【動画&解説付き】史上最高のギター・リフ・ベスト40

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現代の名曲の中には「(I Can’t Get No) Satisfaction」や「Smoke On The Water」をはじめ、インパクトのある歌詞と並んで特徴的なギターのフレーズが強く印象に残る楽曲がある。特にギター・リフは、楽曲のイントロに使用され、繰り返されるメロディーの根幹を成すことも多い。それは数十年に亘って、ブルース、ロックンロール、さらにはパンクといったジャンルの中心であり続けてきた要素なのである。それゆえ、素晴らしいギター・リフの数々は音楽のあり方そのものを変容させてきた。

リフという概念を作り出したベニー・グッドマンが戦前に率いた6人編成のグループに在籍した、チャーリー・クリスチャンなどといった昔のジャズ・ギタリストたちは、そのあとに続く名手たちが活躍する道を開いた。チェット・アトキンス、T-ボーン・ウォーカー、ジミ・ヘンドリックス、ヴァン・ヘイレン、U2のジ・エッジ、ブラック・サバスのトニー・アイオミ、ラッシュのアレックス・ライフソンらは、すべてその系譜を継いでいるのだ。

これまで数百人もの卓越したギタリストたちが、”史上最高のギター・リフ”の称号に相応しい名演を生み出してきた。ここではその中から、チャック・ベリーやエリック・クラプトンらによる傑作を選び抜いた。それでは以下の通り、史上最高のギター・リフを紹介していこう。

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40位:クリスティン・ハーシュ「Your Dirty Answer」(2001年)

アメリカ人シンガー・ソングライターのクリスティン・ハーシュは、子どものころにクラシック・ギターを何年も習っていたという。そうして彼女が会得した複雑な指弾きの技術や、いびつで印象的なリフを弾く能力を堪能できる一曲が、彼女の5作目のソロ・アルバム『Sunny Border Blue』に収録された「Your Dirty Answer」である。

素朴でハスキーな歌声や、まるで鼓動のようなメインのギター・リフ、安定したベース・ラインといった要素がすべて揃った同曲は、彼女の代表曲と呼ぶに相応しい。

39位:グラント・グリーン「Idle Moments」(1963年)

ブルー・ノート・レコードのスターであるグラント・グリーンは、発想力豊かなアイデアを次々に生み出す名手だった。彼が「Idle Moments」 (作曲者であるデューク・ピアソンも巧みなピアノを披露) の冒頭で披露する美しく繊細なリフは、レコード史上屈指に静かなインストゥルメンタル・ナンバーといえる同曲の幕開けにぴったりである。

グリーンは15分に及ぶこの名曲 (ニュージャージー州エングルウッド・クリフスにある、有名なヴァン・ゲルダー・スタジオで録音) で、音階を下降するこのリフを何度か弾いているほか、優美なソロも披露している。テナー・サックス奏者のジョー・ヘンダーソンと、ヴィブラフォンの達人であるボビー・ハッチャーソンもそれぞれにソロを取っている。

ジャズ界では、ジャンゴ・ラインハルトやウェス・モンゴメリーといったアーティストも素晴らしいギター・リフを数多く残しているが、メロウで夢のようなグリーンのリフとこの曲には格別の魅力がある。

 

38位:ザ・クランプス「What’s Inside A Girl」(2006年)

アメリカのガレージ・ロック・バンド、クランプスの3rdアルバムである『A Date With Elvis』。同作に収録された皮肉交じりの「What’s Inside A Girl」はギタリストのポイズン・アイヴィーとシンガーのラックス・インテリアの共作曲で、サイコビリーのジャンルを象徴するような強烈なリフを含んでいた。

ポイズン・アイヴィー・ロールシャッハ (カリフォルニア州サンバーナーディーノ生まれ。本名はカースティ・マーレイナ・ウォレス) によれば、彼女の独特なプレイ・スタイルはリンク・レイやデュエイン・エディから多大な影響を受けたものなのだという。

「シンプルなところが大好きなんです。……リンク・レイの弾く飾り気のないコードや、デュエイン・エディの飾り気のない単音弾きがね」

 

37位:フリー「All Right Now」(1970年)

「All Right Now」は、1970年にイングランド出身のフリーが発表した世界的ヒット曲だ。その冒頭から鳴り響く刺激的なリフは、数えるほどの生徒しか集まらなかったダラム大学での悲惨なライヴのあとで考案された。ドラマーのサイモン・カークによると、彼らはその日「自分たちの足音だけが響く中でステージを下りた」ほどだったという。

そのため、ライヴを締めくくるアップテンポな楽曲が必要だとバンドで話し合っていると、ベーシストのアンディ・フレイザーが「It’s all right now (これでもう大丈夫)」と歌い出した。そのとき、イントロのコードのアイデアが湧き上がってきたのだ。フレイザーはこう回想する。

「あのリフは、俺がピート・タウンゼントの真似をしようとしたところから生まれたんだ。実のところ、俺はあのリフをピアノで考えて、それからポール・コゾフがそのコードをギターで弾けるようにした。彼はすごい離れ業をやってのけたと思う。その作業はいつも簡単なわけじゃないからね」

