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ローリング・ストーンズ「Sympathy For The Devil」: 名曲“悪魔を憐れむ歌”にまつわる裏話

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Photo: Mark and Colleen Hayward/Redferns

ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)は、悪魔のような名曲「Sympathy For The Devil(悪魔を憐れむ歌)」を1968年に発表した。その原点をたどると、1930年代のソビエト連邦という意外な場所に行き着く。当時のソ連は、共産党の独裁者ヨシフ・スターリンによる残忍な抑圧体制に苦しむ国だった。

当時のソ連では、反体制派が粛清のために処刑されるような厳しい検閲が行われていた。そんな時代に、作家ミハイル・ブルガーコフは複雑な風刺作品『巨匠とマルガリータ』を書き上げた。この小説は善と悪という概念をテーマにした作品で、現代の無神論的なソビエト連邦を悪魔が訪れるというストーリーと、エルサレムでイエス・キリストが断罪されるというストーリーを並行して描いたものだ。

執筆に10年以上の歳月がかかったこの小説は、1940年にブルガーコフが亡くなった時点ではかろうじて完成といえる状態だったこともあり、出版されることはなかった。1967年になってソ連の文芸誌に短縮版が掲載されたが、原稿はパリに密輸され、そこで初版が出版されることになった。そうして出回った『巨匠とマルガリータ』の一冊がロンドンに送られ、歌手のマリアンヌ・フェイスフルの手に渡り、マリアンヌはさらにそれを当時の恋人ミック・ジャガーに手渡したのだ。

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発売の状況

ストーンズにとって、1967年は波乱の年だった。この年の2月、警察はサセックスにあったキース・リチャーズの自宅を家宅捜索し、キースとミックを薬物所持容疑で起訴した。そして6月に行われた裁判では両者に実刑判決が下され、ミックは3カ月、キースは1年の刑期を言い渡された。一方、世間やメディアではミックとキースを支持する声が大多数を占め、その後押しもあってふたりは一晩で釈放される。とはいえこれは非常に辛い体験となり、それからの活動に計り知れない影響を及ぼした。

音楽的な面で言えば、この年の彼らは見事なプロト・サイケ・ポップ・アルバム『Between The Buttons』と両A面シングル「Let’s Spend The Night Together (夜をぶっとばせ) / Ruby Tuesday」で好スタートを切っていた。

Let's Spend The Night Together

しかしこの年の中頃、世界中で盛り上がっていたサマー・オブ・ラブ・ブームの雰囲気とは裏腹に、ストーンズは明らかに暗い雰囲気に包まれていた。ミックとキースは迫り来る裁判の重圧にさらされ、ギタリストのブライアン・ジョーンズもやはり薬物所持容疑をかけられたうえ、恋人のアニタ・パレンバーグと破局。アニタはキースのもとへと去っていった。

こうした時期に次のアルバムが制作されたが、それはまさしく作り手が混乱の最中にあるように感じられるサウンドに仕上がっていた。そのアルバム『Their Satanic Majesties Request』は、今でこそサイケデリック時代の名作とされている。しかし当時、ザ・ビートルズの傑作『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』の6カ月後に発表されたこの作品は、嘲笑されることが多かった。ここでのサイケデリックな実験的音作りは、彼らが確立してきたブルース・ロックのスタイルからあまりにも逸脱している…と当時の人達は感じていたのだ。

それゆえ1968年の初頭は、ミックにとって新たな再出発となったに違いない。プライベートでささやかな幸せを享受できるようになったミックは、マリアンヌを通じて偉大な文学作品に出会った。彼はこう語っている。

「自分自身を教育していたんだ。詩をたくさん読んだし、哲学の本もたくさん読んだよ」

『巨匠とマルガリータ』やフランスのデカダン派詩人シャルル・ボードレールに歌詞のヒントを受けたミックはそうしたアイデアを混ぜ合わせ、春にはアコースティックなフォーク・ソングを作り始めた。それはまもなく野蛮な新しい形に変身することになった。

 

