ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ『Legend』:17年以上も英チャートにランクインしたベスト盤

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1984年5月、ひとつの「伝説」が生まれた、と言っても決して誇張表現には当たらないだろう。ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ(Bob Marley and the Wailers)の偉業を讃えるためにアイランド・レーベルが発表した新規編集盤『Legend』が全英アルバム・チャートで初登場1位を記録したのである。

この時点では、『Legend』が歴史に残るベストセラー・コンピレーションになると予想した人はほとんどいなかった。このコンピレーションは、時代の精神を凝縮したレコードの古典的な例だと言える。当時、世界中のメインストリームの音楽ファンは、レゲエの偉大なる伝道師だったボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズの名前を知ってはいたかもしれない。しかし実際にそのレコードを所有していた人はあまりいなかった。

その結果、『Legend』はこのグループのコンピレーションの決定版となった。ただし、『NME』誌のような一部のメディアは、このアルバムがボブ・マーリーの作品に偏っており、ザ・ウェイラーズの作品を十分に取り上げていないと評価していた。

 

大多数の人が記憶しているマーリーの姿

「私が思うに、これは大多数の人が記憶しているマーリーの姿だ」とイギリスの音楽ライター、リチャード・クックはレコード評で述べている。「“Jamming”や“Three Little Birds”を歌う笑顔のシャーマン。“Waiting In Vain”や“Is This Love”に登場する率直な恋人。“Exodus”での平和の唱道者。人々に人気のボブ・マーリーは、何もかもうまくいくと訴えることに生涯の大半を費やしたように見える。このコンピレーションで強調されているのも、マーリーのそうした側面だ」。

とはいえ、レコードを買う側はそうした疑問とは無縁だった。このコンピレーションは全英チャートで12週間連続首位を記録し、トップ10にはさらに8週間留まった。チャート入りの期間は連続74週間にも及び、1985年10月までランク入りしている。『Legend』はその後もしばしば全英チャートに返り咲いており、1991年には最高11位を記録。1994年にもトップ20に入り、1999年、2003年、2012年にもトップ40圏内に戻っている。さらに2014年9月には廉価版キャンペーンが行われ、トップ10に再び入った。

2020年5月の時点で、『Legend』は全英チャートのトップ75以内に合計674週間、トップ100以内には合計923週間入っている。これは、年に換算すると17年以上にもなる。またチャートの首位獲得からわずか9日でダブル・プラチナ・アルバムに認定。1985年にはトリプル・プラチナ、1991年には4×プラチナ、1993年には5×プラチナ、1994年には6×プラチナを記録している。全世界で見れば、『Legend』は歴史に残る人気コンピレーションとなっており、売上総数は2,800万枚を超えている。

2014年のチャートでの急上昇は、Google Playで定価約9ドルから99セントに大幅値引きされたことが引き金となった。その結果、『Legend』はアメリカの「Billboard 200」チャートで100位から5位に上がった。これは、ボブ・マーリーにとってアメリカのアルバム・チャートでの最高順位となった(それまでの最高順位は、1976年の『Rastaman Vibration』が記録した8位)。ちなみに『Legend』は、初めて発売された当時、『Billboard』の全米アルバム・チャートでは54位に達するのがやっとだった。

『Legend』が記録した驚異的な記録をもうひとつあげよう。発売から35年過ぎたあと、このアルバムは2015年のクリスマスから2019年12月まで全英アルバム・チャートのトップ100圏内にずっとランク入りしていた。また2020年春には全英チャートのトップ20に返り咲いている。伝説は今も生き続けている。

Written By Paul Sexton


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