クラシック愛好家が選ぶ人気曲TOP10:管弦楽曲編

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クラシックの名盤シリーズ『クラシック百貨店』の第3回管弦楽曲編が7月21日に発売された。

クラシック愛好家へのアンケートにより集計された人気曲ランキングを基に選盤されている本シリーズ。管弦楽曲編の人気曲TOP10をご紹介する。


1位 ストラヴィンスキー:バレエ《春の祭典》

初演はクラシック史上最大のスキャンダル!

20世紀最高の作曲家と呼ばれるストラヴィンスキーの代表作《春の祭典》は、1913年の初演に於いて賛否両論。会場内が大騒ぎになるという前代未聞の事態を引き起こした問題作だった。

しかし斬新なリズムとメロディは今や名曲中の名曲に数えられ、人類の存在を知的生命体に届ける使命を帯びて宇宙を飛行する宇宙探査機ボイジャーの「ゴールデンレコード」に、J.S.バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンの作品とともに搭載される名作だ。

2位 ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲《展覧会の絵 》

ピアノ曲から管弦楽曲への華麗なる転身

友人の画家ハルトマンの死を悼んだムソルグスキーによる組曲《展覧会の絵》は、絵にちなんだ10曲の小品と前奏、そして間奏の役割の〈プロムナード〉からなるピアノ作品だ。この曲の管弦楽編曲をラヴェルに依頼したのが、ロシア生まれの指揮者クーセヴィツキーだった。

“管弦楽の魔術師”と謳われるラヴェルの編曲は素晴らしく、世界中のオーケストラが演奏するに至る。現在では原曲の「ピアノ組曲」共々コンサートで頻繁に演奏される人気曲だ。

3位 J.S.バッハ:管弦楽組曲

バッハに親しむ第1歩は《G線上のアリア》

「バッハは小川(ドイツ語でバッハは小川の意味)ではなく大海だ」と語ったのはベートーヴェン。その言葉を裏付ける作品が、《ブランデンブルク協奏曲》とならぶ大規模な管弦楽作品《管弦楽組曲》だ。

中でも名高い第3番の第2楽章〈エア〉は、《G線上のアリア》という愛称によって知られる名曲だ。“バッハは難しそう”とお考えの方には、ぜひこの《管弦楽組曲》を聴いてほしい。厳しいバッハの顔が優しく見えること請け合い。

4位 リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》作品35

アラビアン・ナイトの妖艶な世界に浸る

有名な『千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)』の物語を音楽で描き出したこの作品は、リムスキー=コルサコフの代表作。

作品は、威厳に満ちたシャリアール王と、可憐なシェエラザードの2つの主題を軸に〈海とシンドバットの船〉〈カランダール王子の物語〉〈若き王子と王女〉〈バグダッドの祭、海、青銅の騎士のある岩にての難破〜終曲〉という4つの物語が展開される。特にシェエラザードの主題はヴァイオリニストの腕の見せ所だ。

5位 スメタナ:連作交響詩《わが祖国》

チェコ独立の象徴は、今も音楽室の人気曲

1879年の作曲当時、オーストリアに統治されていた祖国チェコの独立を望む“象徴”として誕生した作品が、6曲からなる連作交響詩《わが祖国》だ。中でも名高い第2曲《モルダウ(今はチェコ語の“ヴルタヴァ”と呼ばれる)》は、学校の音楽の授業で必ず紹介される名曲だ。

スメタナの命日に開催される音楽祭「プラハの春」の初日には、《わが祖国》が必ず演奏されることからも、チェコの人々がいかにこの曲を愛しているのかが伝わってくる。

6位 チャイコフスキー:バレエ《くるみ割り人形》作品71

美しいメロディが散りばめられたファンタジー

《白鳥の湖》《眠れる森の美女》と並ぶチャイコフスキーの「3大バレエ」の一つ《くるみ割り人形》は、E.T.A.ホフマンの童話『くるみ割り人形とネズミの王様』を原作としたファンタジー作品だ。

