50歳を目前に始めて全英アルバム・チャート入りしたジョン・リー・フッカー

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アメリカのブルース・ミュージシャンは、全英ポップ・チャートとは無縁のように思える。しかし1964年、ブリティッシュ・ブルース・ブームのおかげで、アメリカを代表するブルース・ミュージシャンたちも全英シングル・チャートに顔を見せることになった。ジョン・リー・フッカーもそのひとりだ。この年の初夏、彼は「Dimples」でトップ30入りを果たしている。

ジョン・リー・フッカーはこの曲で最高23位に達しているが、当時のチャートの顔ぶれからするといかにも場違いな存在だった。なにしろ、ロイ・オービソン、スウィンギング・ブルー・ジーンズ、ジム・リーヴスといった人たちと肩を並べていたのだから。とはいえ「Dimples」の2つ下には、もっと彼に関係のあるバンド、つまりザ・ローリング・ストーンズの「It’s All Over Now」が初めてチャート入りしていた。本場のブルースへの関心が新たに高まったのも、元はといえばザ・ローリング・ストーンズが人気を博したおかげだった。「It’s All Over Now」は、やがてザ・ローリング・ストーンズ初の全英チャート1位獲得曲となる。

ジョン・リー・フッカーはそれまで既に15年以上に渡ってモダン、ヴィー・ジェイ、チェスといったレーベルを渡りあるきリリースを続けてきたが、当時はイギリスで新たに脚光を浴びていた。とはいえ、シングル「Dimples」がヒットしても、イギリス盤LPの売り上げには直接は結びつかなかった。アルバムがヒットするのは、そこからさらに2年半が過ぎてからのこと。50歳の誕生日まであと半年という1967年2月4日のチャートで、ジョン・リーの名前は全英アルバム・チャートに初登場する。

さらに驚くべきことだが、そのときヒットしたアルバム『House Of The Blues』は、8年前の1959年にチェスが発売したアルバムの再発盤だった。しかも収録曲が録音されたのは、それよりもさらに前。『House Of The Blues』に収められた12曲は、1951年から1954年までのあいだに録音された音源で構成されていた。このヒットした再発盤は、パイ・レーベルの廉価盤レーベル、マーブル・アーチから発売されている。

1967年のその週、このアルバムは全英チャートで初登場34位を記録。続けて翌週も35位につけている。その後ジョン・リーは『Mr. Lucky』や『Boom Boom』といったアルバムをイギリスで大ヒットさせるが、それはさらに四半世紀のちのことだった。とはいえ、『House Of The Blues』もそこに至る前の重要な準備段階だったことは間違いない。

Written by Paul Sexton



ジョン・リー・フッカー『House Of The Blues』

  

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