クラシック愛好家が選ぶ人気曲TOP10:室内楽、歌劇&声楽曲編

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クラシックの名盤シリーズ『クラシック百貨店』の第4回室内楽、歌劇&声楽曲編が8月4日に発売された。

クラシック愛好家へのアンケートにより集計された人気曲ランキングを基に選盤されている本シリーズ。室内楽、歌劇&声楽曲編の人気曲TOP10をご紹介する。


1位 モーツァルト:歌劇《魔笛》K.620【歌劇】

モーツァルト最後のオペラはファンタジー

モーツァルトが、35年の短い生涯の最後に完成させたオペラが《魔笛》だ。その内容は、人間の愛や希望&信頼といったキーワードをテーマにした、“鳥刺しパパゲーノの冒険物語”といった趣のファンタジー。

このドタバタ喜劇を包み込むように奏でられるメロディやアリアの美しさこそが、オペラ・ファンから初心者までが楽しめる由来だろう。強烈な印象の名曲〈夜の女王のアリア〉は、宇宙探査機ボイジャーに搭載されて今も宇宙空間を飛行中だ。

2位 フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調【室内楽】

遅咲きのフランクが遺した唯一にして最高の傑作

64歳のフランクが遺した唯一のヴァイオリン・ソナタは、全てのヴァイオリン・ソナタの中で最も人気の高い作品の一つだ。

当時のフランスでは軽めのサロン音楽が人気を集めていたせいで、ドイツ古典音楽的ながっちりとした構成にフランス伝統の柔らかな感性を加えたフランクの音楽が認められるのにはかなりの時間を要したようだ。作品は大ヴァイオリニスト、イザイの結婚記念日に献呈され、1886年にイザイ夫妻によって初演されている。

3位 ビゼー:歌劇《カルメン》【歌劇】

初心者も楽しめること間違い無しの超娯楽大作

古今東西のオペラの中で最高の人気を誇る作品《カルメン》は、ビゼー最後のオペラにして最大の傑作だ。主人公は、スペイン・セビリアセビリャのタバコ工場で働くロマの娘カルメン。

既存の高尚なオペラとは全く違うエキゾティックな内容が聴衆に受け入れられるまでには時間がかかり、ビゼーは成功を見ずにこの世を去ってしまったことが惜しまれる。オペラの名旋律を抜き出した「管弦楽組曲」もさまざまなヴァージョンが存在し、その人気は高まるばかりだ。

4位 シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 作品114 D667《ます》【室内楽】

思わずメロディを口ずさみたくなる程の美しさ

第4楽章に自作の歌曲〈ます〉のメロディが流れることから「ピアノ五重奏曲《ます》」と呼ばれるようになったこの美しい室内楽は、22歳のシューベルトによる唯一のピアノ五重奏だ。その特徴はピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロに、室内楽では珍しいコントラバスを加えたこと。

友人の歌手フォーグルと、北オーストリアへの演奏旅行の際に知り合った鉱山業者パウムガルトナーからの依頼によって作曲された若きシューベルトの代表作だ。

5位 モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626【声楽】

“3大レクイエム”の筆頭に位置する感動作

モーツァルトの死によって未完となったこの作品にはさまざまな憶測や伝説がつきまとう。音楽愛好家シュトゥバッハ伯爵からの名前を隠した作曲依頼を自らの天命と受け止めたモーツァルトの葛藤や、未完の作品を完成させた弟子のジュスマイヤーにまつわるミステリアスな逸話も含め、作品への注目度は高まるばかり。

それもこれもモーツァルト作品中一、二を争う人気曲ゆえの宿命か。「宗教曲」というジャンルに抵抗のある方にもぜひ聴いてほしい。

6位 J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV244【声楽】

イエス・キリスト最後の7日間を音楽で辿る

ヨーロッパでは、復活祭前の金曜日である聖金曜日(イエス・キリストの受難と死を記念する日)に、バッハの名作《マタイ受難曲》を演奏する習慣がある。作品の内容は、新約聖書の「マタイ伝」に基づいたイエス・キリスト最後の7日間を描いた劇的な音楽だ。

