ラッシュのベストソング9:プログレッシブ・ロックの殿堂に並ぶ名曲たち

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Rush - Photo: Andrew McNaughtan, courtesy of UME

プログレッシブ・ロックの決定版マップが描かれるとすれば、ラッシュ(RUSH)がその中核を担う存在であることに異論を唱える人はほとんどいないだろう。

カナダが生んだこのバンドは、ニール・パートが2020年1月7日に67歳で亡くなるはるか以前から、すでにロック史における揺るぎない地位を確立していた。そして彼の死を機に、その卓越したドラミングや作詞家としての才能、さらにはバンドが築き上げた偉大な功績に、あらためて世界中から大きな注目が集まることとなった。

ラッシュの比類なきカタログを振り返れば、長年にわたり熱心なファンの支持によって不朽の名曲へと押し上げられてきた楽曲が数多く並んでいる。その一曲一曲が、バンドの革新性と卓越した演奏力、そして唯一無二の音楽世界を物語っている。それでは彼らのベストソングを順不同でご紹介しよう。

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1. Tom Sawyer

その中でも特に象徴的な存在が、1981年発表の歴史的名盤『Moving Pictures』に収録された「Tom Sawyer」だろう。時代を超えて愛され続けるこの楽曲は、ラッシュを代表する不朽のアンセムの一つであり、プログレッシブ・ロックの枠を超えて広く知られる名曲となった。

また、「Tom Sawyer」は、同じカナダ出身のバンド、マックス・ウェブスターのメンバーであるパイ・デュボアとの共作によって生まれた楽曲でもある。ベーシスト兼ボーカリストのゲディー・リー自身も、この曲をラッシュのキャリアにおける最高傑作の一つとして評価している。

 

2. The Spirit Of Radio

1980年のアルバム『Permanent Waves』からのファースト・シングルとしてリリースされたロックの殿堂入り楽曲「The Spirit of Radio」は、バンドとって数少ないポップ・チャートでの大きな成功をもたらした楽曲だった。もっとも、熱心なファンの中には、全米トップ40ラジオ向けに編集された3分間のシングル・ヴァージョンに不満を抱いた者もいたかもしれない。

しかし、ニール・パート、ゲディー・リー、アレックス・ライフソンの3人によって書かれたこのアンセミックな楽曲は、幅広い支持を獲得し、全米シングル・チャート(Billboard Hot 100)で中位まで上昇し、さらにