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Classical Features

ときめく365日のためのクラシックレシピ:花×クラシック【連載第1回】

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21世紀。「名盤」を聴くのも楽しいけれど、それぞれが思い思いに自分の「スタイル」で、日常のちょっとしたエッセンス――でも、それを聴くだけで目の前の世界をまるっきり新しくしてくれる魔法のように、音楽を楽しみたい。

では、自分らしいスタイルって、何?

この連載では、そんなスタイルの作り方(レシピ)を、季節ごとのプレイリストや、音楽のエピソードとともにご紹介。ご一緒に、ときめきに満ちた365日を過ごしましょう。

コラムニスト高野麻衣さんによる寄稿、その連載第1回です。


恋人は6月に咲いた 赤い赤いバラのよう

恋人は調べも美しい 甘い甘い音楽のよう

ロバート・バーンズ

ときめいている人って素敵ですよね。まず顔が違うし、雰囲気も違う。

片付けの本でもおなじみですが、ときめきって恋だけじゃない。美しいものを美しいと感じ、幸福を感じられること。小さな憧れや、もっと知りたいと思う気持ちだと思うのです。

幼い頃から、私はときめく才能には自信がある方でした。小1のときモーツァルトに恋をして、いまや音楽について書く仕事をしているほどです。でも、仕事は楽しいことだけじゃない。締切はすぐやってくるし、レッテルに悩んだり、やきもちを焼いたりと葛藤もある。そんなときにふと音楽――とくに10代の頃繰り返し聴いていたCDなどを聴くと、ときめきを思い出します。夕暮れの空、ベランダの風。ささやかな日常に幸福を感じ、力が湧いてくるのです。

疲れた一日の終わり、部屋に飾った花のおかげで笑顔になれた、という経験はないでしょうか。詩人バーンズが歌ったように、花と音楽は美しい、人生の潤いの代表格。生きるための必需品ではないかもしれないけれど、もしこの世にそれらがなかったら、途端に干からびた、荒みきった世界になってしまうでしょう。花と音楽は、食事とまったく同等で欠かせない「生活」の一部なのです。

最近では、花のサブスクが人気だそう。花屋に行かなくても自宅に花が届き、安らぎの空間を作れるサブスクリプション。花屋の店先で品定めする楽しみは捨てがたいけれど、忙しいけど花を切らしたくない人、お店ではたくさんありすぎて迷ってしまうという人には、なるほど便利だろうなと思います。

だったら、音楽もブーケのようにセレクトし、定期的にお届けするコラムを作ってみたいな、というわけではじまるのがこの連載。長く愛せるクラシック界隈の良質なサウンド――王道からポスト・クラシック、映画音楽などを、日常の気になるエレメンツをテーマにわかりやすくご紹介します。

美しい春から初夏を彩る第1回のテーマは「花と音楽」。


今月のプレイリストのヒントは「花の力」。一つ一つの花には、種類ごとの力があるってご存知でしょうか。

たとえばアマリリスは、自分の行くべき道がわからなくなったときに部屋に飾る。すると日々の暮らしのなかで、自然とヒントが見つかるはずです。カトレアは素直さを与えてくれるし、カラーは物事を水に流す。だから、順調に物事が進んでいるときカラーに手を出してはいけません。反対に、なにかを断捨離したいときにはうってつけと、その凛とした花を飾ってみます。仕事や恋愛、ストレスなど、日ごろの悩みや願いに応じて花や音楽をコーディネイトするのも楽しいものです。

旬の花はいつだって最強パワーを持っていますが、わかりやすいのが、女性の力を最大限に引き出すとされるバラ。4月の終わりから6月にかけて見頃を迎える花の女王には、古今東西たくさんの曲が捧げられています。

バラは、調香師が用いる香りの音階「香階」でも、はじまりの「ド」の音を象徴する花。まずはそんなバラの音楽から、花の力を感じてみましょう。

1.ドリーブ:歌劇《ラクメ》第1幕 ジャスミンとバラの二重唱

個人的に、最も“効力”がありそうだと信じているのが、ドリーブの歌劇に登場する〈ジャスミンとバラの二重唱〉。英国人将校に恋したインドの姫君が、忠実な侍女とともに歌う名高い花のデュエットです。2つのソプラノの声が絡みあう音楽は、まさに香水のレイヤリング(重ねづけ)。

Leo Delibes Lakme Flower Duet – Dueto de las Flores Francais, English and Español subtitles

2チャイコフスキー:バレエ組曲《くるみ割り人形》 花のワルツ

二重唱がレイヤリングだとしたら、有名な〈花のワルツ〉は色とりどりに咲き乱れる大きなブーケ。バレエの舞台で味わうのも最高ですが、映画『ファンタジア』など映像作品でもクリエイターを刺激し続ける一曲です。

