スモーキー・ロビンソン「Cruisin’」:ソロ・キャリアを決定づけた“クワイエット・ストーム”の名曲

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Photo: Paul Natkin/Getty Images

スモーキー・ロビンソン(Smokey Robinson)が私たちの音楽的記憶に残してきた計り知れない足跡を振り返るとき、まず思い浮かぶのは、ミラクルズ(The Miracles)のフロントマンとしての輝かしい功績だろう。同時に、彼は類まれなソングライター、プロデューサーとしても才能を発揮し、ミラクルズだけでなく、数多くのモータウンのスターたちに名曲を提供してきた。

スモーキー・ロビンソンは、1970年代に入ってソロ・キャリアを本格化させると、1975年のヒット曲「A Quiet Storm」にちなんで名づけられた、スムース・ソウルの新たなサブジャンル“クワイエット・ストーム”を築いた立役者のひとりとなった。

そして1979年、そのスロー・ジャムのスタイルは、彼のソロ名義では同年代最大のヒットをもたらすことになる。「Cruisin’」はBillboardの全米R&Bチャートとポップ・チャートの両方でTOP5入りし、さらにCash Boxのチャートでは1位を獲得した。

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スモーキー・ロビンソンの1975年のアルバム『A Quiet Storm』は、官能的で洗練されたソウルの新たなサブジャンル、そしてその名を冠したラジオ・ジャンルの雛形となった。彼は後に、このアルバムのコンセプトについて、「最初から最後まで、そよ風に乗って運ばれていく7曲」というイメージだったと語っている。

同作からは「Baby That’s Backatcha」がR&Bチャートで1位を獲得し、スモーキー自身のその後の作品だけでなく、テディ・ペンダーグラス、ローズ・ロイス、アイズレー・ブラザーズらによるクワイエット・ストームの定番曲にも大きな影響を与えた。

この頃スモーキーは、モータウンの副社長を務めるだけでなく、Black Music AssociationのPerforming Arts部門でも要職を担うなど、長年にわたって音楽業界を支えてきた存在となっていた。ソロ・アーティストとしても、「There Will Come A Day (I’m Gonna Happen To You)」や、クワイエット・ストームの名曲「Daylight & Darkness」などを発表し、R&Bヒットのカタログをさらに充実させていった。しかし、自身の名義による大きなポップ・チャートへの進出だけは、依然として実現していなかった。

そこに登場したのが、1979年5月にモータウンからリリースされたアルバム『Where There’s Smoke…』である。同作は、あらゆるタイプの魅力的で個性的なソウルを操るスモーキーの熟練ぶりを、あらためて示す作品となった。たとえば彼は、「It’s A Good Night」や「Share It」など当時主流だったディスコ・サウンドの要素を取り入れているが、流行に飲み込まれることなく、あくまで自身のスタイルを貫いていた。また、テンプテーションズのために書いた自身の不朽の名曲「Get Ready」を、4つ打ちのダンスフロア向けのダンス・ナンバーとしてアップデートし、12インチ・シングルとしてリリースしている。

同時にそこには、当時の他のアーティスト、とりわけペンダーグラスやバリー・ホワイトが“ベッドルーム・ソウル”として独自に発展させていた音楽のための余地も十分に残されていた。スモーキーが手がける繊細でありながら極めてロマンティックなクワイエット・ストーム・サウンドを代表するのが、旧友スティーヴィー・ワンダーと共作した「I Love The Nearness Of You」や、内省的でストリングスに彩られた「The Hurt’s On You」である。

一方で、このアルバムの最大の目玉となったのは、夏のポップ/R&Bラジオで繰り返し流れることになるシングル「Cruisin’」だった。

スモーキーはこの曲を、親友でありミラクルズ時代のバンドメイトでもあったマーヴ・タープリンと共作した。マーヴとは、彼が1972年にグループを離れて以降も仕事を続けていた。マーヴがメロディを思いついたのは、それから間もない頃だった。しかしスモーキーは、それにふさわしい歌詞をなかなか思いつくことができなかった。

それから約5年後、思わぬところから曲作りのヒントが舞い込んだ。車を運転中に聴いていたラジオが、スモーキーに歌詞のアイデアを与えてくれたのだ。スモーキー・ロビンソンはThe Guardian紙のインタビューで当時をこう振り返っている。

「サンセット大通りを車で走っていた時、ラジオからラスカルズの“Groovin’”が流れてきたんだ。“これだ”と思った。でも同時に、“いや、違う。‘Grooving’では、親密さが足りないし、十分に官能的でもない”と感じた。そこで思いついたのが“Cruisin’”だった」

彼はまた、この曲の成功の一因となった「Cruisin’」というタイトルに込められた、絶妙に曖昧なニュアンスについて、こう語っている。

「“Cruisin’”が何を意味するのか、いろいろ想像する人が多いことには驚かされるよ。“Cruisin’”という言葉は、聴く人に委ねているんだ。一緒にいる相手と過ごしていて、自分が“Cruisin’”していると感じるなら、その意味はあなたが好きなように決めればいい」

酔いしれるような享楽的な歌詞と、ヴォーカリスト自身が生み出した、涼やかで艶のあるプロダクションの組み合わせは、抗いがたい魅力を放っていた。Cash Box誌も「スモーキー独特の、柔らかくしなやかなR&Bを愛するファンにとっての天国」と評している。

この曲はBillboardのポップ・チャート、ソウル・チャートの両方で最高4位を記録し、後者では実に28週にわたってチャートインした。さらに好調だったのがCash Boxのポップ・チャートで、「Cruisin’」は1980年2月半ばになってついに首位を獲得。ニュージーランドでも1位に輝き、ゴールド認定を受けた。スモーキーは、まったく新たな“クルージング・スピード”に到達したのだった。

Written By Paul Sexton



スモーキー・ロビンソン『Where There’s Smoke…』
1979年5月22日発売
iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music



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