ジェイ・チョウ(周杰倫)の経歴:デビューから世界売り上げ1位、そして最新作『太陽之子』
海外では3月25日に発売となったジェイ・チョウ(Jay Chou / 周杰倫)の最新アルバム『Children of The Sun(太陽之子)』が日本盤として、2026年8月5日に発売されることとなり、新作に合わせて3枚のアルバム『Still Fantasy(依然范特西)』『僕はとっても忙しい(我很忙)』『CAPRICORN(魔杰座)』の日本盤がCD+DVDで発売されることが決定した。
そんな彼の経歴について音楽評論家の関谷元子さんに寄稿いただきました。
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・ジェイ・チョウの魅力と過去のインタビュー
・ジェイ・チョウの新作アルバム『太陽之子』のMVと彼が語った映像の世界観
中華圏のポピュラー音楽というと、日本ではまだまだ知らない方も多いのではないかと思うが、もちろん、中華圏、中国語文化圏には以前から素敵なポップスがたくさんあったわけで、その中でも中華圏史上、最も愛されるメロディを書いてきたシンガー・ソングライターの一人が、ジェイ・チョウだ。
まずは、彼のプロフィールからご紹介しよう。
オーディション番組と作曲家活動
ジェイ・チョウは、1979年1月18日、台湾の今の新北市で、生物の先生の父親と美術教師だった母親のもとに生まれた。3歳でピアノを始めたというが、そう勧めたのは母親(後にジェイのアルバム・タイトルになる葉惠美さん)で、順調に才能を伸ばしたジェイは、高校の音楽科でピアノを専攻するまでになった。学校のイベントなどで弾くととても人気だったという。が、大学へは行くことができず、後に、ジェイはそのことでより音楽の道へ進もうという意思を強く持ったとインタビューで語っている。
彼の人生を大きく変えたのは、1997年8月。TVBSというテレビ局のオーディション番組「超級新人王(スーパー新人王)」に出場したことだ。今でも動画サイトで観られるが、ジェイのピアノも歌もなかなかで、かつ、かっこいい学生風。そしてその番組の司会者が人気タレント、ジャッキー・ウー(呉宗憲)で、ジャッキーはジェイの才能を見抜き、自身の会社と契約、音楽業界への道を切り開いた。
契約後、ジェイはしばらく作曲家として活動をしていた。ジェイが最初に書いたのは、1998年6月にジャッキーがリリースしたアルバム『呉宗憲的台語歌』に収録された5曲。同年、ジャッキーもメンバーの男性ヴォーカル・グループ、シュビドゥワ(咻比嘟嘩)にも4曲提供した後、ついにジェイにとって初めての大ヒット曲、1999年1月、台湾語の歌姫ジアンフイ(江蕙)に提供した「落雨聲」が出る。この年ジェイは怒涛の曲提供をしているが、いずれも素晴らしいメロディを書いており、でもよく聴くとジェイのその後につながる音楽的試行錯誤も垣間見られるのが面白い。
アーティストデビュー
そしてついにソロ・アーティストとしてデビューしたのが2000年。そのアルバム『Jay』は、中華圏のポップ・シーンに強烈なインパクトを与えた。まさに中華圏ポップ・シーンをひっくり返すといった感じで、結果ジェイは中華圏で絶対的な存在になり、その音楽は「周式曲風」と言われるようになった。
ジェイの音楽といえば、まず第一に美しいメロディ、それも中華圏の人々が心から感動する旋律があり、そしてそのメロディを盛り立てるサウンドは、彼の出自でもあるクラシック音楽、もちろんロック、R&B、ヒップホップ、中華テイストなどが上手に融合され、彼にしかできない音楽になっている。
歌詞に関していえば、ジェイは、ヴィンセント・フォン(方文山)と初期から今に至るまでタッグを組んでおり、そのヴィンセントが書く、たとえば古典文学の言葉と今どきの言葉が混ざっていたり、ラヴソングでも間接的な表現を用いたりと、格調高いテイストもジェイの音楽の魅力になっている。
私が初めてインタビューをしたのは2001年2月。というのも、レコード会社のジェイの担当が友人で、その友人がある時連絡してきて「面白いアーティストがデビューしたのでインタビューする?」と言ってきたのだ。それがジェイで、その担当者は、「本当に音楽が好きでスタジオにずっといるような男の子でね、良い曲を書くんだけどアイドルみたいなルックスではないのよ、でもアルバムを出したらすごい反響で……」みたいなことを言っていたのを覚えている。いや、そんなぁ、ルックス??……と思ったけれど、アルバム『Jay』の1曲目「可愛女人」のMVを観てください。センスのあるたたずまい、どこか寂しげな感じがゾクッとくるし、セクシーでワイルドじゃないですか。ちなみにこのMVには、この曲の詞を書いたビビアン・スーも登場するが、このビビアンもとても素敵だ。
映画業界での活躍
インタビューはレコード会社BMGの香港支社での実施となった。会議室に入ってきたジェイは、フーディでうつむき加減で入ってきて、ガタイが大きな運動選手みたいだった。声も小さく、寡黙。でも、音楽の話をすれば返事はすべてが明確で、たいしたもんだ、と思ったのを覚えている。
ジェイが音楽だけではない力を見せつけたのが、映画の世界での活躍だった。
2003年、『ジェイ・チョウを探して(尋找周杰倫)』という映画にカメオ出演した時は、「え?ジェイが?映画に?」と、私の周りは騒然とし、その後日本のコミックが香港映画化された『頭文字<イニシャル>D THE MOVIE』(2005年)では、当時の香港の最高のスタッフとキャストに囲まれての主演だった。
