コニー・フランシスのベスト・ソング10:今再注目される先駆的な女性アーティストの名曲

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Photo: Archive Photos/Getty Images

先駆的な女性アーティストのひとりとして知られるコニー・フランシス(Connie Francis)は、今もなお音楽界の第一線で活躍を続けている。1937年、ニュージャージー州ニューアークでコンチェッタ・ローズ・マリア・フランコネロとして生まれた彼女は、幼い頃から歌の才能を発揮し、1950年代初頭にはすでに地元のタレントショーで注目を集めていた。

1955年にMGMレコードと契約を結んだ彼女は、1960年の「Everybody’s Somebody’s Fool」で女性ソロアーティストとして史上初の全米シングル・チャート(Billboard Hot 100)1位を獲得。以降、全世界でおよそ2億枚のセールスを誇る輝かしいキャリアを築き上げていった。オーケストラを伴った壮大バラードからロックンロール、ジャズに至るまで、あらゆるジャンルを巧みに歌いこなす多才で器用なパフォーマーである彼女の代表曲から成るこのセレクションは、彼女の作品の持つ永続的な魅力を映し出している。

2025年には「Pretty Little Baby(可愛いベイビー)」がTikTokをきっかけに全世界でリバイバルヒットの兆しを見せている。そんな彼女のベスト・ソング10曲を順不同でご紹介。

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1. Pretty Little Baby

「Pretty Little Baby」は、1962年のアルバム『Connie Francis Sings Second Hand Love』からのハイライト曲の一つだ。遊び心に溢れた陽気で魅力的なこのラブソングは、コニー・フランシスのベスト・ソングの中でもファンの間では不動の人気を誇っている。

それだけに、シングルとしてリリースされなかったのはやや不思議ではあるが、近年ではTikTokでバイラル・ヒットとなり、クリエイターたちがこの曲の歌詞を口ずさみながら、個性的でスタイリッシュな衣装を披露している。

 

2. Who’s Sorry Now?

18歳になる前にMGMレコードと契約を結んだコニー・フランシスだったが、当初はなかなかヒットに恵まれず、1957年にマーヴィン・レインウォーターとのデュエット「The Majesty Of Love」でマイナー・ヒットを記録したのみに留まっていた。

そんな中、音楽以外の道も考え始めていた彼女に転機が訪れる。1923年にテッド・スナイダーが作曲した「Who’s Sorry Now?」をスローテンポのブルース調でカヴァーしたこの楽曲が、彼女にとって初のヒットとなった。

リリース直後はさほど注目されなかったが、1958年1月にディック・クラークが司会を務めるテレビ番組『American Bandstand』で初披露したことがきっかけとなり、全米シングル・チャート(Billboard Hot 100)で最高4位を記録。以降22週にわたってチャートインを果たし、コニー・フランシスを一躍メインストリームのスターへと押し上げた。

 

3. Stupid Cupid

「Who’s Sorry Now?」で大ブレイクした後、コニー・フランシスが全米チャートの常連アーティストとなったのは、ハワード・グリーンフィールドとニール・セダカが共作した1958年の「Stupid Cupid」で再びトップ20に返り咲いてからのことだった。

当初ニール・セダカは、この曲とコニーの歌声との相性を疑問視していたというが、コニー本人はデモを聴いた瞬間にヒットを確信しており、その直感は見事に的中した。彼女のエネルギッシュな歌声が映えるこのバディ・ホリー風のポップソングは、北米でトップ20入りを果たし、イギリスでは6週連続で1位を記録する大ヒットとなった。

 

4. My Happiness

1933年に生まれたこの曲は、戦後すぐにポップ・ミュージックのスタンダードとなり、1948年にはジョン&ソンドラ・スティール、パイド・パイパーズ、エラ・フィッツジェラルドのアカペラ・ヴァージョンといった複数のアーティストによるカヴァーが全米チャートでトップ10入りを果たした。

ジョン&ソンドラ・スティールのヴァージョンがお気に入りだったというコニー・フランシスは、デヴィッド・ローズが指揮を務めるフル・オーケストラの伴奏で自身のヴァージョンを録音。彼女の洗練された「My Happiness」は、1959年初頭にプラターズの「Smoke Gets In Your Eyes」に阻まれながらも、全米チャートで最高2位を記録している。

 

