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ローリング・ストーンズ新作発売記念Podcast第3回日本語訳:スタジオワークとミックのヴォーカル

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ザ・ローリング・ストーンズが7月10日に発売するニュー・アルバム『Foreign Tongues』。この発売を記念して公式のポッドキャスト『Speaking In Tongues』が公開となった。その内容をほぼ全文、日本語でお届けします。こちらは第3回(第1回、第2回はこちら)。

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The Rolling Stones – Speaking In Tongues | The Official Podcast (Episode 3)

 

スタジオの重要性

ナレーター:このエピソードには強い言葉遣いが含まれています。ご聴取にはご注意ください。

アンドリュー・ワット:全員がコントロール・ルームに戻ってきて、初めて再生する瞬間、ドラムはガツンと鳴っていなきゃいけない。みんなが自分の音をちゃんと聴けなきゃいけないんだ。ギターは……キースが左、ロニーが右。つまり、さっき自分たちが演奏していた音がそのまま聴こえて、しかもヘッドフォンで聴いていたときに想像していたより10倍良く聴こえるべきなんだよ。そこがまさに、結果で勝負する瞬間なんだ。

ナレーター:素晴らしいレコードは、素晴らしいスタジオで作られます。『Foreign Tongues』も例外ではありません。

ミック・ジャガー:この作品の多くはメトロポリスで録音した。一部はロサンゼルスのヘンソンで録ったけど、ほとんどはメトロポリスで録音したんだ。

ナレーター:西ロンドンの緑豊かで心地よい一角に、メトロポリス・レコーディング・スタジオはあります。100年以上前に発電所として建てられた、レンガと石造りの巨大な建物です。現在そこから放たれているのは、また別の種類の“電力”です。

アンドリュー・ワット:バンドが自分たちの鼓動のリズムに合わせて演奏する力というものを、僕は昔から愛してきた。彼らは楽しんでいた。本当に楽しみながら作っていたんだ。それは音からも聴こえると思う。

キース・リチャーズ:やっていて楽しいんだよ。これがまるで……なんてふりはできないけどな(笑)。 この忌々しい機械から何を挑発できるか、何を引き出せるかを見るのが楽しいんだ。分かるだろ?

ナレーター:私はノラ・ジョーンズ。お聴きいただいているのは『Speaking in Tongues』です。第3部「Get Close」。録音場所に関して、ストーンズは最高の場所を選び放題です。

ロニー・ウッド:俺たちは、入ったスタジオを全部、自分たちの家にする。そうならなければ、そこを出ていく。そこで仕事はしない。だから、誰にとっても正しい作業環境でなきゃいけないし、インスピレーションがあって、実際に使える場所でなきゃいけないんだ。

ナレーター:では、なぜメトロポリスだったのでしょうか。ミック、キース、ロニーにとっては、スタジオの大きさが重要でした。

ロニー・ウッド:ストーンズの立場から言っても、俺が一緒にやっていた頃のフェイセズもそうだけど、俺たちはバーンズのオリンピック・スタジオで作業していた。そこには大きな部屋があったんだ。毎回そこに入るたびに、「どうか自己紹介させてくれ」って聴こえてくるようだった。あの部屋では、数々の名曲が生まれたんだよ。 それで俺たちはいつも、ああいう大きなキャパシティのあるスタジオで作業するのが好きなんだ。メトロポリスは、ぎりぎりその条件を満たしている。あそこの大きな部屋はかなり刺激的だ。たくさんの楽器、いろいろな実験、ドラム、さまざまなキーボードやアンプ、ヴォーカル用の設備、そういうものを置く十分なスペースがある。

ミック・ジャガー:それから、大きなコントロール・ルームも必要なんだ。みんながそこに入って聴かなきゃいけないからね。全員でぎゅうぎゅうに詰め込まれるような、小さなコントロール・ルームでは困る。そういう意味で、メトロポリスはいい部屋だと思う。

ロニー・ウッド:ミックのハーモニカの音なんかにも合う。つまり、何もかもがうまく収まるんだ。

The Rolling Stones – Foreign Tongues | Album Trailer

 

