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ベスト・イースター・クラシック:重要な作品トップ20

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宗教的な祭典である「イースター」は、死と生、終わりと始まり、悲しみと喜びという相反するものが重なりあう。復活祭の物語は、クラシック音楽の名曲の中で不朽の名作として語り継がれ、作曲家たちに数え切れないほどのインスピレーションを与えてきた。

ここでは、イースターにぴったりのクラシック音楽のベスト20をご紹介する。これらの作品では、十字架に磔となったイエスの教会的な重々しさ、復活の感動、そして春の歓喜が表現されている。

ベスト・イースター・クラシック:重要な作品トップ20

20:タリス:預言者エレミアの哀歌

1565年に作曲されたタリスの《哀歌》は、『エレミヤ書』の一節を題材にしたもので、イースターに最適なクラシック音楽の一つである《聖木曜日のための哀歌》の最初の曲である。タリスは低く暗い豊かな音色の男声を選び、それを5声のポリフォニーで巧みにバランスをとっている。結果としてこの執拗で複雑な対位法となり、この《哀歌》は深い感情を持ち、非常に魅力的なものとなっているのだ。

Tallis: Lamentations of Jeremiah I

19:ベルリオーズ:荘厳ミサ曲~レスルレクシト(主はよみがえり)

ベルリオーズの《荘厳ミサ曲》には復活の物語がある。1824年、当時20歳だったベルリオーズは《荘厳ミサ曲》の大部分を破棄したと言われている。「レスルレクシト(主はよみがえり)」の楽章は、金管楽器のファンファーレと壮大な合唱が、イエスの復活の幸福感へと浸らせる。ベートーヴェン以降のロマン派の音楽の様式が全面にあらわれた、幻想的で劇的な楽章である。

Berlioz: Messe solennelle, H 20 – Resurrexit (Original Version)

18:モンテヴェルディ:聖母マリアのための夕べの祈り(晩課)

1610年に出版されたモンテヴェルディの《聖母マリアのための夕べの祈り(晩課)》は、マリアの祝祭日に演奏されることを目的として書かれたものである。当時、モンテヴェルディの声楽曲のスタイルは先駆的なものであった。

この《夕べの祈り》に見られるように、音符の並べ方で歌詞の内容を描写したり、技巧的な独奏曲、舞踏的な形式の使用などは、モンテヴェルディが声楽曲に革命をもたらした方法のほんの一部に過ぎない。このようなスタイルの革新は、やがてオペラの発明につながっていくのである。

確かに、この《夕べの祈り》にはオペラ的な要素が含まれており、フーガのような生き生きとしたパッセージが対照的だ。モンテヴェルディが17世紀の最も重要な作曲家と称される理由は、この壮大な《夕べの祈り》のような作品からも明らかである。

Monteverdi: Vespro della Beata Vergine, SV 206 – IX. Audi coelum a 8 (Live)

17:ブルックナー:ミサ曲 第1番 ニ短調

生涯、熱心なカトリック信者であったブルックナーの作品には、聖なるものが多く含まれている。1864年に作曲された最初のミサ曲は、繊細で瞑想的な傑作である。この作品でブルックナーは、実験的な作曲傾向を捨て、和声の面ではより保守的で直線的な書法を採用している。

交響曲に見られるようなロマン派的な激しい革新性と、ポリフォニックな技法とのバランスが絶妙で、ミサ曲を実に高揚感のあるものにしている。最後の「アニュス・デイ(神の子羊)」の部分では、ブルックナーのロマンティックな迫力が感じられ、この曲を魅力的に締めくくっている。

Bruckner: Mass No. 1 in D Minor, WAB 26 – Agnus Dei

16:ストラヴィンスキー:ミサ曲

ストラヴィンスキーの《ミサ曲》は、さすがにブルックナーのようなオーソドックスなものではない。実際、カトリックの典礼のために音楽を書くことは、ストラヴィンスキー自身のロシア正教の信仰とは矛盾していたのである。

聖歌隊、オーボエ、コール・アングレ、ファゴット、トランペット、トロンボーンという珍しい組み合わせのために作曲されたこの曲は、ストラヴィンスキーの基準では控えめで、ほとんど装飾が施されていない。

