来日直前のレディー・ガガ、再び世界の頂点に君臨する理由と最新ツアーで見せた壮絶なる自己解放

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Photo: Manny Carabel/Getty Images for MTV

2026年1月21日の大阪・京セラドーム公演を皮切りに自身最大級となる国内ドームツアー6公演を控えるレディー・ガガ(Lady Gaga)。このライヴに向けて、ガガの変遷を振り返るコラムを、ライターのセメントTHINGさんに寄稿いただきました。

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全6回のドーム公演

レディー・ガガのワールドツアー「The MAYHEM Ball」が、とうとう日本へとやってくる。

昨年4月のコーチェラ・フェスティバルでのヘッドライナーとしての初披露から、世界中で話題を呼んできたこの公演を、ついに日本のオーディエンスが体験することになる。しかもドーム6公演(京セラドーム大阪/東京ドーム)という、ガガ自身にとっても最大規模の舞台で。ちなみにチケットは6日間の公演分すべてが既に完売しており、ガガの衰えぬ人気が証明された形だ。

ガガの勢いはとどまるところを知らない。各国公演を次々ソールドアウトさせただけでなく、昨年5月のブラジル・リオデジャネイロでのコンサートには、なんと250万人以上が参加。女性アーティスト単独公演史上最多動員数という、常識破りの記録を打ち立てた。またそのパフォーマンスもメディアから高評価を受けており、「過去最高の完成度のツアー」と評判だ。ガガはこのツアーを通して、そのキャリアのあらゆる側面において、新たな高みへ到達したといえる。

そしてこの成功の原動力となったのが、ツアーの核となる8thアルバム『Mayhem』だ。昨年3月にリリースされたこの作品は、発表直後から批評的にも商業的にも大きな反響を呼び、ガガの新たな代表作としての地位を確固たるものにした。2月1日に授賞式を控える第68回グラミー賞において、今年度女性ソロ最多の7部門にガガがノミネートされていることからも、その評価の高さがうかがえる。今回の来日公演は、そんな大ヒットした最新作からの曲を、生で聴くことのできる絶好のチャンスでもあるのだ。

 

デビュー時から爆発的人気への反動

だがガガはなぜ、ここまで劇的なブレイクスルーを実現できたのだろう。その理由としては、『Mayhem』がガガにとって本格的な「原点回帰」作となったことがあげられる。

15年以上のキャリアをもつガガだが、実は彼女の代名詞ともいえるダンス・ポップ路線での活動は『ARTPOP』(2013年)でひと段落している。その後は『アリー/スター誕生』など演技に挑戦したり、トニー・ベネットとのジャズアルバムを出したり、映画の主題歌や劇伴を担当したりと、幅広い分野で活躍を続けてきた。

けれどそのようにガガが初期の作風から距離をおいた理由は、前向きなものばかりではなかったようだ。その背後にあったのは、デビュー直後から爆発的に人気が出たための疲弊、そしてその反動ともいえる、『ARTPOP』への厳しい評価だった。

ガガ自身がインタビューなどで語る通り、デビュー作『The Fame』(2008)で規格外の成功を掴んだガガは、超多忙なスケジュールをこなす日々を送っていた。だが、それは2013年のツアーでの大怪我という最悪の結末を迎えてしまう。それでもガガは療養中も新作の制作を続け、その年の11月に力作『ARTPOP』を発表するが、それまでと比べて売上も評価も控えめなものにとどまり、批判を受けることになってしまった。

ガガ自身当時を振り返り、あの時は「痛みに耐えながら」制作しており、リリース後には「自分がバラバラになった」と語るほどの過酷な時期。それに圧倒された彼女はまた違う路線での活動を模索し始めたが、持病の線維筋痛症や、仕事上のプレッシャー、過去の性被害によるトラウマなどのため、メンタルヘルスの著しい悪化を経験することになったのだという。

きらびやかな栄光の裏で、自分のなかにある暗いものや、ままならぬ病に苛まれる。そんな「内なる戦い」を孤独に続けてきたガガ。だが、そんな彼女をまた救ったのも音楽だった。ガガは苦しみながらも曲を書き続け、そのつらい思いを解放していったのだ。

