ザ・ローリング・ストーンズ全米最初のシングル「Not Fade Away」はボ・ディドリーを取り入れたバディ・ホリーのカヴァー

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1964年1月の最後の数日間に、ザ・ローリング・ストーンズはイギリスで3枚目となるシングルの最終ヴァージョンをレコーディングしていた。その曲「Not Fade Away」は、その他の多くの曲と同様、既にレコードとして発表された他のアーティストの楽曲のカヴァーだったが、正統派のブルースやR&Bとは違っていた。同曲のレコーディングは、バディ・ホリー&ザ・クリケッツが1957年にニュー・メキシコのクローヴィスで行ったのが最初だ。ザ・ローリング・ストーンズはこの曲のリズム・パターンを気に入ってレパートリーにしていたが、それはボ・ディドリーのトレードマークのビートを基にしたものだった。

2月21日の金曜日、デッカ・レコードは「Not Fade Away」をザ・ローリング・ストーンズのイギリスでのサード・シングルとして発表した。このポップ・ロックの名曲はたった1分42秒だが、ミック・ジャガーが彼らしい歌声を披露した最初のシングルであった。それから2週間遅れて、同曲はバンドのアメリカでのデビュー・シングルとしてロンドン・レコードからリリースされた(B面は「I Wanna be Your Man(邦題:彼氏になりたい)」)。最終的には、ザ・ローリング・ストーンズが初めてアメリカを訪れた1964年6月に全米チャートの48位まで上昇している。

3月上旬、「Not Fade Away」はイギリスで順位を16位上げて11位を記録し、3月4日にはマンチェスターのスタジオで同曲を演奏した映像がBBCの『Top Of The Pops』で放映された。そしてその月の終わりには、同番組の効果もあって全英3位にまで上昇した。

イギリスでシングルのB面に収録された「Little By Little」はジミー・リードの楽曲を模倣した1曲で、作曲のクレジットは“ナンカー・フェルジ”とフィル・スペクターのふたりという見慣れないものになっている。ナンカー・フェルジとはザ・ローリング・ストーンズのメンバー全員が作曲に関わった際の別名で、グループが結成されてからの2年間のみ使われた名義だ。その名前を提案したのはブライアン・ジョーンズで、“ナンカー・フェルジ”は1962年にバンドがエディス・グローヴで出会ったジミー・フェルジという男に由来し、”ナンカー”とはブライアン・ジョーンズが気に入っていた”ヘンな顔”のことなのだという。

フィル・スペクターは伝説的な音楽プロデューサーで、ザ・ローリング・ストーンズのマネージャーだったアンドリュー・ルーグ・オールダムはフィル・スペクターの”ウォール・オブ・サウンド”の手法の大ファンだった。「Little By Little」は2月4日にリージェント・サウンド・スタジオで録音され、フィル・スペクターは作曲だけでなくマラカスでも参加している。ピアノを弾いているのはフィル・スペクターとともにスタジオを訪れていたアメリカのシンガー、ジーン・ピットニーだ。

Written by Richard Havers



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