モーツァルト研究&演奏の第一人者、ロバート・レヴィンがモーツァルト愛用のフォルテピアノで初録音したピアノ・ソナタ全集BOXをリリース

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モーツァルト研究家のアメリカ人ピアニスト、ロバート・レヴィンが、モーツァルト自身のフォルテピアノで初めて完全録音した『モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集』がECMから9月16日に世界リリースされることが決定した。

この作品は7枚組CD限定ボックスで、オーストリアの作曲家モーツァルトによる未完成の断片も収録されているが、ここではレヴィン自身がモーツァルトのイディオムと当時の作曲形式を考慮して完成させたものである。レヴィンのピアノ・ソナタの解釈は、ウィーン楽派の演奏慣習に基づき、即興的な要素や繰り返しの装飾が取り入れられている。

「古典的なピリオド音楽の解釈に際しての重要な問題のひとつは、繰り返しの本当の意味とは何かということである。もちろん、狭義には『前に弾いたものに戻って弾く』ということです。しかし、18世紀の演奏は、リピートの装飾が重要な要素であったことが分かっています。モーツァルトのソナタを見ると、この問題が彼の発想の中心になっていることがわかるのです」とレヴィンは説明する。

C.P.E.バッハは1759年に出版した『さまざまな繰り返しのあるソナタ』の序文で、繰り返しの練習曲について、「繰り返しの装飾は現代では不可欠」「すべての実行者に期待される」と述べているのだ。C.P.E.バッハはモーツァルトに大きな影響を与えたが、レヴィンはその記述をモーツァルトのソナタに応用し、繰り返しを自由に扱い、旋律、伴奏、そして必要に応じて和声の細部が変更され、短いインターポレーション(音楽のフレーズの間に追加される素材)さえも使用している。

また、モーツァルトが完成させることのなかったソナタの楽章を完成させるなど、歴史的なアプローチでソナタを演奏している。レヴィンは、モーツァルトの語法や当時の音楽用語に対する深い知識と理解をもって、この断片の作曲に取り組んでいる。ソナタ ハ長調 K 42 (35a) について、レヴィンは次のように述べている。「この陽気な3拍子の断片は、25小節で途切れてしまい、主旋律と副旋律が残されたままになっている。この曲は、コーダへと続くシークエンスの始まりの部分で切れていることは明らかであろう。私の完成は、この楽章の高揚感と率直な性格を維持しようとするものです」。

本作品はザルツブルクのモーツァルテウム、グローサー・ザールにて録音された。
使用されたフォルテピアノは、幅が約100cmと限られており、また細部にもこだわりがあるため、木質感が際立ち、モーツァルトのソナタの特徴を透明感のある音で表現することができるという。1782年にアントン・ガブリエル・ヴァルターによって製作されたものと思われ、モーツァルトの専門家でありモーツァルテウム館長のウルリヒ・ライジンガーは、ライナーノーツで「倍音に富んだ銀色の音と、現代のコンサートグランドピアノの音に比べて驚くほどはっきりした低音が特筆される」と説明している。モーツァルトは1785年以降、このフォルテピアノを使用していた。本作品はザルツブルクのモーツァルテウム、グローサー・ザールにて録音された。

この作品に付属する100ページにも及ぶブックレット(ドイツ語・英語)には、ウルリヒ・ライジンガーによるソナタと楽器に関するエッセイ、レヴィンによる演奏者ノート、原稿スコア、モーツァルトの自筆譜などが掲載されるということだ。


■リリース情報

ロバート・レヴィン『モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集』
2022年9月16日発売
CD / iTunes / Apple Music  / Spotify / YouTube Music


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