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ジャスティン・ビーバー、コーチェラWeek2レポ: 新しいファンを確実に増やした別格な存在

ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)が米最大の音楽フェスティバルの一つ、コーチェラ2026の二日目ヘッドライナーとして出演した。
コーチェラ・フェスは2週続けて金・土・日に行われるが、その1週目の出演後にジャスティンは、Spotifyにて最も再生されるアーティストへと上昇し、Apple MusicとSpotifyの両Globalチャートで「Beauty and A Beat」が1位を獲得し、他の楽曲もTOP10の中に5曲もランクインされるなどそのパフォーマンスは世界中で大きな話題となった。
1週目に続いて、2週目もライター/翻訳家の池城美菜子さんによるレポートを掲載します。
また、このライブのセットリストはプレイリストとして公開されている(Apple Music / Spotify / YouTube)。
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「ジャスティン・ビーバーは、アーバンです!」
2012年11月、秋。『Believe Tour』のマディソン・スクエア・ガーデン公演に招待されたものの、当時はほぼブラック・ミュージック(=アーバン・ミュージック)専門だったため、「私はアーバン系なので、あまり役に立てないかもしれません」とメールを返したとき、担当者さんが秒でこう返してきて、大笑いした。そうか、あのアワード・ショーでドラムを叩きながら歌う少年は、アーバン系なのか。
この時期、ジャスティンがフランク・オーシャンの「Thinkin’ Bout You」をカヴァーしたヴィデオが話題になっていた。ミックステープ時代からフランク・オーシャンを応援していた筆者は意外に思いつつも、このヴィデオで一気にブラック・ミュージック好きの枠を越えてオーシャンの名前が広がったのを目の当たりにし、10代のアイドル寄りのシンガーだと思っていたジャスティンは少しちがう面があるのかも、と思い始めた。
Week 2はウィニング・ラン
あれから、14年。マディソン・スクエア・ガーデンで翼をつけて登場し、ダンサーを従えて歌っていたジャスティンは、マイクとラップトップだけでコーチェラのメイン・ステージできっかり90分沸かすアーティストに成長した。思い切りミニマムなステージで世界を驚かせた1週間後、4月18日のパフォーマンスは、いわばウィニング・ランだ。マキシマリズム(過剰主義)を突き詰めたサブリナ・カーペンターと比べる声はあったものの(まったく方向性がちがうのに)、視聴者数やSNSの反応、そして音楽のストリーミング・サービスでの再生回数の伸びは、「ジャスティン・ビーバー完全復活」をはっきり示していた。
YouTubeで出てきた彼が、YouTubeの特性を活かした生配信をセットに取り入れるアイディアは、熱心なファンダム「ビリーバー」と、ミュージシャンとしての彼を評価してきた層にとくに響いた。2週目は自身のチャンネルでも配信。スリーブをカットオフしたフーディーとショートパンツ、ブーツという服装はよく似ているものの、もっとリラックスした、自信にあふれた主役が登場した。客席にすぐ降りて行き、サングラスを外すタイミングも早かったのだ。
最前列のファンにギリギリまで寄って一緒にカメラ向かって歌う構図は、『SWAG』のメイン・プロデューサーのひとり、ディジョンも昨日やっていたので、新しい流行りなのか、早速、影響を受けたのか。姿を現してすぐ、「アドレナリンが出まくりなんだよね」と断り、「スペシャル・ゲストをたくさん、呼んでいるからね!」と宣言。同じセットでも空気がちがうかも、と期待が高まる。
WE ARE SO BACK GUYS pic.twitter.com/GR3sRySRL0
— s. (@beliebinteam) April 19, 2026
R&Bシンガーであると示すステージ
セットリストでアクト1(第1幕)と分けられていた、『SWAG』の曲を歌い継ぐパートは先週とほぼ同じ。「LYIN’」を足したり、先週はメドレーだった「ALL THE WAY」と「405」をしっかり歌ったりした点がちがったくらい。演出を見慣れたこちらにも余裕が出て、より歌声に耳を傾けられたのが2週目のいいところだ。「BUTTERFLIES」の、「When the money comes and the money goes/Only thing that’s left, uh, is the love we hold(大金が入ってから出ていって/その後に残るのは 僕たちの愛だけだよ)」という歌詞が胸に迫った。
この夜のジャスティンは、彼の本領がR&Bシンガーであるのを示したように思う。バラードを歌い込んでから、すぐにアップテンポへ切り替える。そして、ファルセットの美しさと言ったら。「みんな、ちゃんと聴いている?(Are you still with me?)」と声をかけると、何万人いるかわからない大観衆が答えた。ここで、セクシー・レッドが登場。新作から「SWEET SPOT」を披露して、ぐっとヒップホップに寄る。彼女が気だるい「スワッグ」(粋な振る舞い、を意味するスラング)を見せたため、ネットのコメント欄が少し荒れたが、彼女のファンとしてはあえて言いたい。あれが、セクシー・レッドのかっこ良さである。
JUSTIN BRUG OUT SEXYY RED pic.twitter.com/7wDenyoHG3
— tyris ✰ (@TYRISPRINT) April 19, 2026
「少しゆっくりしたい?(Do you wanna slow down little bit?)」とまた観客に聞いてから、アクト2のアコースティック・パートへ。「MOTHER IN YOU」からスタートしたが、今週は妻のヘイリーはカメラの近くにはいなかった。先週は彼女に捧げているように響いた「EVERYTHING HALLELUJAH」も、ファン全員に向けた仕上がりになっていた。「コーチェラもハレルーヤ」とアドリブで締めるときは、カメラが彼を正面から捉え、頭上のライトとの対比で後光が指す演出もばっちり。
