プロデューサー、ジャイルズ・マーティンが語る”ホワイト・アルバム”50周年記念盤

Published on

Photo: Alex Lake

ジャイルズ・マーティンがザ・ビートルズのカタログ作品をミックスし、現存するメンバー、ポール・マッカートニーやリンゴ・スターと一緒に仕事をすることの大きな喜びについてuDiscoverに明かしてくれた。ザ・ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンの息子、ジェイルズは、11月9日に発売される1968年の”ホワイト・アルバム”として広く知られる『The Beatles』50周年記念盤について語っている。

この50周年記念盤のリリースは、17ヶ月前に同様の形態で再発されたザ・ビートルズの『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』に続くものである。このアニバーサリー期間が一通り終わるまでは、ザ・ビートルズのリミックス・プロジェクトは続いていくことを示唆しながら、「この記念盤は前回より少しだけ計画的だったのですが、毎回僕はその作品にかかるであろう労力を少なめに見積もってしまうんです」と彼は語っている。

『The Beatles』のスーパー・デラックス・エディションは6枚組CDとBlu-ray-audio、そしてハードカヴァーの本で構成されており、オリジナルのアナログ・マルチ・テープから新たに作り直された2018年ステレオ・ミックス30曲に加え、アルバム制作を前にジョージ・ハリスンの自宅にメンバー4人が集まって録音されたアコースティック・セッション、通称“イーシャー・デモ”や数々の初期のセッション音源など、全107曲を収録している。

「このアルバムに関しては特に、30曲も収録した長い作品だったこと忘れていて、それ以外のセッション音源やイーシャー・デモを全部含めると、なんと150曲もミックスしいていたことに気付いたんです」と彼は語る。

 

その制作過程に説明が及ぶと、ジャイルズ・マーティンは彼の同僚の名前を出して説明をする

「マイク・ヒートリーとケヴィン・ハウレットが全曲を聴いて、メモをとってくれるんです。でも、僕も同じことをする。僕は彼らよりずっと意地悪だから、彼らのメモは僕のより膨大なんです」。

「でも、そこには物語がなければならない。それこそミックス・プロジェクトの醍醐味であり、一つは、単純に良い音を作り出し、聴く者に何かを感じてもらうこと、もう一つは、金庫室に保管されているテープを聴き、楽しむことができるという、今僕が身を置く、とても恵まれた世界への窓口となってもらいたいということです」。

「僕は、皆さんにこの制作過程に関わることの喜びを感じてもらいたい、そしてパフォーマンスの中に存在する欠陥という美が”ホワイト・アルバム”という傑作として身を結ぶんです」。

CDのDisc 4からDisc 6にかけては、アルバム収録曲の初期のアウトテイクやアルバムには収録されていない「Lady Madonna」や「Across The Universe」といった未発表音源、そしてカジュアルなジャム音源まで、全50曲ものセッション音源が収録されている。

「これらのアウトテイクはテープの音源ほぼそのままなんです。僕が取り除いたのは、違和感を感じた雑音やテープ・ノイズくらいで、基本的には音源をそのままの状態で残したんです」。

「これらのセッション音源は、全て僕1人で担当して、かなり短い期間で作業を終えました。それをアヴィ・ロード・スタジオのエンジニアであるアレックス・ウォートンに送ったら、彼は”すごくいいね!一体何をしたんだ”って訊いてきたんですけど、”ほとんど何もしていないよ。左右バランスを整えて、少しEQをかけて、少しだけ圧縮もしたかもしれない。でもほぼ何もしなくていいくらい、よくできた音源だったんだ”って答えました」

「以前にイーサン・ジョンズ(プロデューサー/アーティスト)が僕に、彼の父グリンから”この仕事が怖くなったらやめた方がいい”とアドバイスされたと言っていたのを思い出したんです。物事を深掘りするのは簡単なことなんですが、重要なのはそういうことではなく、レコードがあって、そのレコードを細心の注意を払ってミックスすること。そういう意味では、イーシャー・デモは適切にミックスされたと言えます。アウトテイクはアウトテイクのままであるべきで、リスナーには僕がそれをテープ再生機で聞いた時の感覚を感じてもらいたいです」

ジャイルズ・マーティンは、ポール・マッカートニーとリンゴ・スターのアルバムの再発に関しての考えをこう説明している。

「”‘ホワイト・アルバム’は特に、とても今っぽいサウンドだよね”、とポールがアビー・ロードにこのアルバムを聴きに来た時に、僕にこう言ったんです。僕たちが一緒に座って、数曲聴いてた時に、”今っぽいアルバムに聴こえるのが面白いね”と語っていました」

「リンゴに会いにLAにも行きました。僕たちは一緒にアルバムを聴いて、彼はメモをとっていました。彼らは僕のボスなので、まずは彼らのお墨付きを貰わなければならない。このレコードは彼らの作品であり、僕はそれをいじっているだけなんです」

Written by Paul Sexton


1968年11月、ザ・ビートルズ通算9作目であり、初のダブル・アルバムとして発売された『The Beatles』。自身のレーベル、アップル・レコードからの第1弾でもあるこの作品はのちに“ホワイト・アルバム”と呼ばれることになり、リリースから50年にわたり、その収録された多彩で野心的な音楽で新しい聞き手を魅了し続けてきた。

2017年に発売され世界中で大きな話題となり、成功をおさめた『Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band』に続き、今回『The Beatles (White Album)』の50周年記念エディションが複数フォーマットでリリースされる。

新ステレオ・ミックスと5.1 サラウンド・ミックスはプロデューサーのジャイルズ・マーティンと
ミックス・エンジニアのサム・オケルが担当。

iTunesでの予約も開始となり、予約するとその場で「Back In The U.S.S.R.」の3つのバージョンがその場でダウンロードできる。


フィジカル全4形態詳細

①スーパー・デラックス・エディション
<6CD + 1ブルーレイ(音源のみ)収録豪華本付ボックス・セット>

購入はこちら

②3CDデラックス・エディション
購入はこちら

③4LPデラックス・エディション
購入はこちら

④2LPエディション
購入はこちら


Share this story

Don't Miss

{"vars":{"account":"UA-90870517-1"},"triggers":{"trackPageview":{"on":"visible","request":"pageview"}}}
モバイルバージョンを終了