バッハのすべてが込められたとでも言うべきこの作品の価値は永遠不滅。無人島に1曲だけ持っていくなら絶対にお勧めしたいこの作品は、宗教の有無を超えたところに存在する。

7位 モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581【室内楽】

名手シュタードラーに捧げられた“白鳥の歌”

名高い「クラリネット協奏曲」同様、同時代のクラリネットの名手アントン・シュタードラーの腕前に触発されたモーツァルトが、彼のために書き上げたこの曲の別名は「シュターラドー五重奏曲」。

当時はまだ発展途上の楽器であったクラリネットの可能性を追求し、その性能が大幅に上がるきっかけにもなったこの作品の美しさと儚さは格別だ。作曲当時のモーツァルトに残された時間は約2年余。まさに「白鳥の歌」と呼べるような名曲だ。

8位 モーツァルト : 歌劇《フィガロの結婚》K.492【歌劇】

美しいメロディが散りばめられたドタバタ喜劇

ボーマルシェの戯曲『たわけた一日、あるいはフィガロの結婚』をもとに劇作家ダ・ポンテが台本を書いたこのオペラの内容は、伯爵家の召使フィガロと小間使スザンナの結婚を軸に、セクハラな伯爵を使用人たちが手を組んで懲らしめるというドタバタ喜劇。

名曲のオンパレードの中でも特に印象的なアリアが、映画『ショーシャンクの空に』の中で使われた第3幕の二重唱〈そよ風に寄せて〉だ。音楽に聞き入る囚人たちの姿がその魅力を物語る。

9位 ワーグナー:楽劇《ニーベルングの指環》【歌劇】

ワーグナー偶像を確立した史上空前の大作

完成までに26年の歲月を費やし、上演に4夜15時間を要する空前の大作《ニーベルングの指環》は、古代北欧神話やドイツ英雄伝説にギリシャ悲劇などを下地にした《ラインの黄金》《ワルキューレ》《ジークフリート》《神々の黄昏》の4つの楽劇からなる壮大な神々の物語だ。

魔法の指環に封じ込められた呪いをもとに展開される神々の争いからは、今の時代にも通じる危うさが感じられ、初演の地バイロイトは、今もワーグナーの聖地として崇められる。

10位 プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》【歌劇】

名曲〈誰も寝てはならぬ〉を含む壮大なオペラ

名高いトゥーランドット姫の物語を描いたプッチーニ最後のこのオペラは、作曲者の死によって未完に終わる。その後アルファーノの追補によって完成されたこの作品は、名指揮者トスカニーニによって初演され、今に至る人気オペラとなった。

中国を舞台にした壮大な作品の中でも特に有名なアリア〈誰も寝てはならぬ〉は、2006年のトリノ・オリンピックで金メダルを獲得したフィギュアスケートの荒川静香選手の使用曲として一躍有名になった名曲だ。

「クラシック百貨店」はユニバーサル ミュージックのクラシック名盤シリーズ。クラシック愛好家へのアンケートに基づく人気ランキングで選盤された100タイトルが、6月23日より「器楽曲」「協奏曲」「管弦楽曲」「室内楽/歌劇&声楽」「交響曲」とジャンルに分けて、20タイトルずつ発売される。

世界最古のクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」と指揮者・小澤征爾やピアニストの内田光子などの巨匠が所属する「デッカ」(旧フィリップス音源含む)の両レーベルから、人気、クオリティともに最高でエバーグリーンな名盤が選ばれている。

Written by uDiscover Team


■リリース情報

『クラシック百貨店』

発売日:
6/23(水)発売 第1回 器楽曲編 20タイトル
7/7(水)発売 第2回 協奏曲編 20タイトル
7/21(水)発売 第3回 管弦楽曲編 20タイトル
8/4(水)発売 第4回 室内楽、歌劇&声楽曲編 20タイトル
8/18(水)発売 第5回 交響曲編 20タイトル





 

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