混乱の時を反映した楽曲

ドラマーのチャーリー・ワッツは次のように語っている。

「俺が初めてこの曲を聴いたのは、サセックスに住んでいた家の玄関口でミックがこれを演奏していた時だった。夕食の時で、彼はひとりきりで演奏していた。日が暮れてくる頃で、あれは素晴らしかった」

当初ミックは、この曲に「The Devil Is My Name」という題名をつけていた。ここで彼が創り上げた物語は暗くひねくれた内容になっている。

この曲に登場する悪魔は洗練された社交家(財産家で趣味のいい人物)であり、自分こそがさまざまな歴史的残虐行為を引き起こした張本人だと主張している。彼があげる例の中には、キリストの破滅、百年戦争、ロシア革命、第二次世界大戦、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺などが含まれていた。その荒涼とした情景は、まるで当時の世界情勢を映し出しているかのように思われた。

このころベトナムでは戦火が荒れ狂っており、世界中の街頭でそれに抗議する反戦デモが行われていた(ミックもこの年の3月にロンドンで反戦デモに参加している)。またチェコスロバキアはソ連の抑圧から脱しようとし、ポーランドは共産主義の支配と戦い、フランスでは大学のキャンパスで学生の反乱が起こり、アメリカではキング牧師の暗殺がきっかけとなって各地で暴動が起きた。革命が起こりそうな雰囲気はそこら中に漂っていたのだ。キース・リチャーズは当時を振り返っている。

「混乱の時代だった。第二次世界大戦の後で起きた初めての世界的な大混乱だった。そして混乱というものは、平和と愛の味方じゃない。人は、世界が非の打ち所なく完璧だと思いたくなるものだけれど…そうでないということは隠しようがない。悪が存在するという事実を受け入れ、どうにかしてそれに対処するほうがマシだ。“Sympathy For The Devil”は、悪魔がいることを忘れるなということをテーマにしている。もし悪魔に正面から向き合えば、悪魔も仕事を失うことになるだろうから」

 

ゴダールが撮影したレコーディング

フランスのヌーヴェルヴァーグの開拓者であるジャン・リュック・ゴダールは、ロンドンの政治的な激動に触発され、新作映画をロンドンで撮影することにした。映画のテーマは「創造」であり、その一環としてゴダールはザ・ローリング・ストーンズをオリンピック・サウンド・スタジオで撮影するように手配していた。タイミングは完璧だった。ゴダールが6月の第1週に撮影したのは、「Sympathy For The Devil」が過激に進化していく様子だった(のちに『ワン・プラス・ワン/悪魔を憐れむ歌』として公開)。

この映画で最初に映し出されるのは、ミックが物憂げにアコースティック・ギターを弾きながら、このスローテンポの曲をブライアン・ジョーンズに教えている場面である。やがてこの曲はバンド全体が演奏することになる(そこにはニッキー・ホプキンスもオルガンで参加している)。続く数日間にわたって、彼らはさまざまなリズムを試しながら徐々に曲を発展させていった。哀愁に満ちた最初のフォーク・ヴァージョンは32テイク録音されたという。

ある時点でキースの担当楽器はベースに切り替わり、ビル・ワイマンはパーカッションに移った。そしてブライアンのアコースティック・ギターはほとんど聴こえない状態だった。やがてサンバのグルーヴに行き着いた彼らは、ガーナ人パーカッショニストのクワシ・”ロッキー・ディジョン” ・ディゾルヌを起用し、曲に似つかわしい粘っこいコンガでチャーリーのドラムを補強することにした。キースはこう語る。

「俺にとっては、それこそがレコーディングやスタジオ入りすることの醍醐味なんだ。この曲はこうなるだろう…と半ば固まったアイデアをスタジオに持ち込んでも、まったく違うものに仕上がってしまう。なぜなら、バンドの他のメンバーというフィルターを通過することで、別のものに変化してしまうからね」

