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6人中4人が亡くなった飛行機事故を乗り越え、70年代の時代性を表現したバーケイズの『Black Rock』

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Photo: Michael Ochs Archives/Getty Images

1967年の年末、バーケイズは地獄のような時を迎えていた。6人のメンバーのうち4人が、飛行機事故で天国へ逝ってしまったのだ。その事故はオーティス・レディングの命も奪ったものだった。生き残った2人のメンバーのベン・コーリー(トランペット)とジェイムス・アレキサンダー(ベース)は勇敢にもゼロからグループを再建し、1969年にファンキーなアルバム『Gotta Groove』をリリース、同年にリリースされたアイザック・ヘイズのヒット・アルバム『Hot Buttered Soul』にも参加し活動を再開し始めた。

バッキング・バンドとしても、レコーディング・アーティストとしても60年代半ばのスタックス・レコードのサウンドを築くキーとなる人物だった彼らだったが、しかし、70年代に入り音楽シーンの移り変わりによって突然時代遅れに見られ、野望がないようにも感じられてしまった。アイザック・ヘイズがシンフォニックなソウルのパフォーマンスへと音楽を変えていき、ロック・バンドがヒッピー・ムーヴメントの自由さをさらに爆音でヘヴィーにして自己表現へと進化させていったように、バーケイズも70年代を生き抜くためには自分たちのサウンドを変えなければならないことに気がついた。1971年2月にリリースされた『Black Rock』は、そんなバーケイズが70年代に安定したパワフルなファンク・グループへと成長する最初で最も重要な一歩となった。

『Black Rock』は、才能が完全に開花した1976年『Too Hot to Stop』以降のマーキュリー・レコード時代のものでも無ければ、60年代後半のソウル・ファンを熱望させたサウンドでもなかった。しかしこのアルバムには、新しい時代への鍵を見つけたバンドの独自性が詰まっていた。『Black Rock』はロックでもあるが、ファンクでもあり、オープニング曲の「Baby I Love You」はファンカデリックっぽさがあり、楽曲によっては非常にソウルフルでもある。もっと優しいアレンジメントもあれば、彼らがメンフィスの一流スターのバック・バンドを務めていた頃を彷彿とさせるものもある。

当時のバーケイズはスタックス出身でヴォーカル・グループのザ・テンプリーズの元メンバーだったラリー・ドドソンがフロントを務めていた。ホーンのアレンジやコード進行があって、ミドル・セクションではファンキーなロックと長いギター・ソロへと変遷していくのを聴いてみてほしい。これはまさにロックン・ロールの野望を抱いたソウル・ミュージックである。8分以上続くこの曲は、ノーマン・ホイットフィールドがモータウンで創造したどの曲よりも異色だった。

その他のアルバム収録曲の中には、カーティス・メイフィールドが1964年に作曲しバーケイズとアイザック・ヘイズの共演が垣間見れるバラードの「I’ve Been Trying」では、アイザックが「Walk On By」にしたように、似たようなコード進行のイントロを使っている。サム&デイヴの「You Don’t Know Like I Know」のカヴァーは図太いファンク・ロックに仕上げられ、長いギター・ソロも施された。

Bar Kays Black Rock Record Label Side Two Web 350

スライ&ザ・ファミリー・ストーン「Dance To The Music」のカヴァーは、『Black Rock』のレコードB面のオープニング曲として収録され、サイケデリックなパーティー・グルーヴが聴ける。ヒッピー・ロックの「A Piece Of Your Piece」がここでは最も目立たない作品だ。しかし、爆発的な「Six O’Clock News Report」がそれを補い、パーラメントやファンカデリックのエディ・ヘイゼルが誇りに思ったであろうファンキーなリフがたっぷり収録されている。「How Sweet It Would Be」はバーケイズのソウルのルーツへ戻った曲であり、ホーンやオルガンが前面に出ている。最後に場違いなインストゥルメンタル曲としてボビー・ブルームのレゲエのヒット「Montego Bay」がさほどの効果もなく収録されているが、もしかするとこのアルバムの他の曲が築き上げたムードを台無しにしないようにLPの最後に配置されているのかもしれない。

『Black Rock』にはもちろん欠点もある。でも当時はこういうものだったのだ。1971年までのサイケ・ファンカ・ロッカデリックな実験は際立っていた。アメリカではテンプテーションズ、ファンカデリック、そしてザ・ポリティシャンズがいて、イギリスには(ともに卓越したエディ・グラント率いる)サパタ・シュミット(Zappatta Schmidt)と32ndターン・オフがいた。どのグループも全体的に一貫性のある音楽的な主張をするものはなかった。スライ&ザ・ファミリー・ストーンもまだ名作『There’s A Riot Goin’ On(邦題:暴動)』を発表する前だった。当時は誰もルールや正解を知らなかったからこそ、音楽が常にエクスペリメンタルな媒体だったのだ。

バーケイズの『Black Rock』は彼らのライバルたちほど褒め称えられたことはないが、彼らに負けないほど強く、パワフルで、音楽的な成功を遂げたと言える。さらに言えば、不幸な事故によってゼロから立て直さなければならないグループがこれを生み出したのだ。このアルバムは当時の時代性を見事に表現しており、バーケイズの意欲と様々なスタイルをこなすその凄さを見事に表している。そしてブラックであり、もちろんロックしている。

Written by Ian McCann



バーケイズ『Black Rock / Gotta Groove』

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