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指揮者・ヴォーカリストが語る『ディズニー・オン・クラシック 2023』の魅力と楽しみ方

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ディズニーのアニメーション・映画・テーマパークなどで生まれた“音楽”に焦点をあて、オーケストラとヴォーカリストの生演奏で楽しむ、大人のための音楽会「ディズニー・オン・クラシック~まほうの夜の音楽会」。2002年に初開催され、東京・大阪・名古屋の3公演から始まったコンサートは、今や全国で毎年75公演近くを開催する日本最大規模のオーケストラ・ツアーとして成長しています。21回目となる2023年は、「With You 〜愛を奏でる」をテーマに、長編アニメーション映画『美女と野獣』を8年ぶりにフィーチャー!

美しい娘ベルと醜い姿の野獣の間に芽生えた“真実の愛”の物語が、オーケストラ・ジャパンの演奏とニューヨークで活躍する8人のヴォーカリストたちのパフォーマンス、そしてスクリーンの映像と素晴らしい照明演出で展開されています。

その指揮者、リチャード・カーシーさん、ヴォーカリストのシェイレン・ハージャーさん、ヒュー・エントレキンさんにインタビューしました。

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ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2023/公演紹介映像|美女と野獣 ディズニー100

 

Q. ディズニー音楽はどんな特徴や魅力があると思いますか?

カーシーさん:キャラクターに結びついていることが一番のポイントだと思います。『美女と野獣』でもそうですが、音楽でキャラクターに光を当てるような側面がありますね。キャラクターを知ることができますし、ストーリーがどのようなあらすじか、あるいはどう展開していくかもよくわかります。

Q.「ディズニー・オン・クラシック」の魅力とは?

カーシーさん:皆さんがよく知っている楽曲を、これだけレベルの高いオーケストラとヴォーカリストたちによる生演奏で聴けるということは、非常に稀有なことでユニークな体験だと思います。

第1部は、ディズニー創立100周年を記念して、歴史を振り返るようなプログラムです。
それぞれの作品のメッセージや、作品に携わったクリエイターや音楽家たちが込めた愛をお届けします。ディズニー音楽といえば!という曲の数々を、演奏家、ヴォーカリスト、観客の皆さんが、同じ空間共有できることは、まさに“まほう”にかかるひとときだと思います。

第2部は、ひとつの作品にスポットライトを当てて展開していきます。特に音という部分を前面に出しているので、他では体験できないようなコンサートになるでしょう。今回の『美女と野獣』では、野獣が唸っていたり、コグスワースの時計のチクタク音が聞こえてきたり。喜びや不安、ロマンスなどが、すべて音として聴こえてくると思いますよ。

ハージャーさん:2019年の「ディズニー・オン・クラシック」で初来日したのですが、それまで私はアメリカから出たことがありませんでした。また、大きな編成のオーケストラとの共演も経験がなかったので、私の人生そのものを変えたといえます。そんな素晴らしいことが2回も起きるなんて!

ステージでは、日本とアメリカの文化の違いを大きく感じています。アメリカでは、キャーキャーと叫びながら聴く人もいるのですが、日本では本当に皆さんが静かに聴いてくれます。出演者に対する敬意を感じますし、観客の皆さんとの一体感を感じるんです。なので、また来日出来ることを聞いたときには、もう飛び上がって泣いて喜びました。

エントレキンさん:私は、ジョージア州のアトランタで生まれ育ちました。小さい頃は家族で夏休みに、車で6時間かかるフロリダのウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートに行っていたこともあり、ディズニーへの愛がそこから始まりました。ハイスクール時代に『リトル・マーメイド』のエリック王子役、そして「ディズニー・クルーズ・ライン」ではヘラクレス役を演じたことがあり、今回の「ディズニー・オン・クラシック」への出演は、とても縁を感じています。母親家族もすごく喜んでくれました!