そのあとこの曲には、ポール・ロジャースの手で歌詞がつけられた。アイランド・レコードのトップであったクリス・ブラックウェルはそのデモを聴き、シングルとしてリリースすべきだと主張。こうして、2億回以上購入あるいはストリーミング再生される名曲が誕生したのである。

 

36位:ザ・フー「I Can’t Explain」(1964年)

「I Can’t Explain」は、アンフェタミンを過剰摂取したせいで好きな女の子への気持ちを説明できない少年が主人公のラヴ・ソングだ。これを作曲したとき、ピート・タウンゼントはまだ18歳だった。そんな同曲だが、イントロの印象的なリフを弾いたのが誰だったのかという点は議論の的になっている。

ジミー・ペイジは「全部ピートだよ……彼はものすごい轟音を鳴らしていた」とピート・タウンゼントが弾いたと証言している一方、グループのシンガーであるロジャー・ダルトリーは2018年に出版した自伝で、リード・ギターを弾いたのはペイジだったと綴っているのだ。

このたった2分のヒット曲がお気に入りだったというデヴィッド・ボウイは、この10年後に自身でも「Rebel Rebel」の見事なリフを作り出している。

 

35位:ジョン・リー・フッカー「Boogie Chillen’」(1948年)

ブルースの名手であるジョン・リー・フッカーは、1962年に発表した「Boom Boom」でも魅惑的なイントロ/フックを弾いている。だが彼はその13年前にも、ギターをアンプに繋ぐことで「Boogie Chillen’」の力強いリフを作り上げていた。本人はのちにこう語っている。

「あの曲はデトロイトで、なんとなく座ってギターを弾いていたときに思いついたんだ。俺が小さいころ、つまり何年も前に、継父のウィル・ムーアがあんなフレーズを弾いていたのさ。そのときにはすでにあのビートもあって、俺はそのビートをそのまま使うことにした。そうやって完成した曲を“Boogie Chillen’”と名付けたんだ」

この曲は、ラジオDJとしてキャリアを歩み出したころのB.B.キングにも大きな影響を与えた。

 

34位:ホール「Celebrity Skin」(1998年)

同名アルバムの一曲目に据えられた「Celebrity Skin」は、ギタリストのエリック・アーランドソンが弾く激しいリフで幕を開ける。同曲はロサンゼルスで1989年に結成されたホールにヒットをもたらし、1998年の米モダン・ロック・トラックス・チャートでは1位をマークした。

シンガーのコートニー・ラヴは、この曲をアーランドソンとスマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンと共作したと話しているが、ビリーはアルバム『Celebrity Skin』の二曲でベースを弾いてもいる。

さらにコートニーがVH1の番組”Behind The Music”で明かしたところによれば、「Celebrity Skin」のメイン・リフはビリー・コーガンが一人で考案したものなのだという。一方、迫力に満ちた同曲のギター・サウンドを作り上げたのは、プロデューサーのマイケル・バインホーンである。

 

33位:ジョーン・アーマトレイディング「Steppin’ Out」(1975年)

英国自治領だったセントクリストファー=ネイビス=アンギラから、3歳のときにイングランドへと移り住んだジョーン・アーマトレイディング。独学でギターを習得した彼女は、ピアノのパートから曲を作るかギターを使って作曲することが多く、ときにはリフから曲を考え始めることもあると語っている。

「Willow」をはじめ、彼女の弾くリフには繊細かつキャッチーなものが多く、その中でも出色の出来栄えなのが「Steppin’ Out」だ。1975年作『Back To The Night』に収録されたのち彼女のライヴの定番曲になった同曲で彼女は12弦ギターを弾いているが、この曲ではバーニー・ホランドや、のちのポリスでの活動で知られるアンディ・サマーズがリード・ギターを担当している。

 

32位:ボニー・レイット「Something To Talk About (愛のストーリー)」(1991年)

ブルースの巨匠であるB.B.キングはかつて、ボニー・レイットが「現役最高のスライド・ギタリスト」だと思うと語っていた。そんな彼女のヒット曲「Something To Talk About」は、上品でメロディアスなスライド・ギターのリフから始まる。

フックも魅力的でグラミー賞にも輝いた同曲は、カナダのシンガー・ソングライターであるシャーリー・アイカードが作曲したもの。レイットの1991年作『Luck Of The Draw』に収録されたことで、シンガーである彼女の代表曲の一つになった。彼女はこう語っている。

「私はきちんとギターの教育を受けたわけじゃないけど、リスクを冒すのは大好きなんです」

 

31位:スマッシング・パンプキンズ「Today」(1993年)

「偉大なフロントマンと同じで、ロックの優れたリフには催眠術のような魅力や特別感があるものだ」

スマッシング・パンプキンズのヴォーカリスト/リード・ギタリストであるビリー・コーガンはそう話している。そしてグループの1993年作『Siamese Dream』に収録された「Today」で彼が披露したリフは、その条件を満たすものだった。コーガンによれば冒頭のフレーズは突然のひらめきによって「一音一音あのままの形で頭に浮かんできた」のだといい、そのリフは同曲の雰囲気を一変させてしまったのだった。

