スティーヴィー・ワンダー『Talking Book』解説:最初の傑作アルバム
1972年、スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の創造力は、もはや誰にも止められない勢いに達していた。それ以前から『Where I’m Coming From』や『Music Of My Mind』で独創性を磨き続けていた彼は、同年10月26日、多くの人がスティーヴィー最初の傑作アルバムとみなす『Talking Book』を発表する。
コミュニケーションの力を強く意識していたスティーヴィーは、アルバムのタイトルやライナーノーツの一部を点字でも表記する工夫を施した。
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前作『Music Of My Mind』に続き、スティーヴィーがボブ・マーグーレフ、マルコム・セシルと共同でプロデュースした15作目のスタジオ・アルバム『Talking Book』は、圧倒的なファースト・シングル「Superstition」とほぼ同時にリリースされた。
当時まだ22歳だったとは信じがたいほど完成度の高いこの曲は、抜群のファンク感も魅力だ。鮮やかなホーン・セクションに加え、ホーナーのクラヴィネットやモーグのシンセサイザーを革新的に活用し、英国のギター・ヒーロー、ジェフ・ベックも参加している。
「Superstition」は米ビルボードのポップ・チャートとR&Bチャートで首位を獲得。R&Bチャートでは通算7曲目のNo.1ヒットとなり、ポップ・チャートでの首位は、1963年の「Fingertips (Part 2)」以来、実に9年ぶりだった。同曲は1998年にグラミーの殿堂入りも果たしている。
そして、この曲とともにリリースされたアルバム『Talking Book』には、のちにそれぞれの分野でスターとなるデニース・ウィリアムス、デヴィッド・サンボーン、レイ・パーカー・Jr.、ジム・ギルストラップらが参加し、ほかにも数多くの名曲が収められていた。
アルバムからのセカンド・シングルで、ギルストラップがスティーヴィーとヴォーカルを分け合った「You Are The Sunshine Of My Life」はやがて、時代を超えて愛されるイージーリスニングの定番曲となり、スティーヴィーに初のグラミー賞をもたらした。
「彼が語れば、人々は耳を傾ける」
当時のCash Box誌は次のように評した。
「スティーヴィーの創造力が再び発揮され、単なるグルーヴをはるかに超えた深みのあるサウンドを生み出している。たとえばシングル“Superstition”は、スライ&ザ・ファミリー・ストーンを思わせるリズムに、中東やバルト海地域を想起させるホーンのリフを組み合わせている。繊細で心に響くバラードも数多く収録されている。彼が語れば、人々は耳を傾け、その言葉に心を動かされるのだ」
この名盤には、心に響くバラード「You And I」「Blame It On The Sun」、そして高揚感に満ちたクロージング曲「I Believe (When I Fall In Love It Will Be Forever)」など、ほかにも数多くのハイライトがある。
「Tuesday Heartbreak」「You’ve Got It Bad Girl」をはじめ、収録曲の多くはシングルとしてリリースされなかったものの、スティーヴィーの評価が高まるにつれ、さまざまなアーティストによってカヴァーされるようになった。アルバム『Talking Book』は全米チャートで3位を記録。かつて“12歳の神童”と呼ばれた彼は、本作で大人の天才アーティストとしての地位を確立した。
Written By Paul Sexton
スティーヴィー・ワンダー『Talking Book』
1972年10月28日発売
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