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史上最高の指揮者は誰か?ヘルベルト・フォン・カラヤンやカルロス・クライバーなど偉大な指揮者20選

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Illustration: uDiscoverMusic

史上最高の指揮者は誰なのか?ヘルベルト・フォン・カラヤン、カルロス・クライバーといった伝説的なマエストロから、グスターボ・ドゥダメル、サー・サイモン・ラトルなどの現代のスターまで、様々な角度から議論を重ね、偉大な指揮者のリストを作成した。スクロールして、私たちが選んだ20人の指揮者をご覧いただきたい。


20:ブルーノ・ワルター(1876-1962、ドイツ)

偉大な指揮者の黄金時代の一人であるワルターは、19世紀のオーストリア・ドイツの音楽作りの伝統の中で、最高のものを体現していた。彼が録音したモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ブルックナーは高い水準を誇る、ブラームスの交響曲やワーグナーのオペラに対する彼の共感は特に大きかった。また、マーラーと親交があったことから、マーラーの録音には特別な重みがある。

その中でも《大地の歌》では、親交のあったキャスリーン・フェリアとユリウス・パツァークとの共演が記録されている。「私の音楽人生における最大の出来事は、キャスリーン・フェリアとグスタフ・マーラーを知ったことだ」とワルターは語っている。彼は技術的な正確さよりも、音楽の感情表現や叙情性を重視し、毅然とした態度と穏やかな説得力をもってオーケストラ(1938年以降は主にアメリカ)を指揮した。

重要な録音:
ブラームス:交響曲全集
マーラー:大地の歌
モーツァルト:交響曲第36番~第41番


19
カルロ・マリア・ジュリーニ(1914-2005、イタリア)

1964年にロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでジュリーニがヴェルディの《レクイエム》の〈怒りの日(Dies Irae)〉を指揮している有名な映像を見た人は、その映像を忘れることはないだろう。その激しさ、正確さ、そして記念碑的な構想を超えるものはほとんどない。彼はヴィオラ奏者としてフルトヴェングラー、クレンペラー、リヒャルト・シュトラウス、ブルーノ・ワルターの指揮の下で演奏していたが、第二次世界大戦後(強固な反ファシストの信念により身を隠していた)、すぐにオペラ指揮者として脚光を浴びるようになり、1953年にスカラ座でデ・サバタの後を継いだ。

コヴェント・ガーデンでヴィスコンティの演出によるヴェルディの《ドン・カルロ》を指揮したことで、ジュリーニの国際的な名声が確立された。彼の指揮者としての仲間意識、イタリア的な情熱、そして彼が生み出す音の感情的な暖かさは、様々なレーベルやオーケストラのために録音された数多くの作品が時の試練を経ることを可能にした。

重要な録音:
モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》
ヴェルディ:歌劇《ドン・カルロ》
ヴェルディ:レクイエム

18アンドレ・プレヴィン(1929-2019、ドイツ/アメリカ)

プレヴィンが指揮者として世界的に注目されたのは、1968年にロンドン交響楽団の首席指揮者に就任してからである。それまでのプレヴィンは、アメリカでジャズ・ピアニスト、映画音楽の作曲家、編曲家として成功を収めていた(アカデミー賞を4回受賞している)。主要オーケストラでの経験が浅いこと、若さと多才さ、そしてどんな音楽的な仕事も難なくこなすことから、彼がこのポストに就任することは物議を醸した。

プレヴィンはメディアに精通しており、クラシック音楽を紹介するテレビ番組は絶大な人気を誇り、チケットやレコードの売り上げも好調だった。ヴォーン・ウィリアムズ、ラフマニノフ、ウォルトン、ショスタコーヴィチの交響曲を収録した一連の録音は、彼を軽薄な人間だと決めつけたがる人々を断固として撃退した。LSOの後、ピッツバーグ(1976-84年)、ロサンゼルス(1985-89年)を経て、1985年から1992年までロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めたほか、オスロや東京でも活躍した。

重要な録音:
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲全集
コルンゴルト:映画音楽集
ウォルトン:交響曲第1番・第2番

