モハメド・アリがヘビー級王者となった一夜を描く映画『あの夜、マイアミで』サントラ発売決定

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バリー・ジェンキンス監督の映画『ビール・ストリートの恋人たち』にてアカデミー助演女優賞を獲得した女優のレジーナ・キング(Regina King)。そんな彼女が初めて監督をつとめる映画『あの夜、マイアミで』(原題:One Night In Miami…)のオリジナル・サウンドトラックのデジタル・アルバムが、2021年1月15日にABKCO Recordsからリリースされることが発表となった。

同映画は全米で12月25日に劇場公開され、2021年1月15日にはAmazonプライム・ビデオで配信がスタートする予定だ(日本でも同日配信が決定)。

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レジーナ・キングとケンプ・パワーズ製作総指揮のもと、2013年にローレンス・オリヴィエ賞(Laurence Olivier Awards)にノミネートされた舞台劇を基に、ケンプ・パワーズが脚本を書き、スヌート・エンタテインメントのジェス・ウー・カルダーとキース・カルダー、ABKCOフィルムズのジョディー・クレインがプロデューサーを務めている。

『あの夜、マイアミで』は若き日のカシアス・クレイ(後にモハメド・アリに改名する)がマイアミビーチ・コンベンションセンターで開催されたボクシングの試合で、世界ヘビー級王座を獲得した1964年2月25日の夜の出来事を描いている。あらゆる予想を覆して、彼がソニー・リストンを倒したことは、スポーツ界に衝撃を与えた。その勝利を祝うためにマイアミビーチに群衆が押し寄せる中、ジム・クロウ法(人種隔離政策)によりビーチから追い出されてしまったカシアス・クレイは、マイアミに古くからある黒人居住地区の一つに佇むハンプトン・ハウス・モーテルで一夜を過ごすことになる。

そこで彼は、活動家のマルコムX、歌手のサム・クック、アメリカンフットボールのスター選手ジム・ブラウンという3人の親しい友人たちと勝利を分かち合う。翌朝、4人の男たちは、自分たちや自分たちの仲間のために新しい世界を築いていこうと決意をあらたにする。出演キャストは、マルコムX役にキングズリー・ベン=アディル、カシアス・クレイ役にイーライ・ゴリー、ジム・ブラウン役にオルディス・ホッジ、サム・クック役にレスリー・オドム・Jr.。

レスリー・オドム・Jr.は、この映画の中でサム・クックの最も有名なレパートリーを披露。 サウンドトラックには、「You Send Me」「Good Times」「A Change Is Gonna Come」といったサム・クックの名曲が収録され、サム・クックの長年のファンを公言するレスリー・オドム・Jr.が共同作曲してパワフルに歌い上げるオリジナル曲「Speak Now」も収められている。その中で名曲「Chain Gang」のレスリー・オドム・Jr.によるカバーが先行公開となっている。

レスリー・オドム・Jr.はこの映画の出演についてこうコメントを寄せた。

「サム・クックを演じることは重責でした。挑戦であり、名誉でもありました。彼の才能と、彼が成し遂げた功績に敬意と尊敬と畏敬の念を抱いています」

レスリー・オドム・Jr.はブロードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』のアーロン・バー役の演技で一躍脚光を浴び、トニー賞の“ミュージカル主演男優賞”に加え、グラミー賞も受賞している。つい先日は、初めてオリジナル・ソングのみを収録した3作目のアルバム『Mr』に続く通算4作目にして、自身2作目のホリデイ・アルバムとなる『The Christmas』をリリースした。また過去には、Apple TV+のアニメ・シリーズ『セントラル・パーク』でオーウェン・ティラマンの声を演じ、エミー賞にノミネートされている。

この映画のオリジナル・サウンドトラックには、過去にアカデミー賞にノミネートされ、6度のグラミー賞を受賞しているトランペット奏者で作曲家のテレンス・ブランチャードによるオリジナル・スコアも収録。テレンス・ブランチャードが近年手掛けた作品には、『ザ・ファイブ・ブラッズ』、『ブラック・クランズマン』、『ハリエット』などの映画やHBOのドラマ・シリーズ『ペリー・メイスン』などがある。