〈花のワルツ〉や〈金平糖の精の踊り〉など全編に散りばめられた美しい音楽は、稀代のメロディメーカー、チャイコフスキーならでは。近年では2018年のディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』が大きな話題となったことも記憶に新しい。

7位 モーツァルト:セレナード ト長調 K.525《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》

最も有名なモーツァルト作品は父の思い出か

〈トルコ行進曲〉と共に最も親しまれているモーツァルト作品がこの曲だろう。直訳すると「小さな夜の音楽(小夜曲)」、つまり小さなセレナーデといった意味のこの作品をモーツァルトが作曲した理由が未だに不明というのも興味深い。

作曲当時、オペラ《ドン・ジョヴァンニ》を手掛けていた中で生み出されたこの美しいメロディは、2ヵ月ほど前になくなった父への思いにも関係があるのだろうか。冒頭のメロディは一度聴いたら耳について離れない。

8位 ホルスト:組曲《惑星》 作品32

占星術から生み出された宇宙の神秘がここに

太陽系に属する地球以外の「惑星」を音楽によって表現したこの作品について作曲者のホルストは「着想のきっかけは占星術です。神話や表題とは全く関係ない音楽です」と語っている。

それにしても具体的な惑星それぞれに音楽をつけた発想力と魅力的な音楽には敬服する。〈木星〉はポップスにも流用される人気曲だ。当時まだ発見されていなかった「冥王星」は、「惑星」に認定された後に除外され、ホルストの《惑星》は今も完全無欠。

9位 ラヴェル:ボレロ

シンプル・イズ・ビューティフルの極み

ラヴェル作品の中で最も有名な曲《ボレロ》が完成したのは1928年。まさに20世紀を代表する名曲だ。その特徴は、スネアドラムが刻む169回に及ぶ均一なリズムに載せたたった2つのメロディが、演奏する楽器を加えながら巨大なクレッシェンドを描き出すという極めてわかりやすい作品だ。

そのシンプルさが故に人気が高く、コンサートで演奏される機会が多い他、伝説のダンサー、ジョルジュ・ドンが踊る映画『愛と悲しみ哀しみのボレロ』も有名。

10位 ドビュッシー: 交響詩 《海》 - 3つの交響的スケッチ

水を音楽で描くことにこだわった男の集大成

印象主義を代表する作曲家ドビュッシーは、《水の反映》《水の精》《雨の庭》など、水を音楽で表現することに強いこだわりを持った作曲家だ。中でも管弦楽を用いた交響詩《海》は、その思いが結集された作品と言えそうだ。

初版のオーケストラ・スコアの表紙には葛飾北斎の『富嶽三十六景』の中の「神奈川沖浪裏」が描かれていたことも印象的だが、この絵から着想を得たかは不明。波乱万丈の私生活が創作の背景に見え隠れする傑作だ。

「クラシック百貨店」はユニバーサル ミュージックのクラシック名盤シリーズ。クラシック愛好家へのアンケートに基づく人気ランキングで選盤された100タイトルが、6月23日より「器楽曲」「協奏曲」「管弦楽曲」「室内楽/歌劇&声楽」「交響曲」とジャンルに分けて、20タイトルずつ発売される。

世界最古のクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」と指揮者・小澤征爾やピアニストの内田光子などの巨匠が所属する「デッカ」(旧フィリップス音源含む)の両レーベルから、人気、クオリティともに最高でエバーグリーンな名盤が選ばれている。

Written by uDiscover Team


■リリース情報

『クラシック百貨店』

発売日:
6/23(水)発売 第1回 器楽曲編 20タイトル
7/7(水)発売 第2回 協奏曲編 20タイトル
7/21(水)発売 第3回 管弦楽曲編 20タイトル
8/4(水)発売 第4回 室内楽、歌劇&声楽曲編 20タイトル
8/18(水)発売 第5回 交響曲編 20タイトル





 

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