのグレースもキャリアで大きな岐路に立たされていた。本音は新曲を作りたいのだが、マネージャーのジャック(アイス・キューブ)はラスベガスのカジノ・ホテル、シーザーズ・パレスのレジデンシー公演の話を進めている。これにグレースとマギーが抵抗を示すのはストーリー上、必要だとは思うのだが、現実では「コロッシアム・アット・シーザーズ」のコンサート・シリーズは、セリーヌ・ディオンやマライア・キャリー、最近ではアッシャーも登場するような格上の仕事である。ホテルの実名を出す必要があったのか少し不思議に思ったが、間接的に宣伝になるのかもしれない。

The High Note Movie Clip – Play It Safe (2020) | Movieclips Coming Soon

より現実に近いのは、「グレースの新しい曲は必要とされていない」というレコード会社重役の意見だろう。シーザーズ・パレスのコンサートを好んで観る音楽好きと、この映画の観客はダブっているだろうから、そのキャリア展開は「映画だから」と逃げ道を用意しつつ、ギリギリのリアリティを突いているのは賢い。レコード会社の重役の全員が全員、本作に出てくるような音楽に愛情がない人たちばかりではないが、一定数いるのは事実だ。これは、グリーソンが実際に出会った人々をモデルにしたのではないか。

筆者が爆笑したのが、アイス・キューブ演じるジャックと、ディプロ(!)が演じるプロデューサーのRダブのやり取りだ。強欲マネージャーと売れっ子のヤな奴という人物像は類型的ではあるものの、会話が怖いくらいリアルなのだ。

音楽業界に興味がある人に注意を払ってほしいのが、Rダブの機嫌を損ねたマギーが、ジャックに叱られるシーン。大雑把な印象が強いアメリカ人でも、トップにいる人はここまで計算するのか、と勉強になるはず。このシーンの前に出てくる、元のセリフが「ミッシー(・エリオット)のつもりかよ!」と言っている箇所の字幕が、「プロデューサー気取りかよ!」と簡略されたのは残念だった。そして、細かい見所としては、本作で俳優デビューを果たしたディプロの思いの外上手な演技がある。

The High Note | Featurette – Diplo

もう一人、スターの生活にいがちな存在が、グレースの家に住み込んでいる「友達」のゲイルだ。少し前に『アントラージュ★オレたちのハリウッド』という人気俳優の取り巻きを題材にしたドラマがヒットしたが、スターの周りにいることを糧にして生活している人は実存する。孤独に陥りやすいスターの精神面を支える役割を果たすが、影響力を持ちすぎてトラブルの元になることもある。ゲイルみたいにプライベートを共にする人もいれば、スタイリストや美容師のように決まった仕事があるケースも。ゲイルが出てくるシーンは全部セリフがおもしろいので、ぜひ注視してほしい。

 

架空の大ヒットを作ったロドニー・ジャーキンズ

リアルなポイントの指摘はこれくらいにして、本作ではとくに重要なサウンドトラックの解説を。「全米で長年愛されきたグレースの代表曲」という設定の”新曲”など、なかなか難しいリクエストに見事に応えたのが、ダークチャイルドこと大ベテラン・プロデューサーのロドニー・ジャーキンズだ。映画ではファンがお揃いの振りをつけて踊る「Stop For A Minute」は、トレイシーの母、ダイアナ・ロスが歌ってもはまりそう。

THE HIGH NOTE – "Stop For A Minute" Clip – At Home On Demand May 29

27曲収録のサントラのうち、トレイシーとデヴィッド役のケルヴィン・ハリス・ジュニアが歌う11曲はすべて、彼のプロデュースである。ケルヴィンはダニー・ハサウェイ「Let’s Stay Together」と、サム・クック「You Send Me」のカバーにもチャレンジしている。

モニカ&ブランディの「The Boy is Mine」の時代からロドニーが作った曲が好きな人には、映画の中で重要な役割を果たす「Track 8」あたりを予習してから映画を観るのもお勧めだ。また、これらの曲のほとんどにソングライターとして参加しているのが、オーストラリア出身のサラ・アローン。カリードやジャスティン・ティンバーレイクに曲を提供している26才の白人女性であり、主人公のマギーとダブる存在だ。

Track 8

2018年に大ヒットしたレディ・ガガの『アリー/スター誕生』を例に出すまでもなく、女性シンガーの生き様はドラマティックで、映画になりやすい。今年はナタリー・ポートマンの『ポップスター』や、ジュディ・ガーランドのバイオピック『ジュディ虹の彼方に』が日本で公開された。これらの作品に出てきたアルコールやドラッグの問題がない『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』は、デートなどでも観やすい作品だ。

音楽のトリヴィアだらけの本作にひとつ、日本絡みのトリヴィアを付け加えよう。『セックス&ザ・シティ』から始まった、仲よしの意見を聞きながら服の断捨離をする、というおなじみの場面。『ネクスト・ドリーム』では、マギーがグレースに確認するセリフとして「(スパーク・)ジョイ」が出てくるのだが、これは片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんの「ときめく」の英訳。彼女のメソッドはアメリカでも人気を博し、それを受けてのセリフである。これ以外も、音楽とポップ・カルチャーの引用がたくさん出てきて、つくづくハリウッド映画は芸が細かい、と感心した。

『ネクスト・ドリーム』は、ロマンティック・コメディに必要不可欠なキラキラ、ハラハラな要素を過不足なく盛り込みつつ、キャリアに貪欲な女性を徹底的に肯定する。そこが新しいし、痛快。「アメリカの音楽業界ってどんな感じなんだろう?」という興味がある人にとくに勧めたい作品だ。

Written by 池城美菜子(ブログはこちら



『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』オリジナル・サウンドトラック
iTunes / Apple Music / Spotify / Amazon Music

劇中に流れる曲をあつめた公式プレイリスト
Apple Music / Spotify

映画『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』予告編<12.11(金)公開!>

映画『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』
2020年12月11日(金)全国ロードショー!

監督:ニーシャ・ガナトラ(『レイトナイト 私の素敵なボス』)
脚本:フローラ・グリーソン
製作:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー(『イエスタデイ』ほか)
出演:ダコタ・ジョンソン、トレイシー・エリス・ロス、ケルヴィン・ハリソン・Jr、アイス・キューブほか
配給:東宝東和
原題:THE HIGH NOTE
©2020 UNIVERSAL STUDIOS
公式HP:https://www.universalpictures.jp/micro/next-dream




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