スタジオでの作業

ナレーター:そして彼らがスタジオに到着すると……。

ロニー・ウッド:やっていて楽しいんだ。まるで時間なんて経っていないみたいなんだよ。冗談があって、温かい感覚があって、創造性がはちきれそうになっている。あとはメンバーを集めるだけなんだ。人と一緒にプロジェクトをやるときって、全員がちゃんと空いていて、出番に応じて立ち上がってくれるようにしなきゃいけないだろ。でもストーンズの場合、必要な励ましなんて何もない。「よし、入るぞ! 楽しんで、作ろう」っていう合図だけでいいんだ。

ミック・ジャガー:みんなが入っていって、「おお、これはいい部屋だな。でもメトロポリスのことは本当には分からないな」と思う。俺たちはそこで録音したことがなかった。オーバーダブはしたことがある。俺はそこでたくさんオーバーダブをやってきたけど、実際にライヴ(生演奏)で何かを録ったことはなかったんだ。だから、うまくいくかどうか分からない。少し心配になるんだ。うまくいかないかもしれないからね。やったことがないわけだから。一方で、ロサンゼルスのヘンソンでは何度も録音している。だから、あの部屋がこのバンドに合うことは分かっているし、何をどこに置くべきかも分かっている。誰がどこにいるべきかも分かる。でもこの部屋は新しい体験だったから、うまくいくかどうか分からない。だから多少の調整は必ずある。でも、みんなにはリラックスして、ハッピーでいてほしいんだ。

(プロデューサーの)アンディと一緒に、どう配置するかを考えた。俺は椅子に座っていて、すぐ隣にギター・アンプがある。ロニーが隣にいて、キースは真正面にいて、俺から見える。スティーヴは左側にいる。キーボードはそこにあって、マットもそこにいる。だから、みんなを見るのに頭をほとんど動かさなくていい。目を動かすだけで見える。コミュニケーションを取る必要があるからね。特にドラマーとはそうなんだ。

ナレーター:ストーンズが準備に入ると、機械の中でも特別な注意を向けられる部分があります。

ミック・ジャガー:俺はスタジオではドラムに取り憑かれている人間なんだ。なぜかって? その答えは、かなり昔にさかのぼる。トラックを録るとき、ドラムは完璧でなければならない。あとからそんなに大きく変えることができないからだ。他のものは変えられる。何でも変えられる。ドラムを置く場所は、その部屋でドラムにとって一番音響的に良い場所なんだ。ドラムはアコースティック楽器だからね。電気楽器ではない。他のものは全部エレクトリックだ。だからそこまで重要ではない。アンプが必ずしもその部屋にあるわけではないからね。でもドラムは、その部屋の中で最高のドラム・サウンドを得るために、音響的に最適な場所に置かなければならない。そこから始まるんだ。だから中に入ったら、当然ドラマーと一緒に確認する。「ここでいい? これで満足? その場所で快適? 自分にとっていい音で聴こえる? よし、分かった」と。でも、それは事前にやっておくことだ。当日にやるものじゃない。それは間違いになる。だから録音を始める前に入って、ドラムをセットアップしておきたいんだ。

ナレーター:ストーンズはこの作業を長く続けてきました。こうした部屋の扱い方を、内側も外側もよく分かっています。しかし60年を経てもなお、彼らは時代とともに動き続けています。

キース・リチャーズ:そうだな、2トラックのRevoxを使っていた時代と、今使えるものとの違いだよな(笑)。俺は、その多くを懐かしいとは思わない。俺が言いたいのは、俺が1962年に録音を始めたときは2トラックだったということだ。2年もしないうちに4トラックになった(笑)。つまり、容量が倍になるわけだ。分かるだろ? それで「すごい! この上にもう1本ギターを乗せられる。それからさらに……」となる。気がつけば8トラックになっている。そして8トラックのあとに、いろいろなことが起こっていく。ここでプロデューサーが必要になる。エンジニアも必要になる。16トラック、24トラックになっていくと、ミュージシャンだけで全部を把握する可能性を超えてしまうんだ。そこで素晴らしいチームワークが仕事に入ってくる。エンジニアとのつながり、プロデューサーとのつながり、周囲の全員とのつながりが、ずっと重要になってくる。そして俺たちは今も、それに取り組んでいるんだ。