翌2006年には北京オリンピックの開閉会式の監督、チャン・イーモウ(張芸謀)のもと、チョウ・ユンファ(周潤發)とコン・リー(鞏俐)という大物中の大物俳優と共演した時代劇『王妃の紋章(満城尽帯黄金甲)』と立て続け。そしてついに、2007年には自身が監督、脚本、主演、音楽を担当した映画『言えない秘密(不能説的秘密)』、これは大ヒットした。ジェイの美学が存分に発揮された、ヴィジュアル的にも美しく余韻の残る素敵なファンタジーで、私も台北の映画館で観たが、若い人たちが男性も含めハンカチを目に当てていたのを目撃した。2009年にはハリウッド映画『グリーン・ホーネット』のカトーを演じたり、存在感を示していく。
新作と太陽之子の由来
そうやってひとつひとつの活動が大きな注目を集め続けながら、ジェイはデビュー作から2008年まで毎年1枚ずつアルバムをリリースしていて、出すたびに大きな反響を呼び、ファンの期待を上回る作品を出し続けた(デビュー作『Jay』をはじめ、ジェイの旧譜は日本のユニバーサル ミュージックからDVD付日本盤としてリリースされています。初期6枚が発売中)。
新作『Children of The Sun(太陽之子)』の一つ前、2022年にリリースした彼にとっての15枚目のアルバム『Greatest Works of Art(最偉大的作品)』は、なんと、IFPI(国際レコード産業連盟)でその年に最も売れたCDで世界第1位になったというから、いまだ多くの人がジェイを支持し続けていることは間違いない。
そして、そこから約4年ぶりにジェイがリリースしたのが、今回日本盤としてもCDで発売されることが発表された『Children of The Sun(太陽之子)』だ。
何故 “太陽之子(太陽の子)” とつけたのか? その答えは、ジェイが本作をデジタル配信した3月25日の前日に台北で行われた記者会見で語られた。このルポは台北ナビというサイトで写真付きで見られるので、どうぞ。で、タイトルの由来だが、ジェイが敬愛する、中華圏で“歌神”と言われる香港のスーパースター、ジャッキー・チュン(張學友)が関わってくる。
2023年のツアーの香港ライヴの時、連日大雨だったそうだが、なぜかライヴ直前になると必ず雨が止む、ということが起き、それを知ったジャッキーが、“太陽の子”とプリントされたマンゴーと直筆メッセージを贈ったそう。「まるで太陽の子のように幸運だね」と称えられたことがきっかけで、ジェイは、「その称号、もらっちゃったよ(笑)」だそうです。
そして映像にこだわるジェイらしく、すでにこのアルバムからは6曲のMVが公開されているが、やはり5億円の製作費というアルバム・タイトル曲「Children of The Sun(太陽之子)」は必見だ。制作は『アバター』や『ロード・オブ・ザ・リング』を手掛け、アカデミー賞を5度受賞している世界的チーム「Weta Workshop」。サウンド的には、往年のイタリア映画のサウンドトラック風からヘヴィ・メタルへと移るゴージャスなものになっている。
また、収録されている他の曲では、いかにもジェイらしい珠玉のバラードあり、カントリー・ウェスタン調あり、中華テイストあり、と、往年のジェイ・ファンも喜ぶ「周式曲風」がありながら、新しい(きっと彼が今好きな)音や世界の潮流も感じる音も聴こえてくる、まさにチャイニーズ・ポップ・シーンを見渡しながら、長年君臨してきたキング、ジェイだけが作れる、誰もが楽しめる作品が、この『太陽之子』なのだ。
Written by 関谷元子
ジェイ・チョウ『太陽之子』(Children of the Sun)
2026年3月25日配信
iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music
2026年8月5日日本盤CD発売
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ジェイ・チョウ オリジナル・アルバム日本盤
第2弾ラインナップ
2026年8月19日発売
・7thアルバム『スティル・ファンタジー』<依然范特西> (2006)
・8thアルバム『僕はとっても忙しい』<我很忙> (2007)
・9thアルバム『魔杰座(カプリコーン)』<魔杰座> (2008)
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10thアルバム『The Era(跨時代)』以降のアルバムも日本盤として発売されることが決定。発売日などの詳細は後日発表予定。
【ジェイ・チョウ オリジナル・アルバム日本盤(リリース日は後日発表)】
・10thアルバム 『跨時代(ジ・エラ)』<跨時代> (2010)
・11thアルバム 『感嘆号』<驚嘆號> (2011)
・12thアルバム 『Opus 12』<十二新作> (2012)
・13thアルバム 『Aiyo, Not Bad(アイヨ、ノット・バッド)』<哎呦,不錯哦> (2014)
・14thアルバム 『ジェイ・チョウのベッドタイム・ストーリー』<周杰倫的床邊故事> (2016)
・15thアルバム 『グレイテスト・ワーク・オブ・アート』<最偉大的作品> (2022)
オリジナル・アルバム初期6作品がSHM-CD+DVD仕様でリリース
2026年3月25日発売
CD+DVD