ゲンズブールからエミネムまで:音楽に見る“ボニー&クライド”の伝説

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80年以上もの間、我々を魅了し続けてきた伝説の2人組のアメリカの悪名高き犯罪者。1934年5月23日、ボニー・パーカーとクライド・バローは、ルイジアナ州ビエンビル郡を逃走中に待ち伏せしていた警察によって射殺された。

彼らはそれまでの数年にわたって店舗やガソリン・スタンドを襲撃、銀行強盗も行い、アメリカの市民の注目を浴びていた。しかし、ボニー&クライドの物語は、時が経つにつれ更に人々の心に入り込んできた。ロマンチックな神話の要素と正義が組み合わさり、2人のあまりにも残酷な死にざまによって、彼らが犯した罪の結果亡くなった警察官や一般人の死から生まれた恨みがなくなったかのようだった。

ボニー・パーカーとクライド・バローの物語は、必然的に美化されて映画として制作された。1958年の『鉛の弾丸をぶちかませ』、そして1967年の『俺たちに明日はない』ではフェイ・ダナウェイとウォーレン・ベイティが主役を務めた。しかし今回は2人の伝説を語った無数の楽曲に着目しよう。

2人にインスパイアされた最も印象的な曲のひとつは、早くも1968年に出現し、フランスの文化を代表していたブリジット・バルドーとセルジュ・ゲンズブールが歌っている。その歌詞はボニー・パーカー自身が書いた「The Trail’s End」と題された詩に基づいていた。その詩は、差し迫った運命を悟っていたように、ボニーとクライドが殺される数週間前に書かれたものだった。

ブリジット・バルドーとセルジュ・ゲンズブールの曲はのちの数々のカヴァーを触発した。ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズのメンバーのミック・ハーヴェイ、オルタナティヴ・ロック・バンドのルナ、ベリンダ・カーライルはアルバム『Voila』でフランス語版を歌い、女優のスカーレット・ヨハンソンさえもセルジュの息子ルルが2011年に発表したアルバム『From Gainsbourg to Lulu』で歌っている。

1967年の映画『俺たちに明日はない』はまた、リズム&ブルース・ジャズのスター、ジョージィ・フェイムに全英ヒットをもたらした。「The Ballad of Bonnie & Clyde」はミッチ・マレーとピーター・カランダーが映画を見た後に書き下ろした曲だ。ジョージィ・フェイムはイングランド北部に滞在中にロンドンに飛んでレコーディングをしている。

「あの映画にヒット曲があればよかったのにと思ったんだ。だから僕たちが書こうと思ったんだよ」とミッチ・マレーは話している。ジョージィ・フェイムのシングルはその年のクリスマス直前に全英チャート入りし、1月の終わりには母国で達成した3作目にして最後のNo.1となった。

1968年にもボニー&クライドを題材にした曲は生まれ、イージー・リスニングの巨匠であるメル・トーメは「A Day in the Life of Bonnie and Clyde」を同名アルバムのために書いて歌った。また、マール・ハガードは、共作したボニー・オウェンズとともに物語をカントリー化し、ジョージィ・フェイム同様にNo.1ヒットを達成した。その曲「The Legend of Bonnie and Clyde」はカントリー・チャートのトップに2週輝き、マール・ハガードにとって4作目のカントリー・チャート・トップを飾る作品となった。

1997年にはラップ界のスーパースター、エミネムが「’97 Bonnie & Clyde」をベース・ブラザーズと共作し、1999年に発売されたメジャー・・デビュー・アルバム『The Slim Shady LP』に収録された。この曲は、当初は1997年に発売されたインディー盤『Slim Shady EP』で「Just The Two Of Us」として収録された楽曲を、エミネムの娘のヘイリーの声をフィーチャリングして再録したものだ。

その2年後、フォクシー・ブラウンジェイ・Zの力を借り、「Bonnie & Clyde (Part 2)」をアルバム『Chyna Doll』の収録曲として発表。2000年には、カントリー・スターのトラヴィス・トリットが「Modern Day Bonnie and Clyde」をアルバム『Down The Road I Go』に収録。2013年にはまたもカントリーの著名人ケリー・ピックラーがアルバム『The Woman I Am』に「Bonnie & Clyde」を収録している。

かの有名な犯罪者にインスパイアされて生まれ続ける数々の楽曲の中で、トリップホップのトリッキーは2013年のリリース『False Idols』に「Bonnie & Clyde」を、そして2017年にはノルウェーのシンガー・ソングライター、トーマス・ディブダルが「Like Bonnie & Clyde」をアルバム『The Great Plains』に収録している。

ボニー・パーカーとクライド・バローは禁酒法と世界恐慌の時代にそのうさを晴らすかのように法と戦い、最終的には法が打ち勝ったものの、2人は歌の中に生き続けるのだ。

Written By Paul Sexton



ブリジット・バルドー, セルジュ・ゲンスブール『Bonnie and Clyde』

   

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