アンドリュー・ワット:僕は本当に懸命にやった。ミック、キース、ロン全員に、僕が彼らのためにそこにいると感じてもらいたかったし、彼らの意見を大事にしていること、それぞれが個人として何を望んでいるか、そして全体として何を望んでいるかを大切にしていると感じてもらいたかった。ミックとは、比較的早くそこに到達できたと思う。キースとは、ほとんど最初のアルバムまるまる1枚分かかったと思う。でも2作目では、彼とそこにいられた。僕らは本当に楽しくやれたんだ。メインのトラッキングを全部やって、それからオーバーダブのセッションをやった。彼がいろいろなものを作り出して、12弦を弾いたり、違うものを弾いたりしていた。ある曲ではダルシマーを使った。彼がコードを教えてくれて、僕がダルシマーを弾いて、2人でそのパート全体を作り上げたんだ。今回は彼と本当に違う経験ができたし、彼は僕にものすごく多くのことを教えてくれた。僕の手に5弦ギターを持たせて、ギターの上から下まで転回形を見せてくれて、どうやってリックを作るのか、キーの中でどう弾くのかを教えてくれた。最後には僕が「『Monkey Man』のあの動きって何だっけ?」と聞くと、彼がその場で見せてくれるようになっていた。つまり、僕は彼の生徒みたいだったんだ。

Monkey Man

ミック・ジャガー:たとえばブルースの憧れの人たち、あるいはフランク・シナトラのようなポップ・シンガーでも、彼らは部屋に入って、そのままライヴでやっていた。オーケストラがあってもなくてもね。あるいはオーケストラがすでに録音されていて、そこに歌うだけだったりする。でも物事は大きく変わった。そして、それは一夜にして変わるものではない。30年、40年かけての変化だ。すべてが変わる。毎年変わっていくんだ。

俺たちはブルースを完全にライヴでやることもできるし、ブルース・アルバムを作ったときは、あれはほとんどライヴ録音だった。あの作品のほぼすべてがライヴだった。でも他のアルバムでは、そういう形になることもあれば、そうでないものもある。全部がそうではないし、どれがそうで、どれがそうでなかったかを覚えておくのはとても難しい。もちろん、そこにはライヴの要素がある。でもオーバーダブの要素もある。だからスタジオを道具として使っているんだ。電子的な道具としてね。

ロニー・ウッド:たいていは、いいフェンダー・ツイードだね。古い50年代のアンプだ。デラックス系のやつだよ。俺には昔からの相棒、プリモがある。軽いフェンダー・ストラトだ。それから、とても軽いレスポールも持っている。手に取った人はみんな、その軽さを信じられないって顔をする。普通はものすごく重いからね。だから俺は、軽いギターのほうがずっとよく弾けるんだ。簡単に振り回せるからね。

 

ストーンズのスタジオ・ワーク

ナレーター:では、ストーンズが実際に録音を始めると何が起こるのでしょうか。もしその場にいたら、何が聴こえるのでしょうか。

キース・リチャーズ:リズムから始める。ビートから始める。ストーンズのセッションはかなり気楽なものだと想像できるだろう。ただし、「よし、これはどこへ行く? あれはどこへ行く?」という段階になると別だ。その瞬間、部屋はそこに集中する。テンポなのか、音なのか、進行なのか、そういうことにね。

ミック・ジャガー:すると部屋が、ある種の……工場みたいとは言いたくない。俺たちは製造しているわけではなく、創造しているからね。でも、小さな働き蜂たちが忙しく動き回って、「これはどうだ? あれはどうだ?」と考えている感じになる。「それを試させてくれ!」みたいなね。そんな感じなんだ。そこは工房で、いちばん良い部分が上に浮かび上がってくる。それを録音して、つかまえておくんだ。