「一緒に成長できたのはすばらしいよね」
そして、話題をさらったアクト3へ。ラップトップを操作しながらのカラオケなので、先週とはちがうはず。今週もモニター越しのジャスティンが全世界に向かって、「いままで一緒に成長できたのはすばらしいよね。山あり谷ありだったけど、みんな見守ってくれた。これからもっと良くなるといいよね」と語りかけながら、『My World』期の「One Time」「U Smile」「Up」を選び、歌い継ぐ。お約束の「Baby」までは短めだったが、ファンもきっちりついて行って大合唱。客席の表情が一様にうっとりしたのがカメラに映る。おそらく長年のビリーバーにとって、中学での初恋の人が予想以上にすてきになっていたパターンの、さらに100倍くらいの幸福度だったのではないか。
「One Less Lonely Girl」で飛び出してきたのが、登場が噂されていたビリー・アイリッシュ。自身も超大物の彼女だが、ビリーバーの一人に戻って大泣き。マイクを握るどころではない様子だったが、曲のコンセプトに重なっていてよかった。
ELA NÃO ESPERAVA MESMO! Billie Eilish estava curtindo “One Less Lonely Girl” até que Hailey Bieber a empurrou para ser levada ao palco com Justin Bieber.
Eles aparentemente planejaram o momento sem avisar a Billie. 🥺 pic.twitter.com/TJwfcuk9Ed
— Info Billie Brasil (@InfoBillieBR) April 19, 2026
次に出てきたのが、ビッグ・ショーン。ハードコアながらイケメン枠のラッパーで、ジャスティンとは2012年から共演している。ふたりで「As Long As You Love Me」と「No Pressure」を立て続けに。ジャスティンのヴァースではショーンはハイプマンに徹し、場慣れしていてさすがだった。締めに「Big up to this GOAT!(この偉大なアーティストに拍手を)」と最大の賛辞を口にした。
I DONT KNOW IF THIS MAKES SENSE BUT YOURE MY HALLELUJAH @justinbieber @BigSean pic.twitter.com/rYVf30APWP
— Def Jam Recordings (@defjam) April 19, 2026
ビッグ・ショーンは捌ける前に「一生を懸けて、(音楽を)やっているよね。俺にとっては君こそが神の御加護(ハレルヤ)だ」と長めに語りかけた。予想外の展開だったようで、神妙な顔つきで聞き入るジャスティン。アッシャーの後ろ盾でデフ・ジャムと契約し、ヒップホップ・カルチャーらしい振る舞い、ファッションを取り入れてきた人である。類い稀な歌唱力と楽器を操るミュージシャン・シップのせいか、とくに黒人の人々から問題視されてこなかった印象がある。苦労して育った背景もあるだろうが、やはり彼は別格なのだ。
アクト3の最後、「ただ歌うのが好きな子供だった。それで、ここまで来たんだ」と言ってから、ジャスティン・ティンバーレイクの「Cry Me A River」を、アコースティック・ギターに隠れそうなほど幼かった昔の自分と一緒に歌った。
— SJBBR Midias (@brsuportejbm) April 19, 2026
復活以上のステージ
アクト4は大ヒット曲の「YUKON」から。「DEVOTION」で、なぜかトヨタのキャップを被っていたディジョンが、先週に引き続き出てきた。このふたりの歌唱は、お互いを尊敬している雰囲気が漂う。そして、ここでビッグ・サプライズ。大ヒット曲「Snooze」のイントロが流れ、SZA本人が出てきたのだ。彼女とジャスティンとのこのデュエットは、ハイライトだろう。「どっちから降りればいいの?」とあいからわらずチャーミングなSZAを、ジャスティンが誘導したのもおもしろかった。
generational link up #bieberchella pic.twitter.com/DfCelRHdNA
— Def Jam Recordings (@defjam) April 19, 2026
「すごくスペシャルな夜だよね」と言いながら、客席に降りてから最後の「DAISIES」を歌い出すジャスティン。花火を背にしゃがんで歌う姿は絵画のようで、復活どころか新しいファンを確実に増やした、「Bieberchella」は終わった。人気者の凋落以上にみんなが好きなのが、下り坂かと思ったスターが大逆転劇をかまして再び頂点に立つ姿だ。今回、ジャスティン・ビーバーはそれをやってのけた。つぎは、ワールド・ツアーで会いたい。
#BIEBERCHELLA pic.twitter.com/F8i94NmSWi
— Def Jam Recordings (@defjam) April 19, 2026
Written By 池城美菜子 (noteはこちら)

Apple Music / Spotify / YouTube
ジャスティン・ビーバー『SWAG II』
2025年9月5日発売
iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music
ジャスティン・ビーバー『SWAG』
2025年7月11日発売
CD&LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music
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