Q. 日本のオーディエンスの印象的な反応をお教えください。

カーシーさん:「ディズニー・オン・クラシック」の観客の皆さんは、コンサートや作品そのものに対しても非常に思い入れがありますね。だからこそ、何度も何度も戻ってきてくれるのでしょう。繋がりというものを感じているのだと思います。ステージ上で指揮をする私にも、皆さんの温かみを肌で感じることができます。
どんな規模の劇場であろうが同じなのです。

Q. 今回のテーマ「With You 〜愛を奏でる」に感じること、大切に思うことは?

カーシーさん:『美女と野獣』という作品が、なぜ長い間あらゆる国で人々を感動させ続けているのでしょうか。それは、私たちひとりひとりの内に野獣がいるからだと思うのです。我々は何らかの形で不完全であり、自分たちのどこかの部分が、他人から愛されないこともあるということを感じているのではないでしょうか。

横暴に振る舞う野獣を、ベルは愛していきます。その結果、野獣が癒されていく。不完全な部分がありながらも、受け入れていくというストーリー。我々も、自分たちの不完全な部分を、何らかの形で癒したい、愛を通じて癒されたいという願望があると思います。だから、この作品で人それぞれが癒しを体験できるわけです。

これは指揮者としての個人的な見解ですが、音楽もそうです。人に対して敬意を払っていくことが、それぞれの歌詞のひとつひとつに表れています。それを、オーケストラで細かいところまで表現をしていく。そういう創造というものも、まさに愛の力だと思うのです。指揮をしていて大いに感じる部分です。

ハージャーさん:観客の皆さんと物語をしっかり共有していくことが大事だと思っています。幼い時から『美女と野獣』を観て大人になった私にとって、ベルの役を歌うことは本当に特別なことです。ベルは何か判断をするとき、常に愛という観点から結論を導き出していきます。自分だけのためではなく、誰か他の人のためにです。それが自分にとって痛みを伴うことであっても、最良の判断をしようという考え方です。

これは、ディズニーの他のプリンセスにも言えることだと思います。世の中の小さな女の子たちにとって、ありのままの自分を受け入れるということ、そして自分が欲しいと思うものをちゃんと追い求めていくということです。止まっているよりも、しっかりと勇気を持って、前に進むということを教えてくれます。私自身も、なかなか自分の背中を押せない時があります。でも、自分の体の中に宿るベルを意識しながらパワーをもらって、一歩踏み出すことが出来ることを感じています。

エントレキンさん:このテーマは、とても共感できるものですね。愛というものは、人間にとって最終的な癒しの形であり、個人を取り戻すためにできる唯一の方法ではないでしょうか。また“With You”ということで、愛というものはひとりだけではなく、他人と共有する体験と思っています。愛はコミュニティを作るために必要なものだと思います。我々がコミュニティとして自分たちを変えていき、そして成長していくために必要なテーマが、愛だということを確信しています。

Q. 今回の公演の第2幕でフィーチャーされる『美女と野獣』の音楽を手がけたアラン・メンケンの魅力をお教えください。

カーシーさん:アラン・メンケンとハワード・アシュマンは、ディズニーを代表する偉大な作曲家、作詞家たちです。

ウォルト・ディズニーには、アニメーターや作詞、作曲をする人たちに、自由な発想で創作活動をしてもらおうという考えがありました。彼らの仕事は、普段生きているなかでのことを表現し、それを通じて感情に共鳴できるようなストーリーを作っていくことでした。そして、どんな時代であっても時代を反映したものが作られてきました。曲を思い出すことによって、時代を感じることができる。そして、我々同士を繋ぐことができるのです。あの有名な『白雪姫』は1937年ですから100年近く前の作品です。

しかし、今なお私たちにその音楽が響くのは、ストーリーと結びついているからなのです。

ハージャーさん:アラン・メンケンは、悪役のキャラクターであっても、親近感を持たせてくれるような表現ができる素晴らしい作曲家だと思います。
彼は、キャラクターを通して、それぞれ自分の中にある子ども(インナーチャイルド)を引き出してくれる能力を持っていると思います。