キース・リチャーズ:コンソールのところには誰かが必要だ。ここではアンドリュー・ワットがいる。彼はいいやつだし、自分も加わって、何がどうなっているか分かっている。

アンドリュー・ワット:メトロポリスでは2つのスタジオを動かしていた。1つは本当に小さな部屋で、ロニー、キース、ミック、僕、そして僕のエンジニアのマルコがすごく近い距離でセットアップして、そこで曲をリハーサルした。少しだけね。テンポを見つけて、やり方を見つけて、みんながコードを少し通して弾いたことを確認する。でも、スティーヴ、つまりドラマーとは、準備ができるまでまだ一緒に演奏させたくなかった。すぐに何かを捕まえる必要があったからだ。

僕はバンドのフル・テイクを狙いたかった。それで次の部屋に移った。僕のもう1人のエンジニア、ポールがその部屋を全部セットアップしてくれていた。僕は彼らが録音している間、ライヴ・ルームの中に座るという素晴らしい楽しみを得た。僕の役割は、アレンジの進行をコールすることだった。マイクを持っていて、彼らが録音している。何かをやっていて、タイミングが来たら「コーラス!」とか、「コーラスに戻って!」とか言う。セクションを呼び出していく感じだね。すごく新鮮なものだったから、その形式を導いていくんだ。それを何回かやると、もう誰もそのコールを必要としなくなる。でも形ができていく途中では、そうやってフォームをまとめていった。

ミック・ジャガー:完璧さの問題ではない。フィーリングの問題なんだ。「その曲を正しいムードでやれているか?」ということだ。「みんながその曲で噛み合っているか? ヴォーカルのことは心配しなくていい」ということなんだ。本当に大事なのはムードなんだ。その曲で表現したいムードをちゃんと表現できているか。こういうポップ・ミュージックでは、それぞれの曲に、観客へ伝えようとしているムードがあるからね。

曲をそこまでよく分かっていない状態でもあるし、人によっては他の人より曲を分かっていることもある。実際には分からない。そして曲を演奏しているうちに、物事が変わることもある。もともとその曲を書いた人が、「あれ、これは好きかどうか分からない。これは自分にはうまくいっていないかもしれない。10ビートも速くしたくない」となることもある。「君はそれを正しく演奏していない」ってね。でも曲は変化を通っていく。ただし、やりすぎて殺してしまいたくもない。そうなると退屈になるからね。両方あるんだ。リハーサルされて、想像していた通りに出てくる曲もある。一方で、あまり書き込まれていなかった曲が、スタジオの中で自分自身の命を持ち始めることもある。演奏する人たちが、自分では考えていなかった何かを持ち込むんだ。

アンドリュー・ワット:その違いは聴けば分かる。このアルバムを聴くと、グリッドに合わせて作られた他のアルバムとは違うことが本当に分かる。人がテンポを速くしたり遅くしたりしていると、本当に力強く聴こえるんだ。それを見て、僕はより良いミュージシャンになれた気がする。キースが弾くのを見て、ミックが歌い、ハーモニカを吹き、ギターを弾くのを見て、ロニーを見る。まだロニーの話をしていなかったね。このアルバムでのロニーのリード・ギターは、僕がこれまで聴いたロニーのリード・ギターの中でも特に好きなものだ。ストーンズには、昔から即興的な要素がある。それはジャズから来ている。チャーリーが愛したジャズからね。反応し合うこと。それがこのアルバムには本当に存在している。

The Rolling Stones – Rough And Twisted (Official Visualiser)

 

スティーヴ・ウィンウッドが語るストーンズ

ナレーター:伝説の中の伝説、スティーヴ・ウィンウッドも登場してくれました。スペンサー・デイヴィス・グループ、トラフィック、ブラインド・フェイスのメンバーであり、ストーンズと同じ時代に出発した人物です。彼は『Foreign Tongues』全14曲中9曲でキーボードを演奏しています。

スティーヴ・ウィンウッド:確かに、神がかったインスピレーションのようなものが降りてくる瞬間はある。それに値するかどうかは分からないけれどね。でも、ある場合には確かにそれがある。それが即興というものの本質なんだ。即興は作曲と非常に密接につながっている。ただ、作曲の別のやり方ということなんだ。そして、少し同じ波長にいて、お互いを理解している人たち、音楽的にも、おそらく少し個人的にも理解し合っている人たちが集まると、そうした材料が一緒になる。そして、それらがまとまって特別なものになるまでに、そう長い時間はかからない。