しかし、この和声言語の定義は、今日に至るまで理論家や分析家を悩ませている。このミサ曲は、ストラヴィンスキー独特の方法で、不思議な催眠術のような音の世界を表現しており、イースターなどの宗教的な祭りの意義を表現している。

Stravinsky: Mass – Sanctus

15:ハイドン:十字架上のイエスの最後の7つの言葉

ハイドンの《最後の7つの言葉》は、聖金曜日の十字架刑を記念して書かれたもので、キリストの人生の最後の瞬間を9つの楽章(〈序章〉と、磔刑に処されたキリストの7つの言葉に相応する7曲のソナタ、イエスの死の際に起こった地震を描いた〈地震〉)で表現した瞑想曲である。

もともとは合唱とオーケストラのために作曲されたが、後に弦楽四重奏に編曲され、イースターに最適なクラシック音楽の一つとなっている。キリストが十字架の上で最後の瞬間を迎え、自らを犠牲にすることで全人類を救うことを知ったときの重厚さと厳粛さが、この上なく優美で穏やかな音楽に表れている。

Haydn: The Seven Last Words Of Our Saviour On The Cross, Op. 51, Hob. III:50-56 – Including…

14:ペルト:デ・プロファンディス(深き淵より)

詩編第130番を音楽化した《デ・プロファンディス(深き淵より)》は、興味深く魅惑的な作品で、イースターのような重要な行事にぴったりの曲である。ペルトは男声の低音域を深く掘り下げ、重厚で豊かな音色のオルガンのオスティナート、そしてきわめて優美な響きを奏でる打楽器チューブラーベルとの響きとのコントラストを表現している。

この曲は、内省的な瞬間を与えてくれる。穏やかなメロディが余韻を残しながら高まり、限界まで達した後、声は至福の声のハーモニーへと戻っていくのだ。

Pärt: De Profundis

13:ペルゴレージ:スターバト・マーテル

《スターバト・マーテル》は、キリストが磔にされた際の聖母マリアの苦しみを伝える厳粛な賛美歌である。1736年、ペルゴレージの死の直前に書かれた。「Quando Corpus Morietur(肉体が滅びるときには)」のような悲しみの場面と、「Cujus Animam Gementem(嘆き、悲しみ、欺くその魂を)」のような明るい場面が対照的で、キリスト教の復活祭の中心にある二面性を反映している。

ラテン語の典礼を用いたこの曲は、レパートリーの中でも最も優しく、感動的なデュエット曲であり、イースターに最適なクラシック音楽の一つと言えるだろう。

Pergolesi: Stabat Mater – 12. Quando corpus – Amen

12:タヴナー:アズ・ワン・フー・ハズ・スレプト(眠っていた者のように)

現代的なイースターのための聖歌《アズ・ワン・フー・ハズ・スレプト(眠っていた者のように)》(1996年)は、聖バジルの典礼を音楽化したもので、復活祭当日の「イースター・サンデー」に演奏するために特別に書かれた。天使のような浮遊感のある声に、タヴナーは低音部にドローンを用いて、まるで聴き手をトランス状態や瞑想状態にするかのように、終始その状態を維持する。

胸を締め付けられるようなハーモニーが優しく響き、そして解決することで、タヴナーは幽玄で時間を超越した雰囲気を醸し出していく。「眠っていた者のように、主はよみがえり、よみがえって私たちを救ってくださいました」という歌詞に向けて。

As one who has slept

11:パーセル:ディドとエネアス~私が大地に横たわるとき

「ディドの嘆き」として知られている、パーセルが17世紀末に作曲したオペラの中の1曲〈私が大地に横たわるとき〉は、世俗的な作品であり、今日では追悼の意味を持つことが多い。しかし、その純粋な感情と、死を予感させる言葉の痛々しさは、宗教的な意味に解釈することも可能である。このシンプルで美しいアリアは、ソプラノの高度な声のコントロールと繊細な感性が要求され、同時に聴き手の感情を大きく揺さぶる。

Purcell: Dido and Aeneas / Act 3 – "Thy Hand Belinda – When I Am Laid In Earth"

10:メシアン:オ・サクルム・コンヴィヴィウム(おお、聖なる饗宴よ)

1937年に作曲されたこのモテット(ミサ曲以外の宗教曲)は、イエスを偲んでパンとワインを飲む聖餐式を称えるラテン語の散文(中世ヨーロッパの神学者で哲学者、トマス・アクィナスによって書かれた)を用いている。宗教的な教えでは、この伝統は、最後の晩餐である「聖木曜日」の前夜に始まったとされている。

メシアンによるこの音楽の捧げものは、完全に旋律主体で、息をのむように音型が上昇・下降する。溶けあう声のハーモニーは豊かな和声の響きの余韻を残し、メシアン独特の音楽的なレトリックを楽しめる。和音の解決が著しく欠如しているため、無重力のような、ほとんどスピリチュアルな感覚で聴くことができる作品だ。

Messiaen: O sacrum convivium!

