ジャクソン5を育てたモータウン・アーティスト、ボビー・テイラー死去

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60年代にモータウンから登場し成功を収めた異人種混合バンド、ザ・ヴァンクーヴァーズのメンバーであるボビー・テイラーが先日(2017年7月22日)に亡くなった。ワシントン生まれのこのソウル・マンは、近年は香港で生活していた。享年83歳であった。彼はジャクソン5の初代プロデューサーとしてジャクソン5をチャンピオンに育て上げたことでよく知られている。

ボビー・テイラー & ザ・ヴァンクーヴァーズ は、のちにコメディ・コンビのチーチ&チョンの片割れとして知られることになるトミー・チョンがトム・ベアードと一緒に作曲したスタイリッシュでディープなソウル・バラード「Does Your Mama Know About Me」を1968年に歌ってヒットしたことで知られている。この曲はゴーディ・レーベルからリリースされ、ソウル・チャートで5位、ポップ・チャートで29位を記録した。

2つのチャート入りを果たしてからは「I Am Your Man」(アシュフォード&シンプソンによるプロデュースでR&Bチャート40位)とスモーキー・ロビンソンが作詞作曲プロデュースした「Malinda」がソウル・チャートで16位を記録するなどリリースを続けた。どちらのシングルも、ボビー・テイラーのソロ・プロジェクトとしてレコーディングされたが、クレジットはボビー・テイラー & ザ・ヴァンクーヴァーズとグループとして表記され、1968年にリリースされた彼らのセルフ・タイトル・アルバム『Bobby Taylor and the Vancouvers』にも収録された。のちにボビー・テイラーはモータウンのV.I.P.レーベルの為にレコーディングし、1975年にチャート83位を記録した「Why Play Games」でソロとしてプレイボーイ・レコードから復活を果たしている。

60年代初頭、ボビー・テイラーはサンフランシスコで定期的にシンガーかドラマーとして仕事をしており、そこでリトル・ダディ・アンド・ザ・バチェラーズと出会う。当時彼らは異人種混合バンドであることからザ・シェイズと名乗っており、メンバーにはトミー・チョンの他にのちのスリー・ドッグ・ナイトのドラマーとなるフロイド・スニードが在籍していた。

『The Complete Motown Singles Vol.8』に記載されている通り、ザ・バチェラーズのリード・シンガーであったトミー・メルトンがバンドを去った後、ボビー・テイラーは正式にその後任になることになった。盤石の布陣となった60年代中盤の彼らは、ヴァンクーヴァーのザ・ケイヴと呼ばれるサパー・クラブで働き、そこは夜になるとエレガント・パーラーという名で知られ、深夜までショーが行われていた。ある晩、シュープリームスのメアリー・ウィルソンとフローレンス・バラードの前座を務めたところ、彼女達にいたく気に入られ、彼らをスターにするべくデトロイトからベリー・ゴーディが呼び出された。

バンド名をボビー・テイラー&ザ・ヴァンクーヴァーズに改名した彼らは、悪名高きデトロイト暴動の最中にデトロイトに到着した。11月にはベリー・ゴーディ自身によるプロデュースで「Does Your Mama」をレコーディングし、1968年4月にR&Bチャートに登場する。彼らが別々の道を行くまでの間はグループの皆が名声を味わっていたが、それもボビー・テイラーにある出来事が起こるまでの短い間だった。翌年、ボビー・テイラーはまた別の形で成功を見出すことになるのだ。

実はモータウンにファミリー・グループのジャクソン5を紹介し、ザ・ヴァンクーヴァーズのシカゴのリーガル・シアターでの公演の前座に彼らをつけたのはボビー・テイラーだったのだ。モータウンのプロモーション担当であったウェルドン・マクドゥーガルがのちにゴールドマイン・マガジンに語ったところ、「ボビーは、彼らのためにどうにかしてレコーディングする時間を作ろうとしていたよ。モータウンはヒット・バンドだらけで、彼らを入れるスタジオが空いてなかったんだ。レーベルは、彼らみたいな小童バンドのことなんか何も知らなかったんだ」。

「そんな中、ボビーは彼らとずっと一緒にいたんだ」とウェルドン・マクドゥーガルは続ける。「彼は、その子達がレコーディングする為にいろんな規制やルールを破って、最終的になんとかレコーディングにできるまでにこぎつけた。そして彼は、その作品をなんとか皆んなに聞かせたかったんだが、それも実現するまでにしばらくかかった」。ソングライター兼プロデューサー・チームであるザ・コーポレーションと共に、1969年のジャクソン5のデビュー・アルバム『Diana Ross Presents The Jackson 5』をディレクションしたのはボビー・テイラーだったが、彼らのスマッシュ・ヒット・シングル「I Want You Back(邦題:帰ってほしいの)」に彼の名前はクレジットされなかった。

ボビー・テイラーのV.I.P.在籍中のソロ活動は、重要ではあるものの商業的な成功をもたらすことはなく、1971年には契約は解除された。のちに渡英した彼はボビー・テイラー&ザ・ニュー・ヴァンクーヴァーズを結成し、(多くの元モータウン・アーティスト同様)熱狂的タムラ/モータウン信者イアン・レヴィンが運営するモーターシティ・レコーズでレコーディングをすることになる。

Written by Paul Sexton


  • ボビー・テイラー & ザ・ヴァンクーヴァーズの楽曲が収録された『The Complete Motown Singles Vol.8』を聴く ⇒ iTunes / Apple Music 
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