(function(h,o,t,j,a,r){ h.hj=h.hj||function(){(h.hj.q=h.hj.q||[]).push(arguments)}; h._hjSettings={hjid:104204,hjsv:5}; a=o.getElementsByTagName('head')[0]; r=o.createElement('script');r.async=1; r.src=t+h._hjSettings.hjid+j+h._hjSettings.hjsv; a.appendChild(r); })(window,document,'//static.hotjar.com/c/hotjar-','.js?sv=');
Join us

Stories

”ヒップ・ホップのあるべき姿だ”と評され、そして誰もが驚いたビースティ・ボーイズの全曲インストアルバム『The Mix-Up』

Published on

ビースティ・ボーイズの面々がマイクを脇に置き、ヴィンテージものの楽器を使用して作り上げた2007年のアルバム『The Mix-Up』。これは彼らが、自らに影響を与えたアーティストたちに敬意を表したアルバムである。

長年に亘ってサプライズや不意打ちでファンを驚かせてきたビースティ・ボーイズだが、『The Mix-Up』は、本当に誰も想像さえしていなかった作品だった。しかしながら、その予兆がなかったわけではない。

「連中ならきっとやると思っていた!」。ビースティ・ボーイズは、『The Mix-Up』が全篇ヴォーカルなしのインストゥルメンタル・アルバムであることを伝えるメールでファンをからかってみせた。アルバムには「Electric Worm」「Freaky Hijiki」「The Melee」といった楽曲が並んでいる。もちろん、こうした発表が行われることを事前に知っていた人はいないわけだが、よく考えてみよう。同作で彼らは激変したと言えるのだろうか。彼らははるか前にサンプリングの権利問題を乗り越え、彼ら自身で演奏したファンク調のトラックをループさせるようになった。そして『Check Your Head』や『Ill Communication』ではイントロにハモンド・オルガンを嬉々として取り入れ、ついには『The In Sound From Way Out!』のような作品すらリリースしていたのだ。


前作『To The 5 Boroughs』は王道のヒップ・ホップ・アルバムを目指して作られた作品だった。セルフ・プロデュースで制作し、”9.11″とその余波を大きく取り上げた同作は、グループがニューヨークという街に捧げる作品だったといえる。また、無駄を削ぎ落とした同作のシンプルさは、その街に生まれた創成期のヒップ・ホップへの敬意とも感じられた。一方、『The Mix-Up』はグループの約30年のキャリアで影響を受けたすべての音楽へのオマージュになっている。

「俺たちはファンキーさを追求してヘッド・ハンターズやミーターズ、ポリティシャンズを合わせたようなレコードを作りたかった。だけど、影響源が多すぎて他を無視することもできなかった」アドロックは自身の著書『Beastie Boys Book』の中でそんな風に綴っている。そしてギタリストのジミ・ヘンドリックスやヴィヴ・アルバータイン(スリッツのメンバー)、ポスト・パンクの代表的ベーシスト、ジャー・ウォブルやジャズ・ベーシストのロン・カーターマイルス・デイヴィスのバンドに在籍)、エルトン・ジョンスティーヴィー・ワンダーの名前も挙げている。「まるでESGやシルヴァー・アップル、ミーターズ、パブリック・イメージ・リミテッド、クラッシュ、ベンチャーズMGsみたいなバンドのメンバーがみんな集まってレコーディングをして、サルソウル・レコードからリリースした。そんなアルバムなんだ。」彼はそう締めくくっている。

キーボードのマニー・マークとパーカッションのアルフレード・オルティスを再びスタジオに迎えてビースティ・ボーイズがレコーディング・セッションを行うのは、『Hello Nasty』のリリースに合わせて行ったコンサート・ツアー以来のことだった。「俺とアダムとマイクとマークが一緒に音楽をやるのは実に数年ぶりのことだった」アドロックが振り返る。「俺たちにはコンピューターから離れて、実体のあるもので即興演奏を試みるあの感覚が懐かしかった。大きなコンセプトや特定の目的があって作品を作ろうとしているわけじゃなかった。だけどライヴ感があってよりダイレクトなもの、そして楽しめるものにしたいとは思っていた」

Beastie Boys – The Rat Cage

 

しかし、スタジオでのレコーディングやアルバムを引っ提げてのツアーで生まれたひとつのコンセプトがあった。「全曲インストゥルメンタル・ナンバーでまとめたアルバムを作るなら、それなりの恰好をするべきだ。昔ながらのジャズ・ミュージシャンみたいにね」とアドロックが説明する。スタジオに週5回入る際、グループの服装は「1956年から1964年製のものに限る」と決められていた。彼らはイーベイや古着屋でそれらを探してきて着用したのだという。

年季の入った服に身を包んでいたためか、アルバムで使われるハモンド・オルガンのグルーヴはまさにジミー・スミスのそれのようだ。もっとも、演奏そのものはそれほどオーセンティックなものにはなっていない。破壊的な彼らは、楽曲を当初とまったく違った形にせずにはいられないのだ。「The Rat Cage」はポスト・パンク的で陰鬱なベースラインから始まる。ベースは細かい音を鳴らすギターや神経過敏気味のパーカッション、そしてくたびれたワイパーのような音をくぐり抜けて、最後にはカーニバルのような世界に行き着く。「Off The Grid」のまったりしたグルーヴもそう長くは続かない。後半は、他のバンドの手にかかれば夏のアンセムのアイディアになり得たようなものだ。中には気まぐれな傾向は希薄で、一定のグルーヴで進んでいく楽曲もある。だがそうすると、彼らのブラックスプロイテーションへの執着が浮かび上がってくる。

2007年6月26日にリリースされた『The Mix-Up』は、ビースティ・ボーイズ にとって2000年代最後のアルバムになった。同作は彼らにグラミー賞最優秀インストゥルメンタル・アルバム賞をもたらし、『Hot Sauce Committee Part Two』における複雑なセルフ・サンプリングの土壌にもなった。ファンは3人がなぜアルバムを通してマイクを使わなかったのか不思議に感じたとしても、少し距離を置くいい方法だったのではないだろうか。

しかしイギリスのアンカット誌は、縦横無尽なサンプリングがその作風を決定付けた『Paul’s Boutique』と同作の直接の関連を論じ、『The Mix-Up』をこう評した。「音楽を愛する男たちが、傑作レコードの数々を咀嚼して再形成したアルバム。つまり、これがヒップ・ホップのあるべき姿だ」。

Written By Jason Draper


ビースティ・ボーイズ『The Mix-Up』


Share this story
Share
日本版uDiscoverSNSをフォローして最新情報をGET!!

uDiscover store

Click to comment

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Don't Miss