「その瞬間、静かに始まって、そのあと轟音になる構成が決まったんだ。曲が進んで、静と動が切り替わるイメージも湧いてきた。メリハリをつけるためにあのリフをどこかで繰り返そうとも思ったし、どこに入れるべきかも頭の中で分かっていたんだ」

彼はギター・ワールド誌にそう話している。この曲ではジミー・チェンバレンがドラムを叩いている以外、ギターとベースはすべてコーガンが弾き、ダークで不穏なこの曲の歌詞も彼自らが歌っている。

 

30位:ジューダス・プリースト「Breaking The Law」(1980年)

ギタリストのグレン・ティプトンが「Breaking The Law」のアイデアを考えついたのは、彼がジューダス・プリーストの面々とバークシャーのティッテンハースト・パークに滞在してアルバム『British Steel』を制作していたときのこと。当時リンゴ・スターが所有していたこの田舎の邸宅はジョン・レノンが「Imagine」を録音した場所でもあり、英国出身のジューダス・プリーストのメンバーにとっては刺激的な環境だった。

ティプトンがシンガーのロブ・ハルフォード、ギタリストのK・K・ダウニングの二人と共作した「Breaking The Law」はグループ史上屈指の有名シングルであり、冒頭のギター・リフは同曲の大きな特徴となっている。その点についてはハルフォードも「結果としてメタル史に残る素晴らしいリフになった」と話す通りだ。このメイン・リフが再び演奏される中盤のパートでは、パトカーのサイレンが効果音として使用され、楽曲を劇的に演出している。

29位:ハウリン・ウルフ「Smokestack Lightnin’」(1956年)

チェスター・アーサー・バーネット (21代アメリカ大統領に因んで命名された) は、プロ・シンガーとしてのキャリアを歩み出すと同時にハウリン・ウルフと名乗りはじめた。そして彼が1956年、チェス・レコードからリリースするシングルとして取り上げたのが「Smokestack Lightnin’」 (オリジナル・プレスでは「Smoke Stack Lightning」という題であった) だった。

彼は1910年にミシシッピ州のホワイト・ステーションで生まれたが、この曲は少年時代の彼が同地で列車が通り過ぎるのを見ながら歌っていた曲だった。この曲の人気の大きな理由は唸り吠えるようなウルフのヴォーカルにあるが、ブルース史に残る素晴らしいリフも見過ごせない。

チョーキングを駆使したこの催眠的なリフは、ギタリストのヒューバート・サムリンが演奏したもの。本人はジャーナリストのテッド・ドロズドウスキーにこう話している。

「ウルフは俺の尻を叩いて、あのパートを思いつかせたんだ」

 

28位:シスター・ロゼッタ・サープ「Above My Head (I Hear Music In The Air) [頭上高く楽の音ひびく]」(1947年)

シスター・ロゼッタ・サープは文化を牽引する存在だったが、1947年にデッカ・レコードから発表されたヒット曲「Above My Head (I Hear Music In The Air)」には彼女の人気の理由がすべて詰まっている――それは見事なゴスペル調のヴォーカルと、熱のこもったギター・プレイである。

アーカンソー生まれのサープはしばしば”ロックンロールのゴッドマザー”と呼ばれる通り、先駆的なギター・テクニックと、情熱的なギター・フレーズを考え出す能力に秀でていた。エルヴィス・プレスリーもサープの歌唱の大ファンで、彼女のギターの演奏を特に賞賛していたという。

 

27位:セックス・ピストルズ「Pretty Vacant」(1977年)

ビルボード誌は「Pretty Vacant」について当時のレビューで「仰々しいギター・リフが歌詞を聴き取りづらくしている」と評した。それゆえ、怒りに満ちたこのパンク・ロック・アンセムの冒頭のリフが、スウェーデンのポップ・グループであるABBAの「SOS」からヒントを得たものだと知ったら同誌は驚いたことだろう。

「Pretty Vacant」はグループの慣習に倣ってバンド全体のクレジットになっているが、実際に作曲したのはベーシストのグレン・マトロック (『Never Mind The Bollocks, Here’s The Sex Pistols (勝手にしやがれ!!) 』のリリース直後にシド・ヴィシャスと交代) とシンガーのジョン・ライドンだ。マトロックはすべてのコード進行を考え終えたあと、楽曲の魅力をさらに高めるためのリフをなかなか思いつけずにいたという。

「メロディアスなフレーズが必要だと思っていた。そんなときにABBAっていうバンドのレコードに入っている曲を聴いて、求めていたリフが思い浮かんだ。それで、”みんな、思いついたぞ”って言ったんだ」

ジョーイ・ラモーンはのちに、このメイン・リフを「What A Wonderful World (この素晴らしき世界)」のカヴァー・ヴァージョンに流用している。

 

26位:ハート「Barracuda」(1977年)

ナンシー・ウィルソンはミュージック・エクスペリエンスの取材に対し、ハートの楽曲のリフで特に気に入っているものの一つとして1977年発表の「Barracuda」のそれを挙げている。その理由について彼女はこう話す。

