商業的に最も失敗するも再評価著しいビーチ・ボーイズの『Sunflower』

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1970年ビーチ・ボーイズは、アルバム『Sunflower』を自分たちのレーベル、ブラザー・レコーズからの最初のアルバムとしてリリースした。彼らの8年の活動期間で16作目となる同作は両極端な反応で迎えられた。レビューは総じて非常に好意的で、その後もファンやメディアからの評価は高まるばかり。しかし同時に、同作は彼らの作品でセールス面で最も失敗したアルバムとなってしまった。

アルバム・タイトルが示す通り、『Sunflower』にはメンバー達が作曲したアップビートで明るい楽曲が並んでいる。『Friends』や『20/20』といった60年代後半の作品にも言えることだが、『Sunflower』でもブライアン・ウィルソンと並んで弟のデニス・ウィルソンが作曲面で重要な役割を果たしており、彼は「Slip On Through」をひとりで手掛けたほか、3曲を他のメンバーと共作している。

ブライアン・ウィルソンがひとりで作曲したのはこのアルバムでは「This Whole World」だけだが、マイク・ラヴやアル・ジャーディン、弟のカール・ウィルソンらと共作した曲は数多くある。しかしおそらく、『Sunflower』で特に印象深いのはブルース・ジョンストンによる2曲だろう。ひとつは彼がブライアン・ウィルソンと書いた「Deirdre」、もうひとつはブルースひとりの手による「Tears In The Morning」ということになるだろう。当初はこれらの2曲がグループのスタイルに合わないのではと懸念していたブルース・ジョンストンだが、後に『Sunflower』がビーチ・ボーイズで最も気に入っている作品だと話している。

アルバムは8月の終わりにリリースされたが、その頃デニス・ウィルソンは映画『イージー・ライダー』に影響を受けたユニバーサル・ピクチャーズ製作のロード・ムービー『断絶』(この映画で彼はジェームス・テイラーと共演している)の撮影に追われていた。

グループの新作は9月26日、全米チャートに162位で初登場したが、チャートに残ったのはたった4週で最高位は151位に留まった。また、アルバムの先行シングルとして発表された「Add Some Music To Your Day」「Slip On Through」「This Whole World」はいずれもチャート・インすらしなかった上、アルバムのリリース後に発売されたふたつのシングルも同様の結果に終わった。

しかし『Sunflower』は、イギリスでは時期こそ遅れたもののある程度の好成績を残した。『Sunflower』よりも16か月も前に発表されていた『20/20』の収録曲「Cotton Fields」が遅れて6月に全英5位となっていたこともその理由だろう。これを受けて、彼らの過去作の版権を持つキャピトルは新しいベスト・アルバム『Greatest Hits』のリリースに踏み切る。この判断は吉と出て、『Greatest Hits』は20週に亘りチャート・インし最高位5位を記録している。

このベスト盤の好評を受けて、グループの移籍先、ビーチ・ボーイズのブラザー・レコーズと契約を交わしたリプリーズ及びワーナーは『Sunflower』のイギリスでのリリースを11月まで延期。リリース後アルバムは同国で最高29位となり、チャート面では上を行っていた『Greatest Hits』とトップ40の座を分かち合う恰好になった。しかしその後『Sunflower』の評価はみるみる高まっていき、1997年に批評家が選んだ史上最高のアルバム100のリストでは66位になっている。彼らの作品では6位の『Pet Sounds』に次ぐランクであった。

Written by Paul Sexton



ビーチ・ボーイズ『Sunflower』

     

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