3フォーレ:イスファハンのバラ

香水の国、そして愛の国でもあるフランスには、ルネサンスの昔からかぐわしい花の歌が豊富です。19世紀末、フォーレが39歳で作曲したこの曲は、フランスのエスプリと遠い異国への憧れが凝縮した一曲。「イスファハンのバラもモスルのジャスミンもオレンジの花さえも、君みたいに素敵な香りはしない」と歌う、せつない失恋ソングです。

 4シューマン:《ミルテの花》より

可憐な野茨を歌ったシューベルトの〈野ばら〉やモーツァルトの〈すみれ〉といった、ドイツの素朴な歌曲たちも忘れられません。シューマンが妻に捧げた歌曲集のタイトルに添えられたのは、夏に咲く小さな白い花、ミルテ。「不滅の愛」などの花言葉を持ち、結婚式のブーケなどでもおなじみです。結婚式前日に「愛する花嫁へ」と書いてプレゼントしたシューマンの詩人ぶりが際立つ一曲。

5クララ・シューマン:すみれ

《ミルテの花》を捧げられた妻クララはピアニストとして有名ですが、作曲活動もしています。ゲーテの詩を基にしたこの曲は、美しい羊飼いの娘に踏みつぶされる哀れなスミレの歌。清く正しく美しい曲調の陰に、アーティスト夫妻の未来を予感してしまうのは私だけ?

6ジョンソン:あなたは見たのか、輝く百合を

詩人バーンズの母国でもある英国には、ガーデニング大国らしい自然主義的な歌曲がたくさんあります。私のお気に入りは、英国のロック・レジェンド、スティングが歌うユリの歌。アルバムのトレイラーでは、彼の別荘の庭も楽しめます。

Sting – Songs from the Labyrinth (Trailer)

7ヴォーン・ウィリアムズ:静かな午後

ラファエル前派の画家ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの詩による歌曲集「命の館」からの1曲。恋人との穏やかな幸福を歌う男が「僕たちの巣」と描写する草原では、プリムラやサンザシ、キンポウゲなどが花ざかりです。

8ヴェルディ:歌劇《椿姫》第1幕 花から花へ

オペラの世界にもまた、たくさんの花が登場。タイトルに花の名を冠した《椿姫》は、その代表格ではないでしょうか。椿の花言葉は「美徳」。花の形のまま落ちて散る椿は、ヒロインの人生そのものです。「道を踏みはずした女(La Traviata)」と題された高級娼婦の悲恋を、原作小説にある「椿」と「姫」の組み合わせで昇華させた日本人翻訳者の感性に、喝采を送りたくなります。

9チャイコフスキー:バレエ組曲《眠りの森の美女》 ローズ・アダージョ

再び登場するチャイコフスキー。第1幕に登場する〈ローズ・アダージョ〉は、オーロラ姫と彼女に求婚する4人の王子たちの曲。その名の通り、王子たちはそれぞれ姫にバラの花を渡します。「あなたを愛する」という意味を持つ赤いバラは、古来プロポーズの定番なのです。

 10ショーソン:リラの花咲くころ

バラ同様にヨーロッパの春を象徴するライラック(リラ)ですが、この藤色の花には、日本の桜のような儚さも込められているよう。海での恋とその喪失を描く《愛と海の詩》の中でも単独で愛されるこの歌曲は、シャンソンとしても有名。「リラやバラ、そしてナデシコの花咲く季節は、僕らの愛とともに過ぎ去ってしまったのだ」と歌う、フランス映画の幕切れのような曲です。

11リヒター:25%のヴィヴァルディ Recomposed By マックス・リヒターより

花に満たされた春は、悲しみや憂鬱もともなうもの。そんな「春の二面性」を見事に表現しているのが、マックス・リヒターがヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲《四季》をリメイクしたこの曲。鳥のさえずりのなかで味わう壮絶な自由と孤独に、不思議な癒しを感じるはずです。

Spring 1 – Recomposed: Vivaldi's Four Seasons (2012)

12オハロラン:Opus 36

2006年公開の映画『マリー・アントワネット』のサウンドトラックとして使用された、作曲家ダスティン・オハロランのピアノ曲。青春の終わりを彩った切なく美しい旋律で、花に満ちた一日の余韻を味わって。

Written by 高野麻衣

Profile/文筆家。上智大学文学部史学科卒業。音楽雑誌編集を経て、2009年より現職。
クラシック音楽とマンガ・アニメを中心に、カルチャーと歴史、人物について執筆・講演。書籍やメディア作品の原作・企画構成・監修を多数手がける。

著書に『フランス的クラシック生活』(ルネ・マルタンと共著/PHP新書)、『マンガと音楽の甘い関係』(太田出版)、コンピレーション企画に『クラシックの森』(ユニバーサル ミュージック)など。

HP /Twitter /Instagram





 

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