ストーンズが歌詞を変えさせられたり、エンディングに出演しないことで炎上した二つのテレビ番組

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The Rolling Stones on Ed Sullivan in 1964; Photo: Michael Ochs Archives / Getty Images

ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)にとって、1967年は忙しく、そして物議を醸すことになる年の始まりだった。

1967年1月13日、UKのデッカから「Ruby Tuesday」と「Let’s Spend The Night Together」が両A面シングルとしてリリースされ、翌日にはアメリカにてロンドン・レコードからリリース。そして1月15日、ストーンズはエド・サリバン・ショーに出演し、アメリカのテレビ視聴者の繊細な感性を傷つけないようにと、「Let’s Spend The Night Together」の歌詞を変更することを余儀なくされた。

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その後の数週間、いくつかのラジオ局では「Let’s Spend The Night Together」をかけることを禁止するところまででてきた。その影響もあって、「Ruby Tuesday」は全米シングルチャート1位となったが、「Let’s Spend The Night Together」は55位という低い順位にとどまった。

そして母国UKでも、別の事情で物議を醸し出すことになる。

ローリング・ストーンズはエド・サリバン・ショーの数日後となる1967年1月20日に英国にてニューアルバム『Between The Buttons』のリリースを迎えた。そして数日後の1月22日、彼らは人気のテレビ番組『サンデー・ナイト・アット・ザ・ロンドン・パラディアム』に出演するため、ロンドンで最も有名な劇場であり番組の舞台であったロンドン・パレイディアム劇場に足を運んだ。

それまで番組側から頻繁に出演を依頼されていたにもかかわらず、それまで一度も出演していなかった彼らが、なぜ出演したのか? ザ・ローリング・ストーンズの誰もがよく覚えていないのだが、当時のチャーリーによれば、「個人的には出演したくなかったし、なぜ出たのかもよくわからない。挑戦だったんだと思うよ。私があの番組を見てきた中で、出演者にとっては良いことよりも悪いことの方が多かったけどね」とのことだ。

1960年代のポップス番組の最高峰である「レディ・ステディ・ゴー!」が放送されなくなったことで、テレビに出演する機会が減ったことも理由の一つだが、『サンデー・ナイト・アット・ザ・ロンドン・パラディアム』の視聴者数が1,000万人近くに達していたほどに人気だったことも、ストーンズが出演を決めた理由の一つであろう。

番組のプロデューサーは当時のストーンズについて「彼らはすべての音楽をテープに録音したものを持ってきたんだ。彼らのマネージャーであるアンドリュー・オールダムは、私の隣に座って音のレベルをチェックしていたけど、私は彼らとのやりとりにとても失望しました。彼らはリハーサルに遅刻しただけでなく、マナーもなく、無礼な態度で接してきたんです」と語っている。しかし、キースによると、「(録音したテープを持ってきたのは)番組の出来があまりにも悪くて、彼らに頼っても思うような音が出なかったからだ。俺たちがライヴができないわけじゃないよ」と、1週間後にDiscに語っている。

本番では演奏を録音したテープを流し、バンドは当てぶり、ミックは「Ruby Tuesday」「Let’s Spend The Night Together」「Connection」をテープに合わせて生で歌った。しかし、物議を醸したのはバンドの当てぶりではなく、ストーンズがテレビ番組のエンディングへの出演を拒否したことだ。番組の司会者であるデイヴ・アレンと出演者全員が笑顔で手を振るという演出の番組エンディングに出ることを断ったのだ。マネージャーのアンドリューはこの件でミックと口論になり、その後、ストーンズの態度に怒った視聴者がマスコミに手紙を送りつけた。

オックスフォードのある女性は、ストーンズに対して「グレイシー・フィールズ、マーゴット・フォンテイン、フランキー・ヴォーンなどの本物のスターを見習うべきですわ」とクレーム。また、別の不満を持ったホーム・カウンティーズの視聴者は「このレコードの発売を防ぐには遅すぎるが、これが国全体に有害な影響を与える前に、お願いだから次からは発売を禁止にしてくれないか」と述べていた。この騒動はその後も何週間も続いたようだ。ある年齢層の人たちはなぜストーンズが出演することになったのか理解できなかったが、若い人たちは全く気にも留めなかった。ミックはNME紙にこう語っていた。

「俺たちが番組に出演した唯一の理由は、良い宣伝になるからだ。ファミリー層に合わせて俺たちが自分たちのイメージを変えようとしている、なんて思ったやつらは間違いだったな」

翌週の『サンデー・ナイト・アット・ザ・ロンドン・パラディアム』では、コメディアンのピーター・クックとダドリー・ムーアが主役だった。ピートとダッドはストーンズと親しくなり、一部視聴者からお怒りをうけていたバンドとの連帯感を示すために、ジェラルド・スカルフが制作した5人のストーンズの等身大のダンボール製の切り抜きを持って出演していた。

こういった論争の中、ローリング・ストーンズのチャートはどうなったのか?英国でのシングル「Let’s Spend The Night Together/”Ruby Tuesday」はチャート3位というヒットを記録している。

Written By Richard Havers



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