Join us

Classical Features

リストの聴くべき作品ベスト10:ロマン派、“ピアノの魔術師”が生み出した名曲選

Published on

“ピアノの魔術師”と称された作曲家、リストが残した最高の傑作10選

フランツ・リスト(Franz Liszt、1811年10月22日 – 1886年7月31日)は、ハンガリーのヴィルトゥオーソ・ピアニストであり、ロマン派で最も重要な作曲家の一人である。

彼の超絶技巧が用いられたピアノ曲は、ピアノのレパートリーの中でも最も技術的に挑戦的な作品として知られている。リストは、フレデリック・ショパン、エクトル・ベルリオーズ、カミーユ・サン=サーンス、リヒャルト・ワーグナーなど、同時代の多くの重要な作曲家と親交があった。

しかし、リストに最も決定的な影響を与えたのは、ヴィルトゥオーソ・ヴァイオリニストのニコロ・パガニーニであった。パガニーニの演奏は、これまで想像もしなかったような困難を乗り越えてピアノ演奏のテクニックに新たな輝きと響きを獲得するよう促し、リストを当時の最高のピアニストにした。

リストは、ベートーヴェン、ベルリオーズ、モーツァルト、ワーグナーなどの作曲家の交響曲、オペラ、大規模なオーケストラ作品の見事なピアノ・トランスクリプションを行った。また、交響詩を含む管弦楽曲も作曲・演奏している。練習曲にハンガリー狂詩曲、メフィスト・ワルツなどのピアノ作品は、技術と表現力が要求される華麗なショーピースとして知られ、ピアノ・ソナタ ロ短調 (1853) は、一般的にリストの最高傑作と認められており、交響詩にも顕著な主題変容の技法の模範となっている。

リストが残した名曲の数々の中から最高傑作10作品をピックアップしてご紹介したい。


Transcendental Études, Nos 1-12
超絶技巧練習曲集 第1-12番

《超絶技巧練習曲集》は、現代のピアノ(とピアニスト!)の限界を超えた挑戦を求める、変化に富み、技術的にも困難な12の曲集だ。

幅広いタイプの曲が収められ、様々な名人芸的なテクニックの習得を必要とする。《超絶技巧練習曲集》の最終稿である第3稿は1852年に出版され、リストのピアノの師であり、多くの練習曲を作曲したカール・ツェルニーに捧げられた。

Liszt: 12 Etudes d'exécution transcendante, S.139 – No.4 Mazeppa (Presto)

Hungarian Rhapsodies Nos 1-19
ハンガリー狂詩曲第1~19番

《ハンガリー狂詩曲》は、ハンガリーの民族的なテーマに基づいた19曲から成るピアノ曲集で、その難易度の高さで知られている。作曲者自身によるオーケストラ、ピアノ二重奏、ピアノ三重奏のための編曲版もある。

リストは、彼の出身地である西ハンガリーで耳にした多くの旋律を取り入れているが、これは実際にはハンガリーの上位中産階級の人々が書いた曲であり、ロマ(ジプシー)のバンドが演奏していたものも多く含まれている。この曲にリストは、ツィンバロンの響きやシンコペーションのリズムなど、ロマのバンドサウンドに特有の効果を多く取り入れている。

Liszt: Hungarian Rhapsody No.6 in D-Flat Major, S. 244

Hungarian Rhapsodies Nos 1-6
ハンガリー狂詩曲第1~6番

《ハンガリー狂詩曲》第1番から第6番は、リストの最も外向的でポピュラーなオーケストラ作品の一つである。ハンガリーの民族的なテーマに基づいた狂詩曲は、ピアノ曲を原曲としており、演奏の難しさで知られている。

《ハンガリー狂詩曲》第2番嬰ハ短調は、この曲集の中で最も有名な作品だ。オリジナルのピアノ独奏版と管弦楽編曲版ともに、アニメにも良く使われており、そのテーマはいくつかのポピュラー・ソングのベースにもなっている。