エントレキンさん:ハイスクール時代に、世界中の演劇家が集まる国際的な演劇祭があり、その前夜祭のテーマが、アラン・メンケンさんだったんです。私は『アラジン』のジーニーの役をやり、「フレンド・ライク・ミー」を歌いました。それは初めてのオーディションだったのですが、非常に面白い体験でした。

Q. 日本のディズニーファンへメッセージをお願いします。

カーシーさん:今年のコンサートは、ウォルト・ディズニーのレガシーを、音楽を通じて皆さんへお贈りするセレブレーションです。また、作品を通して表現されている人間性、そして愛というものを経験することができると思いますし、我々としても本当に多くのいろいろな感動を提供できると思います。

ハージャーさん:公演後に多くのファンの方々が私にメッセージを送ってくださり、お土産などもいただきました。
あらためて感謝したいと思います。今後もファンの皆さんと、感情を共有していければと思います。

エントレキンさん:皆さんと一緒に過ごせることが、とてもうれしい!という言葉に尽きます。
テーマにもあるように“With You ”ですね。私たちヴォーカリスト、指揮者、オーケストラ、そして観客の皆さんとの共同作業として、コンサートは、作られていると思います。その中でも、一番大きな要素が観客の皆さんであり、毎公演違ったものができあがります。例えば、『美女と野獣』で「ひそかな夢」を歌うと、同じ歌詞、同じ音なのに、毎回ちょっとずつ違う意味とか新しい解釈が生まれてくるのです。

それがまた目に見えるから、非常に面白いわけですね。だからこそ、劇場での仕事がとても好きなんです。

Q. 公演で演奏される曲のオリジナル楽曲はデジタル音楽配信サービスSpotifyの「ディズニー・オン・クラシック」のプレイリストで配信公開されて聴くことができます。このような音楽の楽しみ方についてどう思いますか?

カーシーさん:私はネブラスカ州の小さな町で育ちました。いつも父は私と何か一緒にすることを探していました。7歳の頃、兄がハイスクールで『キャメロット』を公演したとき、父が一緒に連れて行ってくれました。

雷に打たれたような感覚で、大きな世界が私の目の前に広がりました。私にとって、これはもうマジックだったわけです。家に帰っても頭の中でその音楽が鳴り続けていて、眠れませんでした。いえ、寝たくなかったのです。寝てしまったら音楽を忘れちゃいそうで。一晩中ずっと起きていて、頭の中の音楽を繰り返して、朝になりました。「音楽を忘れたくない!」と泣きべそをかいた私を心配した母が、「それなら、レコードを買いに行こう!」と言ってくれたんです。私は嬉しさのあまり、飛び上がりました。この体験をずっと残すことができるのです。

この経験があったからこそ、今の私があると思えるほど、私にとって大きな岐路でした。
ですから、このプレイリストで何度も何度も音楽を体験できる。あるいはコンサートへ行く前に気軽に予習ができる。本当に素晴らしいサービスだと思います。

ハージャーさん:音楽を自分の身近なデバイスに置けるのは素晴らしいことだと思います。私もうれしい時、また逆に不安だったり悲しい時に、Spotify やYouTubeで音楽を聴くことかあります。

エントレキンさん:私も、Spotifyは毎日使っています。ライブパフォーマンスの魅力とは異なった方法で、音楽を楽しむ手段だと思います。
もう一度、この音楽を楽しむ、その場の雰囲気に戻れることができる。そして、また新しいアーティストとか、新しい演奏などを調べる手段にもなるわけですから、本当に素晴らしいものだと思います。


 

「ディズニー・オン・クラシック 〜まほうの夜の音楽会 2023」
12月24日(日)まで、全国32都市・51公演を開催
公式サイト
公演スケジュール


ヴァリアス・アーティスト『Disney 100』
2023年9月20日発売
CD



 

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