「スケールの大きな感じがするし、ロック感が強いの。……当時のギターのトーンを再現するのが難しくて、いまも試行錯誤している。すごくアナログな音だからね」

「Barracuda」は、彼女が姉でヴォーカルのアン、ギタリストのロジャー・フィッシャー、ドラマーのマイケル・デロージャーの三人と共作した一曲。アルバム『Little Queen』からのリード・シングルとしてリリースされると、ビルボード・チャートの11位まで上昇した。

ナンシー・ウィルソンによれば、「Barracuda」のリフはナザレスというバンドから大きな影響を受けて考えられたのだという。ハートの面々は、欧州ツアーで同グループの前座を務めたことがあったのだ。

「ナザレスはジョニ・ミッチェルの“This Flight Tonight”をカヴァーしてヒットさせていた。そのヴァージョンに同じようなリフが使われていたの。だから私たちはそれをちょっと拝借して“Barracuda”を作った」

 

25位:ヴァン・ヘイレン「Ain’t Talkin’ ‘Bout Love (叶わぬ賭け)」(1978年)

エディ・ヴァン・ヘイレンが当初、バンドメイトたちに「Ain’t Talkin’ ‘Bout Love」を披露するのをためらっていたというのは信じられないような話だ。彼は1970年代後半のパンク・ロック・シーンを皮肉った同曲を、シンプルすぎると感じていたのだ。彼は当時をこう回想する。

「二つのコードしか使わないなんて、俺たちにとっては馬鹿げてる。結果的にはパンクのようなサウンドにならなかったけど、もともとはそういう狙いだったんだ」

そんな同曲だが、蓋を開けてみればヴァン・ヘイレンの代表曲の一つになった。そして、正しい弦を弾くよう常に気を配りながらピッキングをすることが求められるイントロのリフはのちに、無許可で盗用されたとしてヴァン・ヘイレンがラップ・グループのツー・ライヴ・クルーを訴える事態に発展した。

 

24位:ザ・スミス「This Charming Man」(1983年)

ギタリストのジョニー・マーが弾くリフの中でどれが一番かという点については、スミスのファンのあいだでも意見が分かれるところだろう。「How Soon Is Now?」や「What Difference Does It Make?」を選ぶ人も多いだろうが、ここでは「This Charming Man」に一票を投じたい。

現代のポップ界においても特に特徴的なイントロといえる同曲のリフは、ジョン・ピールがホストを務めるBBCのラジオ・セッションに出演した際、マーが考案したものだった。滑らかでクセになるその演奏は、モリッシーの陰気な歌詞や歌唱を完璧に引き立てている。

 

23位:ダイアー・ストレイツ「Money For Nothing」(1985年)

アルバム『Brothers In Arms』に収録されたダイアー・ストレイツの名曲は、ロック史上屈指の認知度を誇るリフで幕を開ける。このトラックの録音に臨む前、マーク・ノップラーは何らかのアイデアを得るためZZトップのギタリストであるビリー・ギボンズと話をしたという。

最終的に彼は普段使用しているギターを1958年製のギブソンのレス・ポールに持ち替えることで、指弾きを取り入れた歯切れの良いリフを見事に完成させた。なお、同曲に関してはビデオもMTVで大変な人気を博した。

 

22位:クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ「No One Knows」(2002年)

クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのギタリストであるジョシュ・ホーミは2001年、サイド・プロジェクトのデザート・セッションズの活動の中で「Cold Sore Superstars」という曲のリフを考えついた。そしてその一年後、彼はニック・オリヴェリ、マーク・ラネガンの二人と共作した「No One Knows」を録音する際、そのリフを流用したのだった。

彼らのアルバム『Songs For The Deaf』に収録された同シングルは、結果として商業面・批評面の両方で大きな成功を収めた。さらに「No One Knows」は、2003年のグラミー賞で最優秀ハード・ロック・パフォーマンス賞にもノミネート。

また、一度見たら忘れられない同曲のビデオも有名で、その内容は狩人の一団に車で轢かれた一匹の鹿が息を吹き返して復讐を果たすというシュールなストーリーである。

 

21位:マディ・ウォーターズ「Mannish Boy」(1955年)

マディ・ウォーターズはまったく独自のサウンドを作り出した。そして彼によるブルースの名曲「Mannish Boy」(1955年にテレキャスターを使用して録音されたもの) は、ザ・ローリング・ストーンズを含む次世代のミュージシャンたちに影響を与えた。

ボ・ディドリーの「I’m A Man」へのアンサー・ソングである「Mannish Boy」のギター・リフは、エレクトリック・ブルースの最高峰といえる刺激的な演奏である。発表以来、数え切れないほどのミュージシャンに演奏されてきたこのフレーズは、史上最高のギター・リフの一つとして後世に残ることだろう。

また、ウォーターズは映画『ラスト・ワルツ』に纏められた1976年のコンサートでも、ザ・バンドの面々とともに同曲の記憶に残るパフォーマンスを披露している。

 

20位:ザ・ビートルズ「Day Tripper」(1965年)