9:モーツァルト:ミサ曲 ハ短調 K.427

未完成の状態であっても、歴史上この曲は「大ミサ曲」と正しく呼ばれている。クラシック音楽の巨人である彼が、4人のソリスト、二重合唱、そして巨大なオーケストラで、通常のミサ曲を壮大に演出している。

この作品は、バッハやヘンデルの影響を受けた「Cum Sancto Spiritu(精霊とともに)」のように伝統的なものと、聖なるミサというよりはモーツァルトのオペラを彷彿とさせるような声楽の技巧を駆使した革新的なものの両方を兼ね備えている。この曲の構成力の高さを最もよく表しているのは、演奏力が全面的に発揮される「Sanctus(聖なるかな)」であろう。

Mozart: Mass in C Minor, K. 427 "Grosse Messe" (Version by Franz Beyer) – Sanctus: Sanctus/Osanna

8:リムスキー=コルサコフ:ロシアの復活祭

ロシア正教の聖歌をもとにしたリムスキー=コルサコフの演奏会用序曲《ロシアの復活祭》は、純粋なオーケストラのための器楽曲で、復活祭に最適なクラシック音楽の一つである。

この曲には素晴らしい標題性があり、作曲者の天才的なオーケストレーションの使用により、イースターの物語の根底にあるものが明らかになっている。冒頭の瞑想的な部分は、聖なる日曜日に向けての受難の日の厳粛さを強調し、そこからイースターの朝の奔放な喜びへと移行していく。

Rimsky-Korsakov: Russian Easter Festival, Overture, Op. 36

7:バッハ:復活祭オラトリオ

バッハは、大規模で神聖な教会音楽を多く書いたことで知られている。《復活祭オラトリオ》は、復活祭の日曜日の礼拝のために書かれたオラトリオ(聖譚曲)で、イエスの空の墓が発見されたときの物語が、喜びに満ちた軽快な冒頭の合唱「Kommt, Eilet Und Laufet(来い、急げ、走れ、逃げまどう者たちよ)」から、「Seele, Deine Spezereien(魂よ、お前の香料は)」の悲痛な嘆きに至るまで描かれている。

テキストは非典礼的なもので、ヨハネ、ペテロ、マグダラのマリアにヤコブの母マリアが登場する、書き下ろしの詩で構成されている。

J.S. Bach: "Kommt, eilet und laufet" Cantata, BWV 249 – "Oster-Oratorium" – Version: Paul…

6:ヴォーン・ウィリアムズ:5つの神秘的な歌

1911年に発表されたヴォーン・ウィリアムの《5つの神秘の歌》の第1曲は〈イースター〉と題されている。ジョージ・ハーバートの詩を、バリトンのソロと合唱、オーケストラのために作曲したもので、限りなく楽しい曲である。

胸躍るような弦楽器の伴奏が興奮と歓喜の雰囲気を醸し出し、その上で豊かなバリトン・ソロが歌われていく。〈イースター〉はもちろん、他の4つの「神秘的な歌」は、ヴォーン・ウィリアムズの作品の中で最も優れたものに挙げられる。

Five Mystical Songs: 1. Easter (1989 – Remaster)

5:ビクトリア:聖週間のレスポンソリウム

トマス・ルイス・デ・ビクトリアの《聖週間のレスポンソリウム》は、1585年にカトリックの聖木曜日、聖金曜日、聖土曜日の礼拝で演奏されるために作曲されたもので、比較的知られていないルネサンス期の音楽の中でも最も素晴らしい例の一つに挙げられる。

カトリックの典礼に由来するテキストを持つ18のモテットで構成されており、ビクトリアは4声のアカペラのみでこの作品を書いている。18曲目のレスポンソリウム「Sepulto Domino(主は葬られ)」は、感傷的な掛留音と至福の和声進行が特徴で、旋律線は典型的でシンプルな書法である。

