ジャクソン5が1970年に放ったクリスマス・ヒット「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」の制作秘話

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Photo: Motown Records Archives

ロンドンにあるブルームズベリー出身のソングライター、トミー・コナー(Tommie Connor)は、1950年代初頭に一風変わった依頼を受けた。その依頼とは、高級百貨店チェーン“サックス・フィフス・アベニュー”ニューヨーク本店の毎年恒例のクリスマス・カードを宣伝するために曲を書いて欲しいというものだった。

そうしてトミー・コナーによる「I Saw Mommy Kissing Santa Claus(ママがサンタにキスをした)」の歌詞が入った楽譜デザインのホリデイ・カードには、床にはプレゼントの袋が並べられ、飾り付けされたクリスマス・ツリーの横で若い女性がサンタクロースにキスをしている様子を描いた漫画がフィーチャーされた。このイメージは、1970年にジャクソン5(Jackson 5)が発表したこの曲のカヴァーによって、永遠に人々の心に刻まれていくことになる。

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発表当初はラジオでの放送が禁止に

「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」は、1952年7月にミシシッピ出身のジミー・ボイドが初めて録音し、物議を醸した。教会グループはその如何わしい歌詞に異論を唱え、地元のカトリック教会関係者に同調したボストンのラジオ局が、発表されたばかりのこの曲の放送を禁じたのである。

当時まだ12歳の華奢な赤毛の少年だったジミー・ボイドは、放送禁止を解除するようラジオ局を説得するのに一役買い、その結果、彼が歌う「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」は、映画やテレビのバラエティ番組で活躍し成功を収めていった、その後のキャリアに繋がる大ヒットを記録した。

この曲が初めて世に送り出された1952年以来、ビバリー・シスターズ、ザ・ロネッツ、アンディ・ウィリアムス、リーバ・マッキンタイア、ジョン・メレンキャンプ、ジェシカ・シンプソン、エイミー・ワインハウス、ジョン・プラインなど、多くのアーティストたちによる何百ものカヴァー・ヴァージョンが発表されてきたが、中でも 最も人気があるのは、モータウンのためにこの曲を録音したジャクソン5によるカヴァーだろう。

ジャクソン5によるカヴァー

「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」は、神童マイケル・ジャクソンの12歳の誕生日を目前に録音され、1970年10月15日にリリースされたジャクソン5のアルバム『Jackson 5 Christmas Album』の収録曲で、“ワオ! ママがサンタクロースにキスしてるよ”というリード・ヴォーカルを務めるマイケル・ジャクソンの驚きの声から始まる。そして当然ながら、クリスマス・ツリーの下、女性にキスをしているのは、サンタの衣装を着た主人公の父親である、というのがこの曲のジョークだ。

ハル・デヴィッドがプロデュースを手掛け、マイケル、ジャッキー、ジャーメイン、マーロン、ティトらジャクソン兄弟をフィーチャーしたジャクソン5によるこのカヴァーの他にも、アルバム『Jackson 5 Christmas Album』には、メル・トーメの 「Christmas Song」の生き生きとしたカヴァー・ヴァージョンなどが収録。そしてジャクソン5の「I Saw Mommy Kissing Santa Claus」は、グループにとってニュージーランドでの初のヒット・シングルとなり、彼らはライヴやテレビ番組で定期的にこの曲をパフォーマンスし、時にはアカペラ・ヴァージョンも披露していた。

作曲家トミー・コナーはこの曲のヒットによって、1937年に共同作曲し、ナット・キング・コールが録音したクリスマスの名曲「The Little Boy That Santa Claus Forgot」を上回るほどの大金を稼いだ。彼は1966年のマカロニ・ウェスタン『続・夕陽のガンマン』の音楽の作詞なども手掛けているが、その名声は、発表当時に物議を醸し、後にジャクソン5の瑞々しいカヴァーが大ヒットしたこの曲に拠るところが大きいのだ。

Written By Martin Chilton



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