これまでのキャリアを通じて、一貫して良心的な芸術作品に執着してきたという彼は、「ある年齢になると、“誰が立ち上がって私たちのために声を上げてくれるのか”と考えるようになり、そうして周囲を見渡してみると、ジェイムズ・ボールドウィンやモハメド・アリス、キング牧師はもうこの世にはいないことに気づき…そして、それは自分の責任だと理解し始めるんです。全てを正そうとしていると言いたいのではなく、真実を語ろうとしているだけです」とコメント。また、『あの夜、マイアミで』の録音について次のように語っている。

「私は当初、この映画の時代背景を表現するために、もっと大きなアンサンブルでスコアを演奏しようと考えていたのですが、レジーナはピアノのみで演奏するという素晴らしいアイデアを持っていて、私自身が一周してそのアイデアに戻ってくるまでに時間は要しましたが、今ではピアノそのものがこの映画の歴史的なナレーションをつくり出していると思ってます。ジャズ・ピアノによるスコアである点も考慮して、偉大なるジャズ・ピアニストであるベニー・グリーンには、メロディックなテーマ曲を即興も交えながら演奏してもらいました。マルコムXと祈りを捧げるシーンやいくつかの重要シーンでは、ドゥドゥク(中東の管楽器)も取り入れています」

同映画には、過去にグラミー賞やエミー賞、トニー賞に2度ノミネートされているジェレミー・ポープもR&B界の大御所ジャッキー・ウィルソン役で出演しており、サウンドトラックでは彼が歌う「Lonely Teardrops」を聴くことができる。

同サウンドトラックは、その他にも“SAR Records”から、サム・クックが弟L.C.クックのために書き下ろし、ヴォーカルでも参加する1964年の録音「Put Me Down Easy」やビリー・プレストンの焼け付くようなオルガン楽曲「Greazee」を収録。サム・クックが設立し、ザ・ヴァレンティノス、ソウル・スターラーズ、ジョニー・テイラーらを輩出した“SAR Records”は、サム・クックの仕事の集大成であり、そのあらすじは映画『あの夜、マイアミで』の中でも触れられている。

Written By Tim Peacock



映画『あの夜、マイアミで』サントラ
『One Night In Miami… (Original Motion Picture Soundtrack)』

2021年1月15日発売
iTunes / Apple Music / Amazon Music

<トラックリスト>
1. “Rumble, Young Man, Rumble!” – Terence Blanchard
2. “Sam Cooke Comes to Stage / Copacabana Introduction” – One Night in Miami Band
3. “Tammy” – Leslie Odom Jr.
4. “Howl For Me Daddy” – Terence Blanchard, Keb’ Mo’ and Tarriona ‘Tank’ Ball
5. “Do Us All Proud” – Terence Blanchard
6 “I Believe To My Soul” – One Night in Miami Band
7. “Salah Time” – Terence Blanchard
8. “I’m King Of The World!” – Terence Blanchard
9. “Put Me Down Easy” – Hampton House – Leslie Odom Jr.
10. “Put Me Down Easy” – L.C. Cooke
11. “Greazee” – Billy Preston
12. “Ain’t Yo Stuff Safe Here” – Terence Blanchard
13. “Malcolm Looks Out The Window” – Terence Blanchard
14. “You Send Me” – Leslie Odom Jr.
15. “(I Love You) For Sentimental Reasons” – Leslie Odom Jr.
16. “Brother, What Is Going On?” – Terence Blanchard
17. “I Wanna Damn Party” – Terence Blanchard
18. “Lonely Teardrops” – Jeremy Pope
19. “Chain Gang” – Leslie Odom Jr.
20. “Good Times” – Leslie Odom Jr.
21. “A Change Is Gonna Come” – Leslie Odom Jr.
22. “Speak Now” – Leslie Odom Jr.




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