17ニコラウス・アーノンクール(1929-2016、ドイツ)

最高の指揮者の一人であるアーノンクールは、音楽家としてのキャリアをチェリストとしてスタートし(17年間オーケストラ奏者であった)、カラヤン、エーリヒ・クライバー、オーマンディ、カール・シューリヒトなどの下で演奏していた。1953年には、バロック音楽の世界と演奏の実践を探求する目的で、古楽器オーケストラ「ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」を結成した。

1957年のデビュー以来、アーノンクールはこのグループを率いて、バッハ、ラモー、テレマンなどの記念すべき録音を重ねてきた。彼は、オーケストラの音色の均質性を追求したように、演奏者に対してもお互いを尊重する姿勢を貫いた。彼の活動は、現代の多くの音楽家に大きな影響を与えている。

重要な録音:
バッハ:マタイ受難曲
ベートーヴェン:交響曲全集
モンテヴェルディ:歌劇《オルフェオ》《ウリッセの帰還》《ポッペアの戴冠》

16ウィレム・メンゲルベルク(1871-1951、オランダ)

メンゲルベルクは、1895年にアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の常任指揮者に任命され、1945年まで在籍し、同楽団を世界で最も偉大なオーケストラの一つに育て上げた。リヒャルト・シュトラウスやマーラーの作品を擁護したことでも知られ、世界のあらゆる名門オーケストラを指揮した。彼の録音には衝撃的なものが多い。シュトラウスは《英雄の生涯》をメンゲルベルクとコンセルトヘボウに捧げており、マーラーは自作曲の理解についてメンゲルベルクを高く評価していた。

メンゲルベルクは1920年にマーラーの交響曲をすべて演奏するフェスティバルを主導しているが、この作曲家がこのように取り上げられたのは初めてのことであった。メンゲルベルクはラフマニノフ、バルトーク、ヒンデミット、ラヴェル、コダーイ、プフィッツナー、ブロッホなど同世代の作曲家にも注目した。しかし20世紀前半の最も重要な指揮者の一人であったメンゲルベルクのキャリアは、ナチス・ドイツ占領下でも指揮活動を継続していたことで事実上終わってしまった。1945年、オランダ当局は、メンゲルベルクがナチスに共鳴したことはないと認めたにもかかわらず、オランダでの指揮を禁止した。メンゲルベルクのある追悼記事では、「現代の最も偉大な指揮者の一人であり、レンブラント以来、最も偉大なオランダ人である」と書かれている。

重要な録音:
リヒャルト・シュトラウス:英雄の生涯
マーラー:交響曲第4番
ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》《オイリアンテ》《オベロン》(序曲集)

15ダニエル・バレンボイム(1942-、アルゼンチン)

不屈の精神を持つバレンボイムは、1960年代に指揮者としての “第2”のキャリアをスタートさせて以来、音楽界のトップに君臨し続けている。7歳でコンサート・ピアニストとしてデビューしたバレンボイムは、1954年に両親に連れられてザルツブルクに行き、イーゴリ・マルケヴィチの指揮クラスに通い、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの影響を受けた。フルトヴェングラーは「11歳のバレンボイムは天才だ!」と書いている。

バレンボイムは、パリ管弦楽団(1975-88年)、シカゴ交響楽団(1991-2006年)、そして1992年からはベルリン国立歌劇場とシュターツカペレ・ベルリンの音楽監督を務めるなど、目覚ましい活躍を見せている。偉大な指揮者の一人であるバレンボイムは、現在、1999年にパレスチナ人作家のエドワード・サイードと共同で設立した、アラブ諸国とイスラエルの若手音楽家によるウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団の指揮に多くの時間を費やしている。

重要な録音:
ワーグナー:楽劇《ニーベルングの指環》
ブルックナー:交響曲全集
チャイコフスキーとシベリウス:ヴァイオリン協奏曲(リサ・バティアシュヴィリとの共演)

14.ヴァレリー・ゲルギエフ(1953-、ソビエト連邦/ロシア)