ナレーター:スティーヴの世界独占インタビューは、このシリーズの後半でさらにお届けします。

 

ライヴ録音=生演奏

アンドリュー・ワット:キースがリックを弾いて、その右側でロニーが答えるのを聴いたとき、それは「ねえロニー、キースがあれを弾いたら、君はこう弾いたほうがいいと思う」なんてものじゃない。ただ彼らが互いに反応しているだけなんだ。それが彼らなんだ。それがあのものなんだ。探しに行く必要はない。聴きたいなら、キースは左、ロニーは右だ。それだけ。彼らはそこにいる。目の前にいる。だから、このアルバムにはそういうものがすべて残っているようにすることが、僕には本当に重要だった。全員がここにいるんだ。

ミック・ジャガー:人に疲れてほしくないし、退屈してほしくもない。明日また戻ってやればいいんだ。ときには、いつその曲から離れるべきかを知らなければならない。「よし、今はこの曲はここまででいい。別のことをやろう。次はバラードをやる。今度はカントリーの曲をやる。明日やりたい曲をリハーサルしよう」となる。今日はそれで十分だけど、これをリハーサルしよう、ということだ。これは本番ではない。ただのリハーサルだ。これは明日やる曲で、こういうふうにやるんだ。それを演奏すれば、次のセッションの準備ができる。

キース・リチャーズ:君もセッションに来るべきだよ(笑)。すべてはその日に何が起こっているか、どの曲に取り組んでいるか、誰がどんな気分かによる。俺はピンポンをして、場を陽気に保とうとしている(笑)。君がそれを信じているとは思わないけどな。実際のところ、そのやり取りを説明することは到底できない。毎日違うからね。スムーズにいくときもあれば、少し摩擦があるときもある。俺はそれを全然気にしない。

ミック・ジャガー:誰かが、あまり噛み合っていないパートを弾いていることがある。でも、それについて自分が間違っていることもある。実は完璧に噛み合っているのかもしれない。単に好みの問題なんだ。このパートは機能する、あのパートは機能しない、というね。でも、それほど大した問題ではない。いつだってもう一度やれるからだ。考える時間がある。それが録音の美しさなんだ。それは映画を作るのに少し似ている。ライヴ・ミュージックではない。いや、ライヴ・ミュージックではあるんだけど、ライヴ・ミュージックではないんだ。

ナレーター:それがアルバムの素材となります。みなさんが聴くことになるレコードへと形作るには、まったく別のプロセスがあります。

アンドリュー・ワット:スタジオの素晴らしいところは、とにかく自分のアイデアを試せるところなんだ。試そうとするアイデアの90%は、だいたいひどいものだ。でも、そこから行くべき場所にたどり着く。恐れずに、とにかくやってみなければならないんだ。

ミック・ジャガー:当然、いろいろなバリエーションがある。だからテイクはいくつかある。その瞬間に決める必要はない。たとえば3テイクあるかもしれない。翌日以降に聴いてみるまで、どれがベストかは分からない。「実際にはこれが好きだな」となる。どのトラックにも、おそらく正解になりうるテイクが2つか3つある。そして選ばなければならない。自分がベストだと思うテイクを決めてから、そのテイクに取り組むことになる。その瞬間には、「ああ、これは本当に、ものすごく良かった」と分かっているつもりになる。そしてたいていは正しい。でも常に正しいわけではない。実はその前にやったテイクのほうが良かった、ということもある。たとえそこにミスがあったとしてもね。でも、そのミスは直すことができる。

前にも言ったように、スタジオは大きな電子的な道具だ。音楽を作るための巨大な電子的ツールなんだ。そして、やり方はいくらでもある。レコードのポストプロダクションも、4トラック録音機が発明されて以来、ずっと重要だった。トラック数が増えれば増えるほど、動かせる余地が増え、オーバーダブできる余地が増え、もともと持っていたものを失わずに実験できる余地が増えた。そして今では、もちろん無限だ。そこが少し変なんだ。どこで止めるべきかを知らなければならないからね。ヴォーカル・スタックで言えば、たった1音を機能させるために、いったい何セットのフルのヴォーカル・スタックを作りたいんだ、という話になる。