ジョン・レノンは「Day Tripper」の冒頭を飾る驚くべきギター・リフを作り上げたが、この曲は「凄まじいプレッシャーの中で書かれた」ものだった。というのも彼らは、1965年12月に「We Can Work It Out」との両A面シングルとしてリリースする新曲を用意する必要に駆られていたのだ。レノン曰く、同曲は彼が取り組んでいた「古いフォーク・ソング」の最終形なのだという。なお、冒頭で5回繰り返されるそのリフは、リンゴ・スターのタンバリンに合わせてジョージ・ハリスンが弾いている。

音楽学者のウォルター・エヴェレットは2001年の著書『The Beatles As Musicians』の中で、この有名なリフがブルース、モータウン、ロカビリーなど多くの音楽から影響を受けて作られたものだと指摘した。当のレノンは当時、「Day Tripper」について「真面目なメッセージの込められた曲じゃない……ただその言葉が気に入っただけだ」と話しているが、一方で共作者のポール・マッカートニーは後年、これが「LSDによる幻覚作用」について歌ったドラッグ・ソングだと認めている。

 

19位:デレク&ザ・ドミノス「Layla (いとしのレイラ)」(1970年)

「Layla」は70年代ロックの一つの到達点といえる楽曲だ。エリック・クラプトンはペルシャの詩人であるニザーミー・ギャンジャヴィーによる古典文学『ライラとマジュヌーン』を贈られたことで、同曲の最初のパートを考えついたという。

また、これが当時ジョージ・ハリスンの妻だったパティ・ボイド (そののちクラプトンと再婚) への愛を表現した曲だということも、現在ではよく知られている。だが、同曲に影響を与えたものはそれだけではない。同曲におけるデュエイン・オールマンのギター・ワークもその一つだ。

クラプトンの重層的なギター・プレイがオールマンのそれと互いに高め合うことで、あまりに特徴的な不朽のリフが誕生したのである。ご存知の通り、クラプトンはクリームの「Sunshine Of Your Love」のリフなども作り出し、当時は熱心なファンのあいだで「ゴッド (神) 」と呼ばれていた。

 

18位:クイーン「Killer Queen」(1974年)

クイーンの楽曲の多くは、ギタリストのブライアン・メイによる美しいコード進行や魅力的なソロに彩られている。また「Stone Cold Crazy」をはじめとして、優れたリフを含むヒット曲も数多く存在する。だがその中でも一番を選ぶなら「Killer Queen」のリフだろう。ブライアンはこう話す。

「あの曲を初めて聴いたとき、俺は病院にいて瀕死の状態だった。それでも、みんなは俺をハーモニーに加えてくれて、俺が曲を完成させるのを待っていてくれたんだ」

彼は同曲のソロで自身の代名詞でもあるレッド・スペシャルのギターを幾重にも重ね、音が滝のように連なる特徴的なサウンドを作り出した。

 

17位:エアロスミス「Walk This Way」(1975年)

「Walk This Way」でジョー・ペリーが弾いたリフは、ギターをマスターしたいと志す若いミュージシャンたちにいまでもよく真似されている。このリフはホノルルでのサウンドチェック中、「いつもの退屈なコード進行」よりもっと冒険的な何かを試そうと考えたペリーによって考案されたものである。

だがロック界を代表するこの素晴らしいギター・リフ (のちにRun-D.M.C.がサンプリングし、ロックとヒップホップの融合による名演が誕生した) が完成したあとも、同曲の作詞は難航することになった。

しかし、エアロスミスのメンバーたちがメル・ブルックス監督の映画『ヤング・フランケンシュタイン』を観たことで転機が訪れた。同作の中で、足の不自由な人物を演じるマーティ・フェルドマンがジーン・ワイルダーに”walk this way” (訳注:この道を歩け/こんな風に歩け、という二つの意味に取れる言葉遊び) と話すシーンがあったのだ。シンガーのスティーヴン・タイラーはこれにヒントを得て、ギター史にその名を刻む名曲の歌詞を書き始めたのだった。

 

16位:AC/DC「Back In Black」(1980年)

聴く者の心を動かす「Back In Black」は、1980年2月に33歳の若さでこの世を去った元ヴォーカリストのボン・スコットにAC/DCの面々が捧げた一曲だ。同曲におけるアンガス・ヤングのギター・リフは、Eマイナーのペンタトニック・スケールを用いた素晴らしい演奏である。

この猛烈なリフのおかげで同曲は現代文化に深く入り込み、『アイアンマン』、『ブラックホーク・ダウン』、『スクール・オブ・ロック』など数十作の大作映画に使用されるようになった。

 

15位:オジー・オズボーン「Crazy Train」(1980年)

「Crazy Train」は、ヘヴィ・メタル・シンガーであるオジー・オズボーンのソロ・デビュー作『Blizzard Of Oz (ブリザード・オブ・オズ〜血塗られた英雄伝説)』からの1stシングル。同曲について有名なのは、いまは亡きギタリストのランディ・ローズによる驚異的なリフとソロである。

彼はまだ25歳だった1982年に飛行機事故でこの世を去ったが、「Crazy Train」のイントロで彼が披露したF#マイナーのリフはヘヴィ・メタル・シーンを決定づける名演となった。エンジニアのマックス・ノーマンはこう話している。

