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Classical Features

シェク・カネー=メイソン、インタビュー:新進気鋭のチェリストが切り開く、チェロの新たな可能性

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©Ollie Ali

チェリストとして史上最年少でDECCAと専属契約し、17歳でBBCヤング・ミュージシャン賞を受賞。さらに2020年にリリースされた『エルガー』は全英アルバムチャート第8位にランクインするなど、世界中で目覚ましい活躍を見せる若手チェリスト、シェク・カネー=メイソン。

現在23歳の彼の新作アルバム『Song』は、民謡にクラシック、ジャズの名曲やシェク自身が作曲したポップソングなど、ジャンルの垣根を超えた名曲が揃うアルバムだ。今回はアルバム『Song』に込められた想いや、シェク自身の彩り豊かな音楽観を紐解いていく。
門岡明弥さんによるインタビュー。


大の音楽一家で育った若手チェリスト。リフレッシュにはサッカー!?

Elgar – Cello Concerto – Sheku Kanneh-Mason [BBC Proms 2019]

――6人のご兄弟も非常に高いレベルで楽器を演奏されるかと思います。大の音楽一家で育ち、どうしてチェロを選んだのでしょうか。

私は6歳からチェロを始めたのですが、元々はヴァイオリンから入りました。ヴァイオリンは3週間……、いや、1ヶ月くらいかな(笑)。その後、ユースオーケストラを観に行ったときにいろんな楽器があることを知り、チェロの音色や見栄えに惹かれました。それ以来、チェロにハマりっきりです。

――ご両親は音楽を専門的に学ばれていたのでしょうか。

父はピアノとチェロ、母はピアノとクラリネットを子どもの頃に習っていました。今は忙しくて続けていないのですが……。なので、私が子どもの頃から音楽のレッスンを受けることに協力的だったし、両親も音楽に関する知識を持っていたので、いろいろと教えてもらうこともありましたね。それに何より、たくさん励まされました。

Redemption Song (Arr. Kanneh-Mason)

――ご兄弟やシェクさん自身、これまで生きてきた中で音楽以外のことに興味を持ったことはありましたか。

もちろん音楽のように深いレベルまで達することはありませんが、私達兄弟は音楽以外にも好きなことはありますよ。私はサッカーがとっても大好きで、毎週プレーしています。

――ええ、そうなんですね。実は僕も小さい頃にサッカーをやっていて、ポジションはキーパーでした(笑)。

私はストライカー(フォワード)です!チェロはずっと座って弾かなければならないので、外に行って元気にサッカーを楽しむ時間は大きなリフレッシュになっています。ぜひ日本に行く機会があったら、一緒にサッカーをしましょう(笑)。

――もちろんです! ある意味、よりよいパフォーマンスを実現するために、サッカーはなくてはならないものだったと言えるのでしょうか。

そうですね。サッカーに限らず、音楽以外の経験は必要不可欠だと思います。音楽を勉強するにはいつも楽譜を眺めなければならないけれど、まずは自分自身の生活を充実させたり、心の動きを感じたり、知識や経験を深めたりすること、それが結果的に音楽にも繋がってくると感じています。

チェロの可能性を探求した、パーソナルなアルバム制作

Sheku Kanneh-Mason – Myfanwy (Arr. for Solo Cello) (Music Video)

――「歌」がテーマのアルバムだと思います。幅広い選曲の理由や、そのプロセスについて教えてください。

今回、私が考える音楽のスタイルやアプローチの方法などを、自分の肖像画のように表せるパーソナルなアルバムを作りたいと思っていたんです。そのため、クラシックの曲からポピュラーに近いもの、アレンジを加えたものや即興性のあるもの、さらにはいろいろなアーティストたちとコラボレーションをしたものなど、幅広い選曲を行いました。

また、それら全体にある共通項はなにかな?と考えたときに、音楽そのものが持つメロディであったり、言葉であったり……。そんな“歌的な要素”が音楽の中心にあるのではないかと考え、アルバム『Song』が生まれました。

1ヶ月に渡って、5〜6回セッションを行い、いろんな作曲家の作品をレコーディングした中で、最終的にどんな流れで繋げたら一番うまくいくのかを考えて選び抜いた楽曲が『Song』に収録されています。その中には、即興で他のミュージシャンと弾いた曲もありましたし、自分自身で作曲した曲もいくつかありましたが、作ったはいいものの実際に弾いてみたら「う〜ん……」って感じで(笑)。なので、元々はもっと多くの曲が候補に上がっていました。本当に、ありがたい環境で制作させていただいていると感じます。

――『Song』には、ご自身で作曲された《Same Boat》が収録されていますよね。他にも自作曲があった中で、この曲だけアルバムに残ったことには理由があるのでしょうか。

《Same Boat》は、今回歌を歌ってくれている友人のザック・エイブルさんと一緒に作った曲なのですが、曲を作るプロセスが自分にとって思い入れ深いものでした。

それに、この曲はパーカッションやベースの音色も全部、チェロで演奏しています。チェロらしさを引き立たせながらも、チェロそのものの美しい響きをアンサンブルとして皆さんにお届けできたら……といった意向があり、この曲を収録しました。

Zak Abel, Sheku Kanneh-Mason – Same Boat

――《Same Boat》を聴いたときに、このベースの音ってもしかしたらチェロで弾いてるのかな?と思っていました。どこかギターのように聴こえるフレーズも……。

今回は特にマイクの配置や、楽器の奏法、音の響きにもこだわっていて、楽器の持つ豊かな音色を引き出せたと思います。いろんなアレンジを聴いて、感じてもらえたら嬉しいです!