 

ミックのヴォーカル

ナレーター:ミック・ジャガーは生涯歌い続けてきました。しかし人間の声は筋肉です。大切に扱えば、長い長い時間、最高の状態で働き続けることができます。そしてこのレコードでのジャガーの声は、すさまじいものです。では、スタジオにいて、ミックがヴォーカル・ブースに入ると、何が起こるのでしょうか。

ミック・ジャガー:そこで話しているのは、実際にはオーバーダブのセッションのことだ。全員が部屋にいるわけではない。たとえば、俺とアンディとエンジニアたちだけ、という感じだ。想像してみてほしい。自分でこの曲を書いた、あるいは誰かと一緒に書いた。でも「Sympathy for the Devil」ほどよく知っているわけではない。あれは何千回もやっているからね。だから「ああ、あれならいろんなバージョンでできる」となる。でも、そこまでよく知らない曲には、できるバリエーションがたくさんある。それを試してみる必要があるんだ。だから、その中に入り込むにはかなりの時間が必要になる。メロディを少し変えることもできる。この種の音楽では、進むにつれてより攻撃的になっていく傾向がある。最初はわりとリラックスした感じで始まる。自分も少しゆったりしているし、どこにいるのかを探っているだけだからだ。それが進むにつれて自信が出てきて、より攻撃的になり、さらに攻撃的になる。そしてもちろん、そこで少し引かなければならないこともある。ニュアンスも必要なんだ。

ナレーター:それが、仕事への渇望です。

アンドリュー・ワット:ミックは紳士なんだ。スタジオに来るときは、ボタンダウンのシャツにカシミヤのセーターを重ねている。そしてヴォーカルを録り始める時間になる。うまくいき始める。歌い始めると、彼はすごく暑くなる。だからすぐに、2、3テイクでセーターが脱がれる。セーターが脱がれたら、それはいい兆候なんだ。物事がうまく進み始めたということだから。曲が続いていくと、シャツのボタンが外される。ボタンダウンのボタンが外れていく。そしてそのシャツが脱がれて、黒いTシャツ姿になり、体のあらゆる部分に血管が浮き出てきたら、完全なるジャガーの誕生だ。彼はどの曲でもそのプロセスに入っていく。セーターが脱がれないなら、僕らが彼に必要なものを与えられていないと分かる。Tシャツまで行ったら、彼が完全なるジャガーになるために必要なものをすべて聴けているということなんだ。それを見守るのは、本当にひとつのプロセスだった。彼がブースにいて、僕はエンジニアのポールに向かって「セーターを脱ぐぞ」と言う。もう起こると分かるんだ。だから僕らは、それを見るのが好きなんだ。

ミック・ジャガー:それを終えたら、今度は全部のハーモニーをやらなければならない。俺はハーモニーをたくさんやるし、キースもいくつかハーモニーをやる。でも俺は、たとえば「Jealous Lover」や「Mr. Charm」みたいな曲で、ハーモニーのスタックをかなりやる。ヴォーカルやハーモニーを重ねていくんだ。アンディと俺は、俺がどれだけ速くそれをできるかで競争みたいなことをする。俺は本当はそこまで優れたハーモニー・シンガーではないけど、まあ何とかやれる。でも、どれだけ速くハーモニーを正しく取れるか、どれだけ高く行けるかが勝負になる。だから、これはちょっとした楽しい作業になるんだ。部屋にいるのは数人だけだからね。自分ひとりでオーバーダブをやるときは、まったく別のものになる。誰にでも、自分だけの時間がある。ギターなら、ギタリストそれぞれに時間があるし、ベースもそうだ。自分のパートを完璧にすることができる。それはある意味、また別の、より濃密なセッションなんだ。すべてが濃密ではある。全員が部屋にいるときも濃密だ。でもひとりでいるときは、30分休みたいと思えば30分休むことができる。全員がいる場では、それはなかなかできない。

