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フレイヤ・スカイLA公演ライヴレポ:輝く星のオーラを放つ世界的スターの誕生

ディズニー・チャンネル出身、16歳の新星ポップスター、フレイヤ・スカイが2月6日より「ザ・スターズ・アライン・ツアー」をスタート。2月10日に行われたロサンゼルス公演について、音楽ジャーナリストの鈴木美穂さんによるライヴ・レポートが到着。
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LA公演を完売にしたファン
2025年12月にシングル「silent treatment」を発表して初のヒットを獲得し、2月4日に待望のデビューEP『stardust』をリリースしたフレイヤ・スカイ。その2日後、オレゴン州ポートランドからスタートした「ザ・スターズ・アライン・ツアー」のロサンゼルス公演を訪れた。
会場となった歴史あるウィルターン・シアターは、前座のエイドリアン・ライルズの時から小中学生ぐらいの女子とその親達で満杯。男子もいるけれど9割は女子で、その多くが会場で購入したTシャツやパーカーを誇らしげに着ている。
女性ポップスターの初のツアーは大抵いつもこんな客層だが、13歳の時に「ジュニア・ユーロビジョン・コンテスト2022」のイギリス代表としてオンラインの世界登場で首位になり、俳優とシンガーのデビューが同時に決まったフレイヤの場合、昨夏公開のディズニー・チャンネルのミュージカル映画『ゾンビーズ4 バンパイアたちの夜明け』でノヴァ役を演じた彼女のファンになった人達が大半のようだ。
出演時間直前に、スタンディングのフロア後方のVIPエリアに『ゾンビーズ』シリーズの主演男優マイロ・マンハイムが現れて、場内が大騒ぎになった。マイロは同じく共演者のチャンドラー・キニーと並んで、写真のためにポーズを取ったり笑顔で手を振ったりと、ナイスガイだった。
運命の星が巡り合ったツアー
「スターズ・アライン・ツアー(星々が巡り会うツアー)」という名は、フレイヤの初の本格的なヘッドライナー・ツアーに相応しい。このツアーは、『ゾンビーズ』シリーズで新たなファンを獲得し、「silent treatment」のリリース直後にiHeart Radioのジングルボールというフェスティバル出演とアコースティック・ショウを行って正式なツアーに備えてきたことを含めて、彼女のこれまでの努力と、類稀なる才能と、そして自ら作詞作曲も手がけた『stardust』の発表、そういった運命の星の配置が整って、まるで天が彼女の成功を祝福しているような意味を持つからだ。
9時過ぎ、星空に見えるような菱形のライトの紐を天井から幾重にも吊り下げたステージに、3人のバンドメンバーと共にフレイヤは颯爽と現れた。長いブロンドの髪に映えるラメ入りのパープルのドレスと黒のブーツ姿で、「レッド」ツアー時のテイラー・スウィフトを思い出させる。
フレイヤはKIIS FMの取材で、テイラーのことを「長年テイラーを愛してきたけれど、彼女は本当に天才だと思う。言うまでもなくソングライティングは最高だし、ショウでのパフォーマンスも、ファンとの交流の仕方も、全員を特別な存在に感じさせてくれて、本当に多くを学んだの」と、熱く語っていた。
大歓声と大合唱で始まったオープニング曲は2025年1月発表のシングル「Can’t Fake It」で、彼女は歌いながら「次は何?」と叫んで、観客にさらに歌わせる。頭からすっかり全てのファンを取り込む見事なパフォーマンスにも驚いたが、何よりミュージカル俳優レベルのパワフルな歌声の瑞々しさと鮮やかさに圧倒された。
続いてEP収録の「petty」も最初から大合唱に。歌い終えてフレイヤは、「まだ2曲だけど、あなた達、すごく大きな歌声ね!最高の時間を楽しんでいるのが分かるよ! 大好き!」と、大きな笑顔を見せた。「ショウの開始に一番いい方法は、キャリアを始めた曲からやることだと思うんだ。これは「walk over」。知ってたら歌って!」。2024年7月に発表された彼女のファースト・シングルも全観客が熟知していて、大合唱が巻き起こった。
エモーショナルで透明感のある驚異的なヴォーカル