Victoria: Tenebrae Responsories – Sepulto Domino

4:バッハ:ヨハネ受難曲

バッハの2つの巨大な受難曲のうちの一つである《ヨハネ受難曲》は、福音書を音楽で表現した壮大な作品である。1724年の聖金曜日の礼拝で初演されて以来、典礼の中心的な役割を果たしており、イースターに最適なクラシック音楽の一つとなっている。

ソリスト、コーラス、オーケストラのために作曲された《ヨハネ受難曲》は、全体的に激しく、劇的で、印象的な作品である。おそらく最もワクワクする瞬間は語り手であるエヴァンゲリストに訪れる。バッハは彼のために神々しさを感じさせる驚異的なレチタティーヴォ(朗唱)のパッセージを書いている。

J.S. Bach: St. John Passion, BWV 245 / Part One – No.1 Chorus: "Herr, unser Herrscher"

3:バッハ:マタイ受難曲

《マタイ受難曲》は、《ヨハネ受難曲》よりもさらにスケールの大きい、聖なる傑作である。コーラスとオーケストラ、そしてエヴァンゲリストの語りによって演奏される《マタイ受難曲》は、教会音楽作曲家としてのバッハの頂点を成すものであり、イースターに最適なクラシック音楽の一つである。もし皆さんに体力があれば、3時間に及ぶ《マタイ受難曲》は、特にイースターの時期に集中して聴く価値のあるものである。

J.S. Bach: Matthäus-Passion, BWV 244 / Zweiter Teil – No. 39 "Erbarme dich"

2:マーラー:交響曲 第2番《復活》

「復活」と呼ばれるマーラーの交響曲第2番は、復活祭を彷彿とさせる「再生」と「死後の世界」をテーマにした作曲者自身の瞑想曲である。声楽と管弦楽のジャンルをかつてない規模で融合させたこの交響曲は、超大編成のオーケストラ、聖歌隊、オルガン、教会の鐘で構成されている。

テキストはマーラーが自ら執筆。特に第5楽章は、「絶望の叫び」と呼ばれるパッセージで始まり、「生きるためには死なねばならない/そうだ、甦るためには」という言葉で終わる、爆発的で痛烈な内容となっている。

《復活》交響曲の最後の瞬間は、きっと5分間であなたの靴下を吹き飛ばし、あなたの顔を殴り、そしてあなたの心を打ち砕くことだろう。

Mahler: Symphony No.2 in C minor – "Resurrection" – 5e. "O glaube, mein Herz, o glaube"

1:ヘンデル:メサイア

ヘンデルの《メサイア》は、合唱界の主力レパートリーであり、イースターに最適なクラシック音楽の一つであり、歴史的に見ても不朽の合唱作品の一つである。このオラトリオはイースターの代名詞であり、『欽定訳聖書』(1611年にイギリス国王ジェームズ1世の命によって訳された聖書)の聖句にヘンデルの劇的で情感豊かな音楽がつけられている。

もちろん、有名な「ハレルヤ」のコーラスで最もよく知られているが、《メサイア》の他の部分も同様に美しく、「Ev’ry Valley Shall Be Exalted(すべての谷は高められ)」などの絶妙なアリアが特徴となっている。一言で言えば、象徴的だ。

Handel: Messiah, HWV 56 / Pt. 2 – XLII. "Hallelujah"

おすすめの録音
1988年にトレヴァー・ピノックがイングリッシュ・コンサート合唱団と共演したヘンデルの《メサイア》は、ピリオド楽器の音色とバロック時代の特徴である生き生きとした装飾のある歌唱を楽しめる、最も優れたヴァージョンの一つである。

ソプラノのアーリーン・オジェー、コントラルトのアンネ・ソフィー・フォン・オッター、カウンターテナーのマイケル・チャンス、テノールのハワード・クルック、バスのジョン・トムリンソンが参加している。

『BBCミュージック・マガジン』は、トレヴァー・ピノックによるヘンデルの《メサイア》の録音について、「この作品の壮大なスケールと”本物 “の練習を調和させた、CDの中で最も新鮮で最もエキサイティングなメサイアの一つである。そして素晴らしいソリストたちだ」と評した。

Written By uDiscover Team




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