「“Crazy Train”に注意深く耳を傾けると、中央のあたりにメインのギターが配され、まったく同じフレーズを弾いている二本のギターが左右に振られているのが分かる。でも普通に聴いているとそのことには気づかない。一本のギターのように聴こえるだけだ。ギター・ソロをオーヴァーダビングしてテープに落とし込むことにかけては、ランディの右に出る者はいなかった。彼にはいつも驚かされていたよ」

 

14位:メタリカ「Enter Sandman」(1991年)

「Enter Sandman」は、1,600万枚を売り上げたメタリカによる1991年のセルフ・タイトル作からのリード・シングルだ。同曲については、ウェイン・アイシャムが監督した有名なミュージック・ビデオも話題となった。

記憶に残るブルージーなメイン・リフは、ギタリストのカーク・ハメットが考案したものだ。本人曰くこの2小節のフレーズは、深夜に自宅でサウンドガーデンのアルバム『Louder Than Love』を聴いたことで思いついたのだという。のちにハメットはローリング・ストーン誌にこう話している。

「ヘヴィでスケールの大きいリフに対する彼らの考え方を参考にしようと思ったんだ。そうやって自分で考えたリフを録音したあとは、あれこれ手を加えることはなかった。でも (ドラマーの) ラーズ・ウルリッヒはこのリフを聴いて”すごく良いよ。でも最初のパートは4回繰り返す方がいい”と言った。その助言のおかげで、もっと耳に残るリフが完成したんだ」

 

13位:U2「With Or Without You」(1987年)

U2のギタリストであるジ・エッジは、自身のキャリアを代表するリフの一つとして「With Or Without You」の終盤に聴けるミニマルなフレーズを挙げる。その一つの理由は、シンプルさを意図的に狙った点にあるという。

「“With Or Without You”のラストはもっと壮大になり得たし、クライマックス感も強くなり得た。でもこれほど強力なパワーがこもっているのは、抑制を効かせたおかげだと思う」

そんな同曲は、グループのブレイク作となった『The Joshua Tree』からの1stシングルとしてリリース。このシングルは全米シングルチャートで1位に達し、その地位を18週に亘って保ち続けた。プロデューサーのダニエル・ラノワは、「手を加え過ぎていないこと」が同曲の大成功の要因になったと話す。そしてこの素晴らしいリフは、曲を纏め上げる際にジ・エッジが考え出した最初のアイデアだったのだという。

 

12位:トム・ペティ「Free Fallin’」(1989年)

トム・ペティがエレクトリック・ライト・オーケストラのジェフ・リンと共作した最初の楽曲である「Free Fallin’」は、偶然から生まれたものだった。ペティは小さな電子キーボードを何気なく弾いていた際に、とあるコード進行を見つけたのだ。シンガー・ソングライターである彼は、そのあとの出来事についてビルボード誌の取材でこう振り返っている。

「ジェフが”すごく良いリフだけど、一つのコードが余計だね”というようなことを言ったんだ。だからコード一つを削った上で――正直に言ってジェフを楽しませたかっただけなんだけど――最初のヴァースを歌ったんだ」

ソロ名義での1stアルバム『Full Moon Fever』に収録された同曲のリフを、ペティは12弦のアコースティック・ギターで弾いている。そしてシングル・カットされた「Free Fallin’」は、チャートで7位まで上昇した。「あれは、俺が作曲した中でおそらく一番有名な曲になったね」とペティは付け加えている。

 

11位:ラッシュ「Tom Sawyer」(1981年)

ラッシュのギタリストであるアレックス・ライフソンにとっての史上最高のリフは、ザ・ローリング・ストーンズの「(I Can’t Get No) Satisfaction」のそれだという。だがそう話す彼自身も、「YYZ」や「Tom Sawyer」などで卓越したリフを多数作り出してきた。

ラッシュはギターのライフソン、ベースのゲディ・リー、ドラマーのニール・パートという三人のカナダ人から成るグループだが、世界屈指の売り上げを誇る大物バンドになった。そんな彼らのアルバム『Moving Pictures』に収録された大ヒット曲「Tom Sawyer」は、現代における反逆者を主人公にした一曲。初期にはジミー・ペイジのプレイに影響されてブルース調のリフを弾いていたライフソンも、同曲ではPRSのシングルカット・ギターを使い、歪んだトーンの特徴的なギター・サウンドを作り出した。

なお、同曲の作詞には、マックス・ウェブスターというバンドに在籍していたパイ・デュボアも協力している。ライフソン本人はこう話している。

「あの曲は何度も演奏したけど難しいね。それは独特なアレンジと、冒頭の奇妙な音のせいだ」

 

10位:キンクス「You Really Got Me」(1964年)

ロンドン出身の若手ロック・バンドだったキンクスは、いくつかのシングルが失敗に終わったことで、ヒット曲を生み出さなければいけないプレッシャーに晒されていた。だが彼らは、1964年8月に発表した「You Really Got Me」でその重圧を見事にはねのけてみせた。

レイ・デイヴィスは、自宅でピアノをなんとなく触っているときに同曲のアレンジを思いついたという。そして、特徴的なリフを考案したギタリストのデイヴ・デイヴィスは、アンプのスピーカーの振動板を破ることで歪んだギター・サウンドを得たのだった。

 