突然、この催眠術のようなトランス風のビートに駆り立てられ、この曲の邪悪さが前面に押し出されてきた。そこには、この曲の制作中に発生した悲劇も盛り込まれていた。6月6日、ロサンゼルスでロバート・ケネディが暗殺されたのである。それを受けて、ミックは歌詞に登場する「ケネディ」を複数形に変えた。

I shouted out, ‘Who killed the Kennedys?’
When after all, it was you and me
俺は叫んだ「何人ものケネディを殺したのは誰だ?」
結局のところ、それはお前と俺だった

この曲の不気味なバック・コーラスは、アニタ・パレンバーグが提案したものだった。このコーラスは、アニタ、キース、チャーリー、ビル、ブライアン、マリアンヌが一本のマイクを囲んで歌っている。そして最後のオーバーダブで加えられたのは燃え立つような素晴らしいギター・ソロだった。キースがレスポール・ブラック・ビューティーで弾いたこのソロは、曲の激しい精神を完璧に表現していた。

Sympathy for the Devil 50th Anniversary (4K Trailer) | ABKCO Films

 

リリース後の反響と“悪魔”

アルバム『Beggars Banquet』は1968年12月6日に発売され、アメリカとUKの両方でチャートのトップ5入りを果たす。ここに収められた生々しい楽曲群は、ストーンズのスタイルが方向転換したことを証明していた。彼らはここでブルースのルーツを再発見し、それを巧みに追求していたが、最も注目を集めたのはオープニング曲の「Sympathy For The Devil」だった。

結成当初から反抗的な姿勢を打ち出していたストーンズは、長い間、マスコミや宗教指導者から道徳的に堕落したバンドだと非難されてきた。そして「Sympathy For The Devil」が『Their Satanic Majesties Request』のすぐ後に続いたことで、「ストーンズがオカルトと手を結んだ」という中傷の声が沸き起こっていた。ミックは後に次のように語っている。

「あれは本当に変な話だと思ったよ。だって、それっぽい曲はアルバムの中ではあの曲だけだったからね。アルバム全体にオカルト的な兆候が表れていたわけじゃない。でも世間の人は、そういうイメージをごく簡単に受け入れているように思えた」

ただし、そうした連想そのものはさほど突飛なものではなかった。ミックは「Sympathy For The Devil」の完成直後に映画『パフォーマンス/青春の罠』で主演を務め、そこで悪魔のようなキャラクターを演じていた。さらには、アメリカのオカルト研究家で映画作家のケネス・アンガーともコラボレーションを行っている。また、アニタは魔術に手を染めていると噂され、彼女と交際していたキースもダークなイメージと戯れることを楽しんでいるように思えた。後に彼はこう振り返っている。

「あれは誰もが探求すべきことだ。そこにはいろんな可能性がある。本当にいろんなことが、くだらない迷信として片付けられているんだ。俺は専門家じゃないし、専門家のふりをするつもりもない。ただ、それを少し表に出そうとしているだけだ」

その後、ストーンズの魔性の悪名にあやかりたいと願う他のアーティストたちが「Sympathy For The Devil」をカヴァーすることになった。たとえばオジー・オズボーン、モーターヘッド、ガンズ・アンド・ローゼズなどがこの曲の不吉なエネルギーを再現しようと試みている。しかしオリジナル・ヴァージョンを超えるものは未だに出現していない。

ストーンズのライヴのレパートリーを演奏回数が多い順に並べていくと、この曲は未だに上から7番目の位置にある。これがライヴで演奏される時は、たいていは炎のような視覚効果が使われ、ミックも緋色の衣をまとっている。そうしたイメージは、この曲の役割を思い起こさせてくれる。この名曲は、ロックンロールを代表する悪ガキたちの極悪非道な評判を永遠に決定づけたのである。

The Rolling Stones – Sympathy For The Devil (Live) – OFFICIAL

Written By Simon Harper



ザ・ローリング・ストーンズ『Beggars Banquet』
1968年12月6日発売
CD / iTunes Store / Apple Music / SpotifyAmazon Music


50周年記念ツアーのライヴが初商品化

ザ・ローリング・ストーンズ『Live at the El Mocambo』
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