『stardust』の曲も皆に大歓迎されているのが見えるショウで、続く「why’d you have to call」も、エモーショナルなサビのシンガロングの盛り上がりがもの凄かった。
次に未発表のアップテンポのダンス・ポップ曲 「bad taste」を挟んで、「照明をつけてくれる? 皆と話せるように」と会場を明るくしてから、ファンに挨拶。彼女は様々なサインを持ったファンを見つけては、「あなたのサイン大好き!」「あなた達、最高!」と褒めまくる。「そこにいるのはマイロとチャンドラー? 大好きだよ。来てくれてありがとう!」と、二人にも挨拶。「ここにキャンプファイアーの用意がしてあるんだ。ちょっと取ってくるものがあるから、待ってて!」と言ってから、デニムカラーのトップスをドレスの上に羽織って再登場したフレイヤは、白い台の上に腰掛け、ベースのアナとギターのドニーがキャンプファイヤーを囲むように彼女の隣に座った。
「今までどんな星に感謝したかなって考えていた時に、思い出したのがキャンプファイヤーで。皆もキャンプファイヤーで夜空の星を見つめたことってあるでしょ。だからここからのステージは、キャンプファイヤーセクション。いいかな?」
大歓声を受けて彼女はバンドメンバーを紹介し、アナとドニー、そしてドラムのデイヴィッドに『stardust』の中のお気に入りの曲を尋ねてから、「これでお互いのことを知れたよね。でも私、もうあなた達のことはよく知ってる気がするよ。次は、歌ってて悲しくなる曲なんだけど、この曲にはすごく感謝してるんだ。辛い時期のことを書いた曲だけど、今はこの素敵な会場で、こんなに素敵な皆の前で歌えるんだから」。
そう言って始まったのは、失恋を経験した女子は深く共感するであろうバラード曲の「Who I Thought I Knew」。共作者がいるとはいえ、当時15歳でこんなに深い歌詞のラブソングが書けるのは凄い。さらに凄いのが、穏やかなブリッジからサビにかけての盛り上がりを最大限に高められるエモーショナルで透明感のあるヴォーカルだ。その声に導かれ、大合唱がまた場内を包んだ。
「次の私が書いた曲は、私の家についての曲で。仕事を始めてツアーに出るようになって、この“天使の街”に来た時に、実家が恋しくなったんだ。私の犬ルビーに朝4時に起こされてイラつくこととか、そういうちょっとしたことが、家を家にしてて。この曲を歌っている間に、家って単なる場所以上の意味あるって思った。それでこの曲は、場所だけじゃなく、誰かや何かについての曲にもなるって気づいた。“london”って曲よ。皆も考えてみて欲しいんだ。皆にとってのロンドンは何かって」
ファンがより曲に共感できるように親しみを込めて語りかけながらショウを進めていく姿は、初のツアーの、まだ3日目の公演とは思えない。アコギがベースの穏やかな曲調に合わせて、サビでフレイヤが右手を掲げて大きく振ると、携帯を持ったファンの手も一斉に揺れ、幻想的な空間を作り出した。

「このEPには本当に興奮してる。皆が気に入ってくれてるだけじゃなくて、曲の話をしたり、ビデオを作ってくれたりして、本当に感謝してるよ。あなた達のおかげで、私はこれがやれてるんだから。本当にありがとう! 次の曲は、EPの中ですごく私の心に近い曲なんだ。最後に書いた曲で、唯一の悲しくてよりスローな曲だけど、美しいみんなの前で歌えて本当に嬉しいよ。一緒に歌ってくれたら嬉しいな」
と、真摯にお礼を伝えてから披露されたのは、「maybe tomorrow」だ。大歓声と大合唱から、ファンも大好きな曲だと分かる。アコースティック・バージョンで彼女のヴォーカルの美しさが一層際立っていた。
ファンをリスペクトする謙虚なスター
アコースティックのキャンプファイヤー・セクションを終え、白いワンピースに着替えたフレイヤは、パワーバラードの「someone to love」を熱唱。そのワンピースを脱ぎ捨て、一瞬で最初のパープルのドレス姿に戻るとまたギターを手にして、「質問があるの。これまでに、すごく完璧で優しくて思いやりがあって、愛情に溢れててる人に出会ったことはある? “あなたって最高の人!!” って思って。でもある日、欠点を見つける。それで、ああ、完璧な人を演じてるんだ、恋愛コメディ映画の見過ぎで、何をすればいいかは分かってるタイプねって思うわけ。そういうタイプの人を、ナルシストって呼ぶよね。でも私はゴールデン・ボーイって呼びたいんだ」と、「golden boy」を披露。