5. Lipstick On Your Collar

コニー・フランシスはバラード曲やラブソングで注目されがちだが、彼女の作品には優れたロックンロールの楽曲も少なくない。その代表例が1959年の「Lipstick On Your Collar」だ。伝説のジャズ・ギタリスト、ジョージ・バーンズによる刺激的なソロ演奏をフィーチャーしたこの明るく軽快な楽曲は、彼女にとって初のアップテンポな全米トップ10ヒットとなった。

当初はニール・セダカとハワード・グリーンフィールドの「Frankie」のB面に収録される予定だったが、両方の楽曲を気に入ったMGMの意向により、ダブルA面としてリリースされ、結果的に北米で100万枚以上を売り上げた。

 

6. Mama

ニュージャージー州のイタリア系とユダヤ系が混在する地域で生まれ育ったコニー・フランシスは、幼い頃からイタリア語とイディッシュ語が堪能だった。その言語的才能により、彼女は、1960年代以降、ドイツ語やアイルランド語など、さまざまな言語でアルバムを録音し、成功を収めていく。

その始まりとなったのが1959年の『Connie Francis Sings Italian Favourites』で、本作に収録された英語とイタリア語の壮大なバラード曲「Mama」は、全米チャートで8位を記録し、アルバム自体は全米チャートに累計81週チャートインした。

 

7. Everybody’s Somebody’s Fool

その語学力を活かし、彼女がドイツ語でレコーディングしたポルカ調の「Die Liebt ist ein seltsames Spiel」(「Everybody’s Somebody’s Fool」)は、1960年に西ドイツのシングル・チャートで首位を獲得した。しかしながら、原曲の英語ヴァージョンは、間違いなく彼女のキャリアにおいて最も重要な作品の一つといえるだろう。

海辺を思わせる印象的なオルガンのイントロに始まり、ブルース調のメロディから耳に残るコーラスへと展開していく、この秀逸な楽曲は、彼女にとって初の全米No.1ヒットとなっただけでなく、女性アーティストとして史上初の全米シングル・チャート1位を獲得した記念すべき作品でもある。

 

8. My Heart Has A Mind Of Its Own

「Everybody’s Somebody’s Fool」を手掛けたハワード・グリーンフィールドとジャック・ケラーによるこの曲もまた大ヒットを記録した。

レコーディングはハリウッドのラジオ・レコーダーズ・スタジオで3回にわたって行われ、曲の完成までには多少難航したが、最終的にはその努力が報われ、印象的なギター・リフと、コニー・フランシスのカリスマ性溢れるヴォーカルが引き立てるこのカントリー調の失恋ソング「My Heart Has A Mind Of Its Own」は、1960年の秋、彼女にとって2曲目となる全米No.1ヒットを記録しました。

 

9. Where The Boys Are

歌手としての活動に加え、コニー・フランシスは60年代初頭から半ばにかけて4本の長編映画に出演している。1960年公開の映画『ボーイハント』 (原題:Where The Boys Are)では、フロリダ州フォート・ローダデールで春休みを過ごす女子学生4人組のひとり、アンジー役を演じた。

映画はローレル賞の“最優秀コメディ賞”を受賞するなど高く評価され、コニー・フランシスが歌う主題歌も注目を集めました。彼女の情熱的なヴォーカルが切ない情感を際立たせるこの名バラードは、全米チャートの頂点には届かなかったものの(最高位は第4位)、瞬く間に多くのファンの心をとらえ、今なお彼女の代表曲のひとつとして親しまれている。

 

10. Don’t Break The Heart That Loves You

ベニー・デイヴィスとマレー・メンチャー(多くの場合テッド・マレー名義でクレジット)は、「Follow The Boys」や、美しいカントリー・バラード「The Biggest Sin Of All」といった、コニー・フランシスの代表曲にふさわしい楽曲を数多く手掛けてきた。

中でも最も重要なのは、間違いなく「Don’t Break The Heart That Loves You」だろう。コニー・フランシスが語りを交えながら二部構成のハーモニーで歌い上げるスローテンポの魅惑的なブルース調のこのバラード曲は、1962年春、通算3曲目にしてキャリア最後の全米No.1ヒットを彼女にもたらした。

Written By Tim Peacock


コニー・フランシス『Pretty Little Baby (International Versions)』
2025年5月16日配信
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