ラッシュ『A Farewell To Kings』解説:大胆かつ複雑なリフとファンタジーに満ちた歌詞の融合

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UKのあらゆるギグ・マニア達に尋ねてみても、1977年はAC/DC、シン・リジィ、そしてラッシュの年であったと同時に、セックス・ピストルズ、ザ・クラッシュ、ザ・ダムドの年でもあったと答えるだろう。ラッシュにとっては、彼らの5枚目のアルバムとなる『A Farewell To Kings』のリリース準備がひと段落つき、近年の細いネクタイと針のように細いプリーツのズボンを身につけ、ファッションに媚を売り、過剰にシンセサイザーを駆使するバンドと違い、時代精神とは無関係で自分たちで吸収したことを反映し、精巧なファンタジーを驚くべく多くの十代(圧倒的に男子)に与えていたのであった。

1977年6月に英国を旅したこのカナダのトリオは、短い英国ツアーを行うと共に『A Farewell To Kings』をモンマスシャーのロック・フィールド・スタジオでレコーディングしたのであった。ドキュメンタリー『Beyond The Lighted Stage』でヴォーカル/ベーシストのゲディ・リーは「我々のヒーロー達は英国のロック・ミュージシャン達ばかりだったから、あそこを訪れたことは大変嬉しかった」と語っている。

それによると、ラッシュはレッド・ツェッペリンに影響を受けているのは明白であったため、ゲディ・リー、ギターのアレックス・ライフソン、ドラマーのニール・パートは『A Farewell To Kings』製作時には既に自分たちのヴィジョンを明確に持っていた。具体的には、大胆かつ複雑なリフ、そして歴史やSFをベースにしニール・パートによってほぼ書かれたファンタジーに満ちた歌詞の融合であった。

その過程で、ラッシュの歌詞の世界は幻想的な世界から個人的な事象へと次第に絡み合うのだが、『A Farewell To Kings』では「Xanadu」で不死のフビライ・ハンに触発された探検や、または「Cygnus X-1 Book 1: The Voyage」で宇宙の深淵の物語を大きな懸念を持って描いている。その前後関係からか、「Madrigal」で比喩的に語っている「ドラゴンはペンや剣で倒すにはあまりに強くなる」といった内容を簡単に忘れ、ある意味別のバンドによる「All You Need Is Love」といっても過言ではないラッシュの初の全英トップ40入りを果たしたラジオ・ヒット曲「Closer To The Heart」なども生み出した。

恐らくここで最も大切なのは、このアルバムによってラッシュはとても元気が良く、軽快で耳触りの良い騒音を出すバンドであることを気づかされることである。これは好みに関係なく、あなたはタイトルトラックと「Xanadu」の勇敢で鳴り響くコード音に気分が高まり、ニール・パートの情け容赦なく、知的でカタルシスに満たされるドラムは、エア・ドラマー達にとってこの上ないフェティズムである。これらは、あなたの中に残っている10代の精神、あなたの中の熱心で、激しく、シニカルでない部分に強く訴えてくる、あなたの横に何百万もの誇らしげな弱虫達が肩を並べて同じ好みを受け入れてくれる。もし人々のためのバンドがあるとすれば、それはラッシュである。

Written by By Oregano Rathbone




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