こんな風に作曲の裏話を語った上で、ギターを弾きながらエネルギッシュに歌う姿は、テイラーだけでなくロックなステージが魅力のオリヴィア・ロドリゴも彷彿とさせた。でもフレイヤだけの魅力が確実にあって、それは桁外れの歌唱力だけではなく、彼女の全身から放たれる眩しいオーラだ。まさに星の輝きを思わせる眩さが、彼女の伸びやかで透明感のある歌声にも、軽やかに動き回るパフォーマンスにも、キラキラの笑顔とハイトーン・ボイスで観客を煽るMCにも宿っている。
まさにスターになるために生まれたような人なのだけれど、彼女自身は“星”を特別な存在とは思っていない。『stardust』というタイトルも、KIIS FMの取材によると、人は誰もが星のような存在で、私達は星屑なのだという思いから来ているそうだ。だから彼女はファンと同じ目線でいるし、むしろファンを心からリスペクトしているのを感じる。
「私の家族に聞かれたの。“ステージ上でどんな気分?”って。本当に、クレイジーな気分よ。あなた達はここに来ると決めて、ここまで来てくれて、衣装やブレスレットを自作したり、本当に色々努力してくれて、本当に光栄だよ。ご両親も! 車で来てくれたことも、チケットを購入してくれたことも、すごく大変だったって分かっているから、本当に感謝しています」
付き添いの親にまでお礼をいう謙虚なスターを見たのは初めてだ。ショウの間中、「フレイヤ愛してる!」の叫び声が次々にあがっていたが、フレイヤはファンの愛情にMCとパフォーマンスでしっかりと応えていた。

「昔の私は、祖母の家の暖炉の前の花瓶や写真立てを全部片付けて、ステージにして歌ってた。この台ぐらいの幅で本当に小さなステージだったけど、こんな風に観客が目の前にいるのを想像して。だから、これが現実になったのは頭では理解できないぐらい凄いことなんだけど、どうもありがとう。この曲はね、どんな夢も大きすぎることはないって思い出させてくれるんだ。“My Own Way”だよ」
自分の大きな夢が叶ったことはファンのおかげだと伝えてから披露された『ゾンビーズ4』の曲も、大きな盛り上がりを見せた。
ハイライトとなった最新シングル
ラスト曲は、「silent treatment」。イントロから耳をつんざく大歓声が上がり、この夜最大の大合唱になった。この夜のMCと曲の歌詞から、『stardust』は彼女の失恋体験の感情に様々な角度からアプローチした一つの物語であることが良く分かる構成になっていて、この曲の「君はナルシスト 私は楽観主義者 これ以上に危険な組み合わせはないよね」という一節が、その恋愛がどんなものだったかを端的に伝えてくれる。
「“silent treatment” は私が書いた中で、一番好きな曲! ブリッジに入るけど、最後の曲だよ!LA!一緒に歌って!」と、フレイヤは曲間で再び観客を煽り、ステージを駆け回り、熱唱しながら軽やかに回転し、例の大きな笑顔でお礼を言ってステージを後にした。それから熱狂が冷めやらぬ中で始まったアンコールは、「Gold’s Gone」という曲に合わせて、ゴールドのドレスにチェンジ。フレイヤは両手を思い切り広げてステージを走りながら歌い上げ、全ての星が見事に揃った素晴らしい一夜を締めくくった。
このツアーを終えた時、フレイヤは今集めている注目よりも大きな評価を手にするだろう。新たな世界的ポップスターの誕生を確信した見事で心温まるショウだった。そう遠くない未来に日本でもツアーを行って、CDには収まりきらない驚異的に美しいヴォーカルを届けて欲しい。
Written by 鈴木美穂/Photo by Lucienne Nghiem
フレイヤ・スカイ『stardust』
2026年2月4日発売
Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
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