ゲルギエフは、無精ひげを生やした姿、指揮棒を使わない指揮法でも知られる、今日の最も偉大な指揮者の一人であり、自国の音楽界に大きな影響力を持っている。1977年にベルリンでカラヤン指揮者賞を受賞したゲルギエフは、レニングラードのキーロフ歌劇場(現在はマリインスキー歌劇場に改称)の副指揮者として注目を集めた。1988年、ゲルギエフはマリインスキーの首席指揮者兼芸術監督に就任し、レパートリーを増やしながら、演奏のレベルを世界に通用するものにまで高めた。彼は多忙なスケジュール、絶え間ないエネルギー、情熱に溢れた音楽作りで知られている。

重要な録音:
ショスタコーヴィチ:交響曲第7番
プロコフィエフ:交響曲全集
ムソルグスキー:歌劇《ボリス・ゴドゥノフ》


13:ユージン・オーマンディ(1899-1985、ハンガリー)

ブダペストに生まれたブラウ・イェネー(*オーマンディの本名)は1921年に渡米し、ニューヨークのキャピトル・シアター・オーケストラにヴァイオリン奏者として入団。彼が初めて指揮を経験したのは1924年、急病で倒れた指揮者の代役を務めたときだった。そして彼が次の段階に進んだのは1931年。フィラデルフィア管弦楽団の公演で、病で倒れたトスカニーニの代役として出演したときである。

1938年、オーマンディはフィラデルフィア管弦楽団の首席指揮者に就任し、1980年までその職にあった。これは主要オーケストラと指揮者の間の歴史上、最も長い関係の一つである。オーマンディは、リズムの推進力、オーケストラの透明感、弦楽器の音色の豊かさなど、優れた資質を持っており、伴奏者としても優れた手腕を発揮していた。

重要な録音:
サン=サーンス:交響曲第3番
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番・第3番・第4番(ラフマニノフとの共演)
チャイコフスキー:交響曲第6番

12:サー・ジョン・バルビローリ(1899-1970、イギリス)

バルビローリは、指揮者としての正式な教育を受けていない。ヴァイオリニストの父と祖父(二人ともヴェルディの歌劇《オテロ》の初演で演奏した)から受け継いだ音楽性と、チェリストとしての経験が、彼に必要なものをすべて与えたのである。1920年代後半には、コヴェント・ガーデンにある英国国立歌劇場(現在のロイヤル・オペラ・ハウスの前身)で指揮をしていた。

ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督(トスカニーニの後任として)としての不幸な任期を務めた後、1943年にマンチェスターのハレ管弦楽団の首席指揮者に就任した。そこで残りの音楽人生にこの楽団と今日まで語り継がれるほどのいい関係を築いた。バルビローリは、1930年代にクライスラーにハイフェッツ、ルービンシュタインやバックハウスらのような音楽家との録音が証明しているように、交響曲のレパートリーはさておき、オーケストラの伴奏者として最高の人物の一人であった。

重要な録音:
エルガー:チェロ協奏曲、海の絵
エルガー&ヴォーン・ウィリアムズ:弦楽作品集
マーラー:交響曲第5番

11フリッツ・ライナー(1888-1963、ハンガリー)

アメリカの評論家ハロルド・ショーンバーグは、ライナーについて、「音楽の知識人、比類なき音楽家、そして事実上、この分野で並ぶ者がいない耳の持ち主として、フリッツ・ライナーは20世紀の音楽界と思想の中でユニークな位置を占めていた」と書いている。ライナーは、技術的な正確さ、フレージングやダイナミクスの精密さ、綿密な準備、そして彼の憧れであり、偉大な存在であるアルトゥール・ニキシュから受け継いだ恐るべき気性と鋭いまなざしによって記憶されている。

1922年に渡米した彼は、まずシンシナティ、ピッツバーグのオーケストラを運営したが(1922-48年)、最も賞賛されているのはシカゴ交響楽団との仕事と録音である。ライナーがシカゴ交響楽団に在籍していた時期はRCAが「Living Stereo」というレコーディング・シリーズを開始した時期と重なっており、彼がこのレーベルのために制作したほとんどすべてのディスクは、伝説的なものとなっている。