The Rolling Stones – Mr Charm (Official Visualiser)

 

ザ・キュアーのロバート・スミスが語るストーンズ

ナレーター:ザ・キュアーのロバート・スミスも登場してくれました。彼自身も伝説的なフロントマンであり、『Foreign Tongues』で果たす役割を持っています。

ロバート・スミス:スタジオでミック・ジャガーが歌っているのを見ると、「分かる。これがどんな感じなのか分かる。まさにこういうことだ」と思うんだ。自分を追い込んで、可能な限り最高のものを得ようとしている。そこには強烈な集中があって、そういうことをしている人の周りにいるときは、すごく慎重でいなければならない。特に彼のように、そこまで深く賭けている人の場合はね。彼が何を得たいのかを正確に分かっていて、それを実際に得ているのが見て取れた。それが驚くべきことなんだ。僕自身はどうだろう。僕も頭の中にあるものを正確に得ようと、本当に努力する。できるときもあれば、できないときもある。できないときは、とても苛立たしい。でも彼は、起こっていることにとても満足しているように見えた。アンドリューはコントロール・ルームで、本当にものすごく全開なんだ。アンドリュー・ワットは、素晴らしい意味でそうなんだよ。信じられないほど熱意に満ちている。そしてミックが彼に反応して、弾んでいるのが見えた。人はエネルギーとかそういう話をするけれど、それは本当に触れられるようなものだった。ミックは歌いながら外で踊っている。つまり、基本的にパフォーマンスしているんだ。ただの“ドライなヴォーカル録り”という感じはまったくなかった。彼は立ち上がって踊りながら歌っていた。本当にそうだった。だから、数フィート離れた向こう側に座っていると、実際かなり特別な体験だった。特に初めてのときは、まったく予想していなかったからね。

The Rolling Stones – Divine Intervention (Official Audio)

 

ナレーター:ご安心ください。ロバートはまた登場します。しかし、それは別のエピソードでの話です。『Foreign Tongues』で聴こえる音楽、そのほとんどすべては、ストーンズが同じ部屋で、同じ時間に演奏し、何もないところから呼び出したものです。今では、そんなことをするバンドは多くありません。

キース・リチャーズ:俺たちはお互いのことを本当によく分かっている。それに、みんな熟練者だ。俺は全員と演奏するのが大好きだ。ロニー・ウッドは……言わないでおくよ(笑)。あいつはとんでもない野郎で……(笑)。一緒に仕事をしていると、ある状態に入るんだ。自分の正しい役割に自然と落ち着いていく。これが自分のやることだ、という場所にね。物事があるべきところへ収まっていく。考えてそうするわけじゃない。いじくり回して、整理してそうできるものでもない。でも、それが起こっているときは分かる。素晴らしいものなんだ。俺は人生ずっと、それに恵まれてきた。そして、その秘密を明かすつもりはない(笑)。

アンドリュー・ワット:信じられないことなんだよ。僕らは今、それを特別なことのように話している。実際、特別で神聖なことだからだ。でも昔は、どのバンドもフロアでライヴ録音していた。クリック・トラックなしで、互いに見合いながら、素晴らしいテイクを録って、それから少しオーバーダブする。それが普通のプロセスだった。今のバンドはもう、そういうやり方をしない。そうする必要がないからね。ドラマーの前に立って、いいドラム・テイクを録って、そのあとに一つずつ全部を足していくことができる。でもこのバンドは、同じ部屋で互いを見ながらライヴで録音する。それはロックンロールの最もシンプルな形なのかもしれない。でも、だからこそああいう音になるんだ。彼らは互いに反応している。僕はストーンズについていつもこう言う。バンドとして、彼らは同じことを二度と弾かない。たとえば「リフはこれだ」と言うとする。でも彼らはそのリフを二度と同じようには弾かない。つまり、それは捕まえなければならないものなんだ。だから録音しているとき、テープは回っている。ただ回り続けている。「よし、これから録るぞ」という感じではない。そうではなく、ただ回っているんだ。その日の最初に回し始めたら、もう回っている。実際、アルバムでは「Mr. Charm」という曲が、スティーヴの「回ってる?」という声で始まる。あれは新しいアルバムのために最初に録音した曲だった。そしてそれ以来、僕らはずっと回り続けている。