Liszt: Hungarian Rhapsody No.2 In C Sharp Minor, S.244

La Lugubre Gondola
悲しみのゴンドラ

《悲しみのゴンドラ》は、リストの晩年の最高傑作の一つである。この深く内省的な作品は、リストが1882年にヴェネツィアでワーグナーの死を予感していたときに、ヴェネツィアの 潟湖に浮かぶ葬送用ゴンドラの印象的な映像からインスピレーションを得たものである。

リストの敬愛する義理の息子であったワーグナーは、リストがこの作品を作曲してから2ヵ月も経たない1883年2月に、まさにそのような葬列の中で最期の安息の地へと運ばれていった。

Liszt: La Lugubre Gondola, S.200 no.2

Mephisto Waltz No. 1
メフィスト・ワルツ第1番

《メフィスト・ワルツ》第1番は、リストが作曲した4つの《メフィスト・ワルツ》の中で最も人気のある曲である。このワルツは、ドイツのファウスト伝説に登場する悪魔、メフィストにちなんで名づけられた。

リストの名人芸的な音楽のスタイルは、これらの作品に見事に反映されており、彼の悪魔や標題音楽に対する強い興味が反映されている。

Liszt: Mephisto Waltz No.1, S. 514

Piano Sonata In B Minor
ピアノ・ソナタ ロ短調

ピアノ・ソナタ ロ短調は、一般的にリストの傑作と認められており、彼の重要な技法である「主題変容」の模範となっている。

この壮大な単一楽章のピアノ独奏のためのソナタは、音楽的にも技術的にも演奏者に最大限の力を要求するものであり、リストの最高傑作の一つである。リストは、シューマンがリストに「幻想曲ハ長調 作品17」を献呈したことへの返礼として、このソナタをロベルト・シューマンに献呈した。

Liszt: Piano Sonata In B Minor, S.178 – Lento assai – Allegro energico

A Faust Symphony
ファウスト交響曲

《ファウスト交響曲—3つの人物描写による》は、ゲーテの戯曲『ファウスト』に触発されて作曲された。リストはファウストの物語を追うのではなく、3人の主人公(ファウスト、グレートヒェン、メフィストフェレス)の肖像を音楽で描いている。

彼は、音楽的なアイデアを様々な変化を経て発展させていく「主題変容」という音楽技法を生み出した。エクトル・ベルリオーズは、リストに捧げた《ファウストの劫罰》を作曲したばかりで、リストはその恩返しとして、この交響曲をベルリオーズに捧げている。

Liszt: A Faust Symphony, S.108 – 1. Faust

Piano Concerto No. 1
ピアノ協奏曲第1番

フランツ・リストは26年の歳月をかけて、このピアノ協奏曲第1番変ホ長調を作曲した。彼は1830年、19歳の時に最初のピアノ協奏曲の主要主題を書いている。冒頭の力強いモチーフは、後続のすべての主題から派生した、本質的な要素を含んでいる。この協奏曲は4楽章で構成されているが、単一楽章のように連続して演奏される。

Liszt: Piano Concerto No. 1 in E-Flat Major, S. 124 – I. Allegro maestoso

Piano Concerto No. 2
ピアノ協奏曲第2番

リストのピアノ協奏曲第2番イ長調は単一楽章で書かれており、6つの部分から成る。音楽学者の中には、ピアノによる交響詩のようだと考える者もいる。ピアノ協奏曲第1番と同様に、この協奏曲の全体は、冒頭の旋律に由来しており、この旋律は作品全体で変化している。

Liszt: Piano Concerto No.2 in A, S.125 – 1. Adagio sostenuto assai

Totentanz
死の舞踏

1832年にパリでコレラが流行した時の悲惨な光景をきっかけに、リストはグレゴリオ聖歌の旋律「怒りの日(Dies Irae)」を多くの作品で使用した。この曲はグレゴリオ聖歌の素材に基づいているため、リストの《死の舞踏》には中世的な響きを持つ模倣対位法が含まれているが、アレンジの最も革新的な点は、非常に現代的で打楽器的な響きのピアノ・パートにある。

Liszt: Totentanz, S. 525

Written By uDiscover Team



 

Share this story
Share
日本版uDiscoverSNSをフォローして最新情報をGET!!

uDiscover store

Click to comment

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Don't Miss