重要な録音:
バルトーク:管弦楽のための協奏曲
ロッシーニ:序曲集
リヒャルト・シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき、ドン・キホーテ、ドン・ファン

10サー・サイモン・ラトル(1955-、イギリス)

最高の指揮者の一人であるラトルは、幼い頃から「他の子供たちがマンガを読むように」楽譜を読み、1971年に王立音楽院に入学する前から、故郷のマージーサイドで指揮をしたりコンサートを企画したりしていた。ラトルはヨーロッパ各地のオーケストラに客演して経験を積んだあと、1980年にバーミンガム市交響楽団の首席指揮者に就任当時には決して知名度が高いとは言えなかった同オーケストラを、徐々に世界的なレベルのオーケストラへと育て上げ、その名を轟かせたのである。

彼はこのオーケストラに18年間在籍し、1999年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に任命され、2002年から2018年までこのポストを務めた。2017年からはロンドン交響楽団の音楽監督を務めており、2023年からはミュンヘンのバイエルン放送交響楽団の首席指揮者に就任する予定である。ラトルの音楽的欲求は、レパートリーの範囲だけでなく、演奏法においても貪欲で、現代のオーケストラと同様にピリオド楽器の演奏にも精通している。レパートリー(彼は多くの現代音楽を演奏している)とスタイルの多様性は、ラトルの並外れた才能を特徴づけるものである。

重要な録音:
ラフマニノフ:合唱交響曲《鐘》、交響的舞曲
バッハ:マタイ受難曲
ガーシュウィン:歌劇《ポーギーとベス》

グスターボ・ドゥダメル(1981-、ベネズエラ)

カリスマ的な存在であるドゥダメルは、急速にその地位を築き上げてきた。これほど若くして、しかも短期間で世界的な評価を得た指揮者は、他にはおそらくレナード・バーンスタインしかいないだろう。ドイツ・グラモフォンは、わずか24歳で彼と契約した。幼少期の音楽教育をベネズエラの有名な「エル・システマ」で受けた後、1995年に指揮を始め、1999年に最初の音楽監督のポスト(シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ)に任命された。

その10年後には、ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督に就任。2026年までの契約で現在も同団の音楽監督を務めており、2021年8月1日からはパリ・オペラ座の音楽監督にも就任。2019年には、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムの「スター」を獲得した。最高の指揮者の一人であるドゥダメルは、驚異的な存在である。

重要な録音:
チャイコフスキー:交響曲第5番、フランチェスカ・ダ・リミニ(シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラとの共演)
アイヴズ:交響曲全集
ウィリアムズ:ジョン・ウィリアムズ・セレブレーション

8レオポルド・ストコフスキー(1882-1977、イギリス)

ストコフスキーは、音楽愛好家たちに、何世代にもわたって華やかで独裁的、完全無欠で近寄りがたい存在…というステレオタイプの指揮者像を体現してきた。それは、アニメーション映画『ファンタジア』(1940年)の制作でウォルト・ディズニーとコラボレーションしたことが大きく影響している。1909年にデビューした彼は、1975年に最後のコンサートを指揮した。

その長い音楽人生の中で、フィラデルフィア管弦楽団を率いて世界有数のオーケストラに育て上げ(1912-36年)、その後、全米青年管弦楽団(1940年)、ニューヨークシティ交響楽団(1944年)、ハリウッド・ボウル交響楽団(1945年)、アメリカ交響楽団(1962年)を設立した。有名な話だが、彼は指揮棒を使わずに指揮をした。また、可能な限り新しい作品をプログラムに取り入れるようにし、観客が音楽に親しめるように、J.S.バッハの作品を中心に、オーケストラのために数多くのトランスクリプション作品を書いた。

重要な録音:
バッハ/ストコフスキー:トランスクリプション作品集
グリエール:交響曲第3番《イリヤ・ムロメッツ》
ワーグナー/ストコフスキー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》の交響的合成

サー・トーマス・ビーチャム(1879-1961、イギリス)

