reDiscover:トゥパックをラップ界のアイコンに変えたアルバム『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z』

2月 18, 2018


reDiscover:トゥパックをラップ界のアイコンに変えたアルバム『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z』

25年前、アメリカ西海岸の最も問題児の一人が、わずか一夜にして全米アルバム・チャートの上位に華々しく現れ、ストリート・レベルのラッパーから象徴的な存在へと変貌を遂げたことは信じられない話だ。トゥパック初のプラチナ・アルバムとなった『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z.』で、彼はフローを完全に仕上げ、ヒップホップ一族における彼の王座を主張した。ヒップホップの名盤としての地位を不動のものにしたこのアルバムが今回初めて12インチLP2枚組として再発売されることになった。

“Never Ign'nant Getting Goals Accomplished / 知識無くして目的は達成できない” から頭文字をとった『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z.』は、トゥパックのデビュー作『2Pacalypse Now』に見られるバイオレンスさから完全に脱却したものである。このトゥパックのポジティブな側面は、Ice-Tの「Cop Killer Song」を取り巻く論争から意図的に創出したものだった。当時、トゥパックは『Troublesome 21』というアルバム・タイトルで、警察嫌いの憤慨した曲のコレクションを編集していた。けれども当局に否定的なイメージを与えるような不適切な歌詞に新たな政治的焦点が当てられたと同時に、アメリカでの警察の蛮行事件が徐々に増えたことで高まっていた緊張により、そのアルバムは永久にお蔵入りとなった。ある意味で、これを世に出さなかったことで、トゥパックはアルバムを通して現代の哲学者とニヒルな暴漢であることの二面性と葛藤することになり、“thug(暴漢)” らしさとは何かと本当の意味を問い直すことが出来たのだ。

アンダーグラウンドなミックステープ・ラッパーとしてトゥパックが道を開く前、彼はデジタル・アンダーグラウンドのローディーとしてヒップ・ホップ界への業界入りを果たしていた。パブリック・エネミーやN.W.A.といった当時の騒々しいハードコア・ラップのグループとは異なり、デジタル・アンダーグラウンドはミュージック・ビデオ「The Humpty Dance」の中で、グルーチョ・マルクス風に変装したショック・Gの滑稽な歌い方と共に彼らのメッセージを伝えるために、ジョージ・クリントンのファンカデリックとパーラメントの影響を受けたアブストラクトなファンクを支えとしていた。

デジタル・アンダーグラウンドと共に、トゥパックは彼らのEP『This Is An EP Release』に収録の「Same Song」にゲスト参加し、ビッグ・ダディ・ケインとツアーを回った。デジタル・アンダーグラウンドがその後、プロデュースし、ラップにも参加した『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z.』からの2Pac初のトップ10シングルは、今や史上最高のラップ・シングルの一枚と言われる「I Get Around」である。“good time(楽しい時間)” についてのライミングをトゥパックが好むようになったファンクのルーツに戻った一曲である。

アメリカ東海岸のヒップ・ホップ・デュオ、ギャング・スターの「Step In The Arena」をサンプリングしながら、ヒップ・ホップで最もよく使われたサンプルのひとつ、ハニー・ドリッパーズの「Impeach The President」のスネア・ドラムを取り入れ、ザップの「Computer Love」のエレクトロなファンク・グルーヴでパーカッションの音を膨らませ、トゥパックとショック・G、そして残りのデジタル・アンダーグラウンドのメンバーはプリンス&ザ・レボリューションの1985年のファンク・バラード曲「The Ladder」のヴォーカルと歌詞を「I Get Around」に組み込んでみせた。この70年代、80年代、そして90年代のファンクとヒップ・ホップが融合した曲は、バックグラウンドにファンクのサンプルをわずかに織り交ぜた「Peep Game」と「5 Deadly Venomz」を除いて、アルバム『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z.』に収録された他の注目すべき曲とは明らかに対照的な存在である。

『2Pacalypse Now』は怒りを感じる音だったが、このトクパックの2枚目のアルバムは、のちに彼の特徴的なサウンドの一部となる強過ぎて不快な無調のボム・スクワッドのビートとは調和しないものだった。『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z.』は、ボルチモア芸術学校の生徒として詩を書きながら、彼の内省的な時期にまで遡り、シャクールの幼少時代のストーリーを伝えるために音と言葉を曲げ、ぼやかした一枚だった。これは彼の最も有名な曲の中であり、今やヒップホップ界の最も重要な曲のひとつとなった「Keep Ya Head Up」の中で最も実証されている。

ブラック・パンサー党の夫婦の息子として、トゥパックは現状を打破したいという願望を幼少のころから植え付けられていた。まるで自分が2つの世界の間に存在しているかのようにたびたび感じたトゥパックは、彼が社会から追放されたかのように感じていたという理由から、彼の音楽は彼について人々が言ったことに向けてではなく、彼自身を守る手段なのだと感じるようになった。トゥパックは、彼の荒々しいギャングスタな態度を取り除くために感受性を用いた。この悩ましい詩的な対比は、1992年のロサンゼルス暴動の原因のひとつとなった15歳のラターシャ・ハーリンズの襲撃にスポットライトを当てた「Keep Ya Head Up」で最もよく示されている。

トゥパックは、4分23分の間に父親の不在から女性の権利まであらゆることに関して心からの議論を行うために、再びザップの「Be Alright」からサンプリングとブラックストリートのデイブ・ホリスターによるR&Bのヴォーカルを使用。万引きされたと誤認され韓国系アメリカ人の女性店主と揉めたあとに銃殺された15歳の黒人の少女ラターシャと黒人女性に向けたアンセム「Keep Ya Head Up」は全米シングル・チャートで第12位、全米ホットR&B/ヒップ・ホップ・ソングで第7位を獲得し、商業的な成功を収めた。このトゥパックの2枚目のシングル「Keep Ya Head Up」は今や史上最も重要なラップ・ソングとして見なされている。多くのファンに愛され、トゥパックcのベスト・アルバム『Greatest Hits』にも収録されている。このヒット・シングルの続編となる「Baby Don't Cry (Keep Ya Head Up II)」も発売。こちらは彼の死後に発売されたアルバム『Still I Rise』に収録されている。

『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z.』で見られる彼の多才さは何ものにも劣らない。矛盾とコントラストに満ちていたこのアルバムは、トゥパックの最高傑作でありそして生前最後の一枚となったスタジオ・アルバム『All Eyez On Me』のリリースをファンに期待させる出来だった。1996年にラスベガスで起きた彼の悲惨な死の1ヶ月前に先立って発売された『All Eyez On Me』は、トゥパックの複雑な人格を映し出し、『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z.』でちょうど3年前に異なる規模でやろうとしていた全てを成し遂げている。トゥパックが最もよく言い表した言葉が「Everybody's at war with different things...I'm at war with my own heart sometimes / 皆、それぞれいろんな事と闘っているんだ… 俺は自分自身の心との闘いが時々あるんだ」。

『Strictly 4 My N.I.G.G.A.Z.』の発売から25周年を記念して再発される2LPは標準のブラック12inchで2pac.comより購入可能。限定デラックス版には手書きのトラック・リスティング、スペシャル・プリント4枚が付属し、赤橙色マーブルの12inch仕様となっている。

Written by Theresa Lopez



トゥパック・グレイテスト・ヒッツ(帯付)(小)

『2Pac Greatest Hits』

品番:UICY-15691/2 発売日:2017年12月6日発売 価格:¥2,500 (税込)
国内盤のみ:英語歌詞・新規対訳(渡辺志保)、新規ライナー(長谷川町蔵)

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