 

ナレーター:私はノラ・ジョーンズ。次回の『Speaking in Tongues』では、『Foreign Tongues』が姿を現します。曲の内側へ、皆さんをお連れします。

キース・リチャーズ:ミックがそれを書いたのは、俺たちがアメリカを愛しているからだ。困っている友人を見たら、「痛いな」と思うだろ。

ミック・ジャガー:「コックローチズ」というのは、テープ箱に書いていた名前だったんだ。誰のものか分からないようにして、テープ保管庫からくすねられないようにするためだった。

ロニー・ウッド:そこには、ダートフォード駅の昔からの引力が表れている。彼らが初めて出会った場所だ。マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、チャック・ベリーの影響が今もそこに残っている。アルバムを聴くかもしれない若い子たちに、彼らが自分たちのルーツを忘れていないことを示すためなんだ。

ナレーター:以上、『Speaking in Tongues』でした。私ノラ・ジョーンズがお届けする、ローリング・ストーンズ公式ポッドキャストです。まったく新しいアルバム『Foreign Tongues』は7月10日リリースです。今すぐご予約ください。『Speaking in Tongues』は、ローリング・ストーンズおよびPolydor UMGのためのCup and Nuzzle制作です。すべての音楽はジャガー=リチャーズ作、BMG MusicおよびPolydor UMG提供。ストーンズの最新情報はrollingstones.comへ。

Written By uDiscover Team


ザ・ローリング・ストーンズ『Foreign Tongues』
2026年7月10日発売
フィジカル商品詳細 / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music

① 1CD
⚫︎品番:UICY-16494
⚫︎価格:3,300円税込
⚫︎仕様:デジスリーヴ/16ページ・ブックレット(歌詞付)
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/SHM-CD仕様/2枚のアートカード付

② 1CD+1ブルーレイ(音源のみ)【ボックスセット】【限定盤】
⚫︎品番:UICY-80757
⚫︎価格:9,350円税込
⚫︎仕様:ボックスセット
⚫︎デジスリーヴ/16ページ・ブックレット(歌詞付)
⚫︎アートプリント/ポスター
⚫︎ブルーレイ:音源のみ/ドルビーアトモス、5.1chサラウンド、ハイレゾ音源
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/SHM-CD仕様/2枚のアートカード付

③ 1CD【RS No.9オンライン限定盤】
⚫︎品番:PROT-1413
⚫︎価格:3,300円税込
⚫︎仕様:デジスリーヴ/16ページ・ブックレット(歌詞付)
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/SHM-CD仕様/2枚のアートカード付
*RS No.9はザ・ローリング・ストーンズの公式ブランド

詳しくはこちら

④ 1CD【Amazon限定盤】
⚫︎品番:PROT-1414
⚫︎価格:3,300円税込
⚫︎仕様:デジスリーヴ/16ページ・ブックレット(歌詞付)
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/SHM-CD仕様/2枚のアートカード付

⑤ 2LP【直輸入盤仕様/生産限定盤】
⚫︎品番:UIJY-75393/4
⚫︎価格:7,700円税込
⚫︎仕様:ゲートフォールド・スリーヴ/180gブラック・ヴィニール
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/歌詞対訳付/2枚のアートカード付

⑥ 2LP+ブルーレイ【ボックスセット】【直輸入盤仕様/生産限定盤】
⚫︎品番:UIJY-75395
⚫︎価格:13,200円税込
⚫︎仕様:ボックスセット
⚫︎ゲートフォールド・スリーヴ/180gイエロー・ヴァイナル
⚫︎アートプリント/ポスター/スリップマット
⚫︎ブルーレイ:音源のみ:ドルビーアトモス、5.1chサラウンド、ハイレゾ音源
⚫︎日本盤のみ:英文解説翻訳付/対訳付/2枚のアートカード付



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