回収/発売禁止ながらUK1位、ジェーン・バーキン&セルジュ・ゲンスブール「Je T’Aime… Moi Non Plus」

Published on

楽曲「Je T’Aime… Moi Non Plus」(ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ)は不利な立場に立たされていた。1967年にブリジット・バルドーがレコーディングしたこの曲は、もともと彼女がセルジュ・ ゲンスブールに世界一美しいラヴ・ソングを作るように頼んで書かれたものだった。しかし、ブリジット・バルドーは彼女の夫がこの曲を聴くことを恐れて、一度お蔵入りになってしまった。この曲で聞くことのできる彼女のその息をのんだ歌い方は演技じゃなかったのでは、という噂がパリで広まった。

<関連記事>
“セクシーな少女に夢中になる年老いた男性”を描いた『くたばれキャベツ野郎』
ゲンズブールからエミネムまで:音楽に見る“ボニー&クライド”の伝説

ブリジット・バルドーとセルジュ・ゲンスブールの関係が終わりになると、ゲンスブールの苦しみは不倫関係と同じぐらい激しいものとなった。その上、彼が彼女のために作った名曲がお蔵入りとなってしまったのだ。風刺的なロマンス映画『スローガン』で主役を演じたセルジュ・ゲンスブールは、ブリジットとの別れの辛さを注ぎ込むようにキャラクターを演じ 、共演のジェーン・バーキンをまるで彼女が全ての元凶かのようにように扱った。しかしジェーン・バーキンはそれに臆することなく、彼を夜の街へと誘い出した。酒に溺れることで知られるセルジュ・ゲンスブールは、彼の行動が彼が自覚してるよりも深い気持ちが、覆い隠していることに気付くことになる。

1年もたたないうちに2人はメディアお気に入りのカップルとなり、世代を代表するアイコンとなった。そこで、ゲンスブールは「Je T’Aime… Moi Non Plus」をジェーン・バーキンの歌声で取り直すことにした。レコーディングの時には、彼女の声域を超える高さの音ををだせることによって、彼女の声が子供やほとんど少年のようになるジェーン・バーキンの姿にセルジュ・ゲンスブールは歪んだ喜びを感じていた。

ホテル・アルザスのレストランにてリハーサルが行われ、食事をする人たちは皆黙って聴き入った。フランスのフィリップス・レコードの社長も同じく魅了され、伝説によると、このアルバムをリリースできるのだったら為なら牢屋へ行ってもいいと宣言した程だった。この頃にはジェーン・バーキンに夢中になっていったセルジュ・ゲンスブールにとっては朗報となった。

追加で10曲がレコーディングされ。その中の1曲「Jane B」では、身元不明者の報告書を読んでいるかのようにジェーン・バーキンが自分について詳細に語っている。他の曲には、病み付きになる「L’Anamour(はかない恋)」(アーサー・グリーンスレイドのグルーヴの効いたアレンジが意気消沈したリリックを包み込む )、華やかで太陽を浴びた「Sous Le Soleil Exactement(太陽の真下で)」と「69 Année Érotique(69年はエロな年)」、そして、もしかするとセルジュ・ゲンスブールの最も美しい楽曲と言っても過言ではない「Manon」が収録されている。

もし1971年のアルバム『Histoire De Melody Nelson(メロディ・ネルソンの物語)』がジェーン・バーキンに夢中になっていた時のセルジュ・ゲンスブールを象徴しているとしたら、『JaneBirkin/Serge Gainsbourg』は彼女に出会った頃のゲンズブールの恋する気持ちが描かれているといえるだろう。しかしリリース時、世界はアルバムの中の1曲「J’Taime… Moi Non Plus」(ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ)にしか興味がなかった。

この曲のあまりにも官能的な出来によって、UK全体とヨーロッパの殆ど、そしてブラジルでのラジオで流すことが禁止され、ゲンスブールの母国フランスでは夜11時以前のオン・エアは禁止された。それほどこの曲は劇的なインパクトがあったのだ。ラジオでボイコットされたにも関わらずUKではフォンタナからリリースされチャートで2位にランクインしたが、すぐに回収されてしまった。それでもゲンスブールは恐れを知らず、メジャー・マイナー・レコードから再発してもらうとすぐにチャート入りを果たし全英1位まで上り詰めた。

「J’Taime… Moi Non Plus」は、最初に発売禁止されラジオオンエア禁止となったと同時に、外国語曲としてUKチャートのトップに躍り出るという前代未聞の快挙を成し遂げることになったのだ。




 

Share this story

Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
Exit mobile version