ビーチャムの父、サー・ジョセフは、ビーチャム製薬会社(現在はグラクソ・スミスクライン株式会社の一部)の創業者で、大変裕福であった。おそらく、トーマス・ビーチャムほど、相続した富を自国の音楽界に投資し、発展を促進させたアーティストはいないだろう。彼の天性の音楽性は、彼の起業家としての能力と一致していた。

1905年にニュー・シンフォニー・オーケストラ、1910年にビーチャム交響楽団を設立し、コヴェント・ガーデンでオペラのシーズンを開催(1913年)、ディアギレフのバレエ・リュスをロンドンに誘致(1913-14年)、1932年にロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、1946年にロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を設立。ディ―リアス、シベリウス、リヒャルト・シュトラウスの音楽を擁護し、ハイドンとモーツァルトの演奏では他の追随を許さなかった。彼は『ロリポップス』(オーケストラのアンコール・ピース集)で知られていることからもわかるように、ウィットに富んでいたことでも有名だ。

重要な録音:
プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》
リムスキー=コルサコフ:シェヘラザード
ディーリアス:人生のミサ、北の国のスケッチ

クラウディオ・アバド(1933-2014、イタリア)

アバドは、オーケストラの音楽家、ソリスト、そして聴衆から最も尊敬され、愛されているマエストロの一人といえるだろう。プライドが高く、無口で、非常に秘密主義な男であるにもかかわらず、彼はロンドン交響楽団、ウィーン国立歌劇場、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を歴任した名指揮者である。

偉大な指揮者であるアバドは、2つのユースオーケストラ(EC ユース管弦楽団とグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ)を設立し、2000年に命がけのがん手術を乗り越えた後は、トップ・オーケストラのメンバーである友人たちから厳選された奏者で構成されるルツェルン祝祭管弦楽団を設立した。

重要な録音:
ブルックナー:交響曲第1番
ショパン:ピアノ協奏曲第1番/リスト:ピアノ協奏曲第1番(マルタ・アルゲリッチとの共演)
マーラー:交響曲第3番(ルツェルン祝祭管弦楽団との共演)

レナード・バーンスタイン(1918-90)

20世紀の音楽界で最も重要な人物の一人であるバーンスタインは、間違いなく、ただの指揮者ではなかった。自然体でカリスマ性があり、ハンサムな顔立ちと高い知性を備え、すぐれたピアニスト・教育者であり、あらゆるジャンルの音楽を手がけた作曲家でもあった。最も有名なのは、1958年から1969年までニューヨーク・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務めたことである。

この時期、彼は多くのテレビ番組に出演したり、プレビューコンサートを行うことで、クラシック音楽の神話を解き明かすことに成功した。偉大な指揮者の一人であるバーンスタインは、多彩で広大なレパートリーを楽しみ、コロムビアとのレコーディング契約によって、自分が選んだものをほぼすべて録音することができていた。

重要な録音:
マーラー:交響曲全集
バーンスタイン:チチェスター詩篇、交響曲第2番
シベリウス:交響曲全集


ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(1886-1954、ドイツ)

フルトヴェングラーは、少なくとも2つの点で後述のトスカニーニとは正反対の人物である。まずビートが不正確なことで有名であり(時には意図的にそうすることもある)、次に第二次世界大戦中も祖国に留まっていた。一方でトスカニーニはファシスト政権下のドイツとイタリアでの指揮を拒否している。フルトヴェングラーは、紛れもなく20世紀最大の解釈力を持つ音楽家の一人である。

指揮者として、彼はその場の状況に合わせたパフォーマンスをすることができたが、これは今まで他のほとんどの指揮者が超えることも並ぶこともできないやり方であった。彼の目標は常に、音楽そのものの感情的、精神的な本質を探し出すことであり、それが並外れた力を持つ演奏を生み出すのである。

重要な録音:
ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》
ベートーヴェン:歌劇《フィデリオ》(ザルツブルク、ライヴ録音、1950年)
ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》(ウィーン、ライヴ録音、1944年)


アルトゥーロ・トスカニーニ(1867-1957、イタリア)