チェロならではの工夫が施された編曲

――ご自身でアレンジした曲も数曲収録されているかと思います。アレンジはどのように進めていきましたか。

アレンジを行うと同時に、その場で実際に弾いて進めていきました。アレンジをするといっても、まず私はチェロでそれぞれのパートを全て弾いてみるんです。全てのパートを弾いたあとに楽譜に書き留めていくため、アレンジしながら、弾きながら、少しずつ組み立てていきました。

Sheku Kanneh-Mason – Leonard Cohen: Hallelujah, arr. Tom Hodge

――クラシックの作品では、J.S.バッハの《甘き死よ来たれBWV 478》や、コラール《来れ、異教徒の救い主よBWV 659》の編曲版が収録されていましたね。

《甘き死よ来たれ》はアレンジが大変でした。課題も多かったです。バロック時代の作品には、まずメロディがあって、その下に数字(通奏低音)が書いてありますよね。昔、音楽理論の時間に教わったことを思い出しながら書き進めていたので、音楽理論のトレーニングをしているような感覚がありました。ただ、そんな大変さはありましたけれど、楽しかったです。

コラール《来れ、異教徒の救い主よ》はアレンジが大変だったことよりも、音域の高い曲を透明感のあるニュアンスを引き立たせながら演奏することが大変でした。鍵盤用に書かれた曲なので、音程が高くて……。

J.S. Bach: Come, Sweet Death (Arr. for 5 Cellos)

――チェロ編曲によるJ.S.バッハ。新しいバッハ像を垣間見た気がします。

《甘き死よ来たれ》は5本のチェロで弾いています。5本のチェロが合わさったらものすごく特別な響きになるだろうと考えたので、チェロのアンサンブルを深く考えながらアレンジを進めました。特に、この曲は開放弦がよく出てくるんです。弦楽器の開放弦は特に強い響きを生むため、その響きに乗っていくように音を重ねていきました。鍵盤楽器だと弾くのが難しいなめらかな音は、逆にチェロの方が表現しやすかったようにも感じています。

本当にJ.S.バッハの音楽は、時空を超えていると思います。もちろん人間的でもあるんですけれど、それでいて全世界的に共通したような部分もありますし。実際に取り組んでみて、演奏や解釈の仕方はひとつだけではないと、改めて感じました。

あえて異なるジャンルの曲を隣同士に

――今回のアルバムの中で、特に気に入ってる曲はなんですか。

まず1曲目は、ハリー・ベイカーさんと一緒に編曲を行った《ララバイ・フォー・カミラ》です。あのメロディが本当に好きで、今回は2人で即興演奏も取り入れてみました。これはとても大切で、大好きな曲です。次に、ベートーヴェンの変奏曲。この数年間何回も演奏してきた曲なので、これを録音として形にできたことをとても嬉しく思います。

3曲目は、エドマンド・フィニスさんのプレリュードです。これは私のために作っていただいた素晴らしいチェロのソロ作品で、そんな曲をアルバムに収録できたことも、非常に特別な思いです。

――アルバムを通して聴いたときに、さまざまなジャンルの曲が収録されていたことに驚きました。それと同時に、音楽になじみのない人にとっても、クラシック音楽の魅力はもちろん、音楽そのものの味わいが深く伝わるアルバムになっているように感じました。

このアルバムは、誰が聞いても何かしらの曲を気に入ってもらえるような1枚に仕上がっていると、私自身も思います。あえて隣同士に全然違うジャンルの曲を並べることで、アルバム全体として幅広い音楽の世界を楽しんでいただけたらと思い、このような構成にしてみました。それもこだわりのひとつです。

Sheku Kanneh-Mason – Cry Me a River (Arr. for Cello and Piano)

――今後の展望を教えてください。

やりたいことは、たくさんあります。しかし、何よりもやりたいことは、やはり演奏することです。世界中を旅して、たくさんの人に会って、演奏をして、多くのことを吸収して、世界中の音楽家とコラボレーションしていきたいと思っています。

そのうえで、時間がかかるかもしれませんが、将来は室内楽の音楽祭を私自身で作り上げてみたいです。そこで私自身が興味のあるアーティストを招き、一緒に演奏してみたり……そんなことができたらいいなと思います。また、日本へ伺うことも考えていて、もしかしたら来年くらいには実現するかもしれません!

Interviwed & Written By 門岡明弥


■アルバム情報

シェク・カネー=メイソン『Song』
2022年9月9日発売
CD / iTunes / Amazon MusicSpotify / YouTube




 

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