 

『Chromatica』での回復

その努力が結実したのが『Chromatica』(2020年)である。この作品において、ガガは意図的にクラシックなハウス・ミュージックを追求した。ハウスはそもそもシカゴのブラック・クィア・コミュニティから生まれた音楽で、困難の中でも踊ることを通して人生を祝福するパワフルなジャンルである。それが強い苦痛のなかから立ち上がろうとするガガに、大きな力を与えたことは想像に難くない。

実際『Chromatica』からの「Rain On Me」や「911」といったヒット曲は、傷ついた自分を見つめながらも、そのうえで生き延びようとする強い意思を表現したものである。今作発表後、深い理解者となる現在のパートナーとも出会い、ガガは徐々に回復していくこととなる。

 

『ジョーカー』での酷評を逆手にとる

そして2024年、ガガがホアキン・フェニックスとダブル主演を務めた『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が公開された。この映画は酷評されてしまい、ガガはまたもや批判と怒りの嵐に晒されることになる。だが、この時のガガはその状況を逆手に取ることを選んだ。そして生まれたのが『Mayhem』のリード・シングル、「Disease」のMVだ。

このビデオでガガは「もう一人の自分」に立ち向かい、彼女を抱きしめ、「あなたの病を私が癒やしてあげる」と咆哮する。ガガは自身の恐怖や葛藤から生まれる「内なる戦い」と向き合い、それをアートへと昇華したのだ。直面する苦しみのすべてを、私の表現の血肉にしてやるという、揺るぎない反撃の姿勢がそこにはあった。

続く「Abracadabra」では、ガガはさらに大胆に踏み込む。「踊るか、さもなくば死を!」そんな宣言とともにガガが展開するのは、『The Fame』時代を彷彿とさせる、奇妙で強烈なエネルギーに満ちたダンス・ポップだ。「死」と「愛」がアヴァンギャルドなファッションに身を包み、踊りながら激しくそのエネルギーを戦わせる。まるでガガの心象風景を、象徴的に映像化したかのようだ。

 

『Mayhem』=自分自身であることを取り戻した宣言

ガガは初期の作風へと見事に回帰し、自分を苦しめてきた「内なる戦い」というテーマを、臆することなく真正面から表現してみせた。それは様々な試練を経た一人の女性が、自分自身であることをやっと取り戻したという、堂々たる宣言でもあったのだ。

『Mayhem』は、ポップ・アイコンとしてのレディー・ガガ、そして人間としてのステファニー・ジャーマノッタによる、輝かしい復活の狼煙となったのである。

そして、ガガはその世界観を「The MAYHEM Ball」においてさらに拡張している。舞台の上でガガは「もう一人の自分」と向かい合い、彼女と激しい駆け引きを繰り広げながらも、最終的にその対立に飲み込まれることなく生き延びる。それを支えるのがこれまでのヒット・ソングであり、『Mayhem』に収められた曲たちだ。さらに豪華絢爛な衣装と美術が、まるでオペラのような演劇的で壮大な雰囲気を盛り上げる。

「The MAYHEM Ball」に参加した観客は、ガガのパーソナルなストーリーを目と耳で感じ、彼女の芸術を通してその感情の渦へと巻き込まれていく。

そしてそのとき、観客とガガの間には、舞台と客席を越えた深い結び付きが立ち上がることだろう。それこそ、ガガが目指す光景にほかならないはずだ。

Written By セメントTHING


<最新アルバム>

レディー・ガガ『Mayhem』
2025年3月7日発売
CD&LP / iTunes Store / Apple Music / Spotify / Amazon Music


【来日公演情報】

全公演ソールドアウト!

「The MAYHEM Ball」ジャパン・ツアー

2026.1.21(wed) 22(thu) : 京セラドーム大阪
2026.1.25(sun) 26(mon) 29(thu) 30(fri) : 東京ドーム

来日公演特設サイト

予習プレイリスト公開中!




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