20世紀最大の指揮者(音楽家)の一人であるトスカニーニは、生前から伝説的な存在であり、その名声は職業の代名詞ともいえるものだった。トスカニーニは専制君主と恐れられ、完璧主義者であり、気性が荒いことでも知られているが、録音や放送を通じてクラシック音楽界を支配していた。1937年には彼のためにNBC交響楽団が結成され(1954年に最後の演奏会を行った)、その過程でアメリカでの知名度を高めていった。

トスカニーニは膨大なレパートリーを誇っていた(彼が近眼だったからというだけではなく、常に記憶を頼りに指揮をしていた)。トスカニーニのトレードマークは、スリリングなまでに緊張感のある、細部にまでこだわった明快な演奏である。リハーサルの様子を撮影した映像では、彼が「Cantare!(歌え!)」と奏者たちを鼓舞する声がよく聞こえてくる。

重要な録音:
ドビュッシー:海
ヴェルディ:歌劇《アイーダ》
ワーグナー:歌劇《ローエングリン》(第1幕への前奏曲、第3幕への前奏曲)

ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-89、オーストリア)

カラヤンは、20世紀後半の最も有名で影響力のある指揮者である。彼の天才的な音楽的才能は、猛烈な野心と狡猾な政治的手腕と結びついていた。今日、ザルツブルク音楽祭のディレクターやベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者(1954年から1989年まで在任)として記憶されているカラヤンは、ドイツ・グラモフォンのクラシック・カタログの25%を占めていたこともある。

彼の生涯で、1億枚以上の録音が販売された。偉大な指揮者の一人であるカラヤンは、クラシック音楽界を支配し、先駆的な熱意をもって新しいデジタル技術を取り入れ、彼を最も有名にしたウィーン古典派の演奏では、今でも比類のない存在となっている。

重要な録音:
ベートーヴェン:交響曲全集-フィルハーモニア管弦楽団
ブラームス:交響曲全集-ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番-ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

カルロス・クライバー(1930-2004、オーストリア)

クラウディオ・アバドは彼を「20世紀で最も重要な指揮者」と呼んだ。確かに彼は最もカリスマ的な存在であった。クライバーの指揮を見ることは(彼のリハーサルや演奏中のフィルムは数多く残っている)、結果を聴くのと同じくらい楽しいことである。彼はいつでも笑顔を絶やさず指揮をし、喜びに満ちているように見える。テノール歌手のプラシド・ドミンゴは、クライバーのことを「今まで会った中で最も音楽的な人」と言っている。

しかし、少数の作品に集中した彼の全キャリアの中で、彼が指揮したコンサートはわずか96回、オペラ公演は約600回に過ぎない。1982年以降はスタジオ録音を行っていないが、その録音は比類なきものだと多くの専門家が評価している。気に入らないことがあるとすぐに家に帰ってしまう彼は、次第に引きこもりがちになった。さらに完璧さにこだわるあまり、1999年に最後のコンサートを行うまでの10年間、わずか数回のコンサートしか行わなかったという。

重要な録音:
ベートーヴェン:交響曲第5番・第7番
ニューイヤーコンサート(1989年、1992年)
リヒャルト・シュトラウス:歌劇《ばらの騎士》

おすすめの録音

カルロス・クライバーの『コンプリート・レコーディング・オン・ドイツ・グラモフォン Complete Recordings On Deutsche Grammophon』には、オーケストラ作品の、ベートーヴェンの交響曲第5番と第7番、ブラームスの交響曲第4番、シューベルトの交響曲第3番と第8番の3枚のCDに加え、オペラでは、《魔弾の射手》《こうもり》《椿姫》《トリスタンとイゾルデ》の4作品が録音されている。

「クライバーの魔法は、音楽のすべての小節に現れている。ベートーヴェンとブラームスはリリースされた時と同じように新鮮に聴こえ、3枚組の《トリスタン》にはマーガレット・プライスの華麗なベルカントのイゾルデが入っているのが何よりすばらしい…このコレクションは本格的な音楽愛好家の必需品だ」(サンデー・タイムズ紙)

Written By uDiscover Team


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