9位:ZZトップ「La Grange」(1973年)

1973年作『Tres Hombres』に収録された「La Grange」について、ZZトップの創設者/ギタリストであるビリー・ギボンズは「ZZを世界に広めるにはこれ以上ない楽曲」と表現した。

ブギーとブルース両方の魅力を備えたアップテンポな同曲でギボンズは、”パーリー・ゲイツ”の通称で知られる1959年製のギブソン・レス・ポールを使用して、象徴的なリフを弾いている。ジャム・セッションから発展したという「La Grange」の中心にあるのは、ブギー特有のバックビートだ。

他方、シンガーも務めるギボンズがドラマーのフランク・ビアード、ベーシストのダスティ・ヒルと共作した歌詞は、1905年から1973年までテキサス州ラ・グランジェの外れに存在したチキン・ランチという売春宿 (1982年にはドリー・パートン主演の映画『テキサス1の赤いバラ』の題材にもなった) から着想を得たものである。

 

8位:ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス「Purple Haze (紫のけむり)」(1967年)

ジミ・ヘンドリックスは「Voodoo Child (Slight Return)」や「Little Wing」をはじめ、素晴らしいリフをいくつも生み出した。だがその中でももっとも有名なのは1967年のヒット曲「Purple Haze」のそれだろう。

シアトルで過ごした少年時代、ヘンドリックスはマディ・ウォーターズやハウリン・ウルフといったブルース界のスターたちの作品を聴いて独学でギターの腕を磨いた。その後、彼はブルースとR&Bを融合させたスピード感のある演奏で、唯一無二のスタイルを完成させた。

「Purple Haze」は本人曰く、SF小説を読んだあとに見た夢からヒントを得て作ったという一曲。マイナー・ペンタトニック・スケールを用いた同曲のリフには彼の演奏技術や発想力が詰まっており、ライヴではこのリフが即興でアレンジされることも多かった。

 

7位:レッド・ツェッペリン「Whole Lotta Love (胸いっぱいの愛を)」(1969年)

レッド・ツェッペリンのもっとも偉大なギター・リフには「Stairway To Heaven (天国への階段)」を挙げる人もいるだろうが、これまでの歴史を見ても「Whole Lotta Love」が多く選ばれてきたようだ。

ジミー・ペイジは1968年の夏、イングランドのテムズ川にハウスボートを浮かべてギターをかき鳴らしているときに、同曲のリフを考えついた。そしてその演奏は、チェス・レコードに所属したレジェンド、ウィリー・ディクスンの作品から一部影響を受けているのだという。

シングルとして発表されたこの曲はアメリカで大ヒットを記録し、そのリフは2014年にBBCラジオ2のリスナー投票で”史上最高のリフ”に選出された。ジミー・ペイジはこう語る。

「人を感動させられるリフを作りたいと思っていた。人の心に響いて、人を笑顔にさせられるようなものをね。だけどバンドで演奏してみたら、そこに手が付けられないほどの熱がこもったんだ。このリフやそのフレーズには明確な意図があったから、そうなったのは恐ろしくもあり、心地良くもあったよ」

同業のミュージシャンたちの中にも、これを史上最高のギター・リフの一つに挙げる者は少なくない。デイヴ・グロールとプリンスもかつてこの曲でジャム・セッションをしたといい、デイヴは「誇張なんかじゃなく、俺の人生で最高の経験だった」と振り返っている。

 

6位:リンク・レイ「Rumble」(1958年)

リンク・レイ&ザ・レイメンによる1958年のヒット曲「Rumble」についてボブ・ディランは、「史上最高のインストゥルメンタル・ナンバー」と評している。

29歳のときに「Rumble」を録音したフレッド・リンカーン・”リンク”・レイ・ジュニアは、興味深い経歴を持つ人物だ。母がネイティヴ・アメリカンだったことから、彼の家族はクー・クラックス・クラン (KKK) の迫害を受けていたのだ。そしてレイは、朝鮮戦争から帰還したのちこの楽曲を制作。同曲により、ギター史におけるレイの影響力は揺るぎないものとなった。

実際、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジも、「Rumble」の演奏からは「深遠な態度」が感じられると話している。ペンタトニック・スケールを下降するフレーズが印象的な同曲は、最初のコードからリスナーの心を掴んで放さない。

他方、インストゥルメンタルには珍しいことだが、”路上での乱闘”を意味する曲名が災いして、同曲はアメリカ全土のラジオで放送禁止処分を受けた。それでも「Rumble」は大衆から広く支持を得て、400万枚を売り上げたのだった。

 

5位:ガンズ・アンド・ローゼズ「Sweet Child O’ Mine」(1988年)

ロンドン生まれのスラッシュは、ガンズ・アンド・ローゼズが1988年に発表した「Sweet Child O’ Mine」で素晴らしいソロと、彼のキャリアを代表する偉大なギターのイントロを弾いた。

ある日のリハーサル中にスラッシュが何気なくリフを弾いていると、シンガーのアクセル・ローズが「ちょっと待て!いまのは最高じゃないか!」と叫んだのだという。そうして、ヒット曲が誕生したのだ。当のスラッシュは自伝の中でこう説明している。

「そのあと1時間も経たないうちに、単なるギター練習のフレーズだったものが別のものに進化していったんだ」

 

4位:ディープ・パープル「Smoke On The Water」(1972年)

ディープ・パープルのギタリストであるリッチー・ブラックモアは、「Smoke On The Water」を正しく弾くのであればピックは使わず指弾きしなければならないと主張する。ギター界でも指折りの認知度を誇る同曲のリフは、グループがアルバム『Machine Head』の制作中、スイスでジャム・セッションをしていた際に生まれたという。

ドラマーのイアン・ペイスとともにこれを考案したブラックモアはのちに、ペイスと二人で「分かりやすい」フレーズを作ろうとしていたと振り返っている。そしてこうも話している。

「俺たちがモントルーの大きなダンスホールにいると、演奏を止めさせるために警察がやってきた。音が大きすぎて苦情が出ていたんだ。でも俺たちはそのテイクの録音を済ませるため、扉の鍵を開けなかった。だからレコーディング・セッションの最後の3分間で録った最終テイクのあいだ、警官たちは扉を叩き続けていたよ。モントルーの警察の思い通りになっていたら、“Smoke On The Water”はテープに収められていなかったはずだ」

 

3位:ザ・ローリング・ストーンズ「 (I Can’t Get No) Satisfaction」(1965年)

1965年6月12日、ザ・ローリング・ストーンズにとって初の全米1位シングルとなった不朽の名曲がチャート入りを果たした。この曲のリフについては、キース・リチャーズが就寝する直前にホテルの部屋で考えついたというエピソードがよく知られている。

ブライアン・ジョーンズのハーモニカを含む同曲の最初のヴァージョンは、彼らの”心の故郷”といえるシカゴのチェス・スタジオで録音されている。だがその二日後にハリウッドのRCAスタジオで再びレコーディングが行われ、ここで私たちのよく知るヴァージョンが生まれたのだ。まさしく、ロック史に新たな1ページが刻まれた瞬間である。

リチャーズは自伝『Life』の中で「俺はリフ・マスターだ」と綴っているが、実際、ストーンズには”史上最高のリフ”の候補になり得る名演が有り余るほど存在する。もちろん「Satisfaction」の魅力は誰もが認めるところだが、リチャーズ自身は「Jumpin’ Jack Flash」の幕を開けるアコースティック・ギターのリフの方が優れていると考えている。リチャーズはこう話す。

「“Jumpin’ Jack Flash”みたいなリフを思いつくと高揚感が湧いてくる。最高の喜びがね。“Flash”は、“Satisfaction”を逆回しにしたような感じだ。ほとんどのリフがそんな風に密接に関係している。でも”どれか一つのリフしか弾けなくなるとしたらどれを選ぶか”と聞かれれば、俺は”よし、それなら“Flash”を選ばせてくれ”と言うね」

 

2位:チャック・ベリー「Johnny B. Goode」(1958年)

“ベルを鳴らすように”ギターを弾きこなす田舎の少年のことを歌ったチャック・ベリーの人気ナンバーでは、一音目から猛烈な演奏が繰り広げられる。それゆえ、同曲がSpotifyで1億回近く再生されていることも何ら不思議ではない。

だが手柄は然るべき人物に対して認められるべきであろう。というのもベリーは、ルイス・ジョーダンが1946年に発表した楽曲「Ain’t That Just Like A Woman (They’ll Do It Every Time)」でカール・ホーガンが弾いた冒頭のギター・リフを模倣したことを認めているのだ。

しかし、ジョーダンやT-ボーン・ウォーカーの転がるようなリズムをロックンロールの基礎となるリズムへと進化させたのは、ほかならぬシンガー/ソングライター/パフォーマーとしてのベリーの独創性だった。

 

1位:ニルヴァーナ「Smells Like Teen Spirit」(1991年)

録音から30年以上が経ったいまも、ニルヴァーナの代表曲である「Smells Like Teen Spirit」は荒々しく刺激的に響く。

カート・コバーンは、”究極のポップ・ソング”を作ろうとしている中でこの曲のギター・リフを思いついたのだという。そして彼のもう一つの狙いは、ピクシーズのようなスタイルの楽曲を書くことにあった。本人は1994年、ローリング・ストーン誌にこう話している。

「俺はほとんどピクシーズをパクろうとしていた。それは認めざるを得ないね」

4つのコードから成るこのリフのパターンは特に珍しいものではないが、同曲における静と動のコントラストや感情溢れるコバーンのパフォーマンスが、90年代を代表するこのギター・リフを強力なものにしているのである。

 

その他の優秀作品

アイズレー・ブラザーズ「Who’s That Lady?」
ホワイト・ストライプス「Seven Nation Army」
クラッシュ「Should I Stay or Should I Go?」
ザ・ラーズ「There She Goes」
ザ・バーズ「Mr. Tambourine Man」
アース・ウィンド・アンド・ファイアー「September」
レーナード・スキナード「Sweet Home Alabama」
アイザック・ヘイズ「Shaft (黒いジャガーのテーマ) 」
イーグルス「Hotel California」
パンテラ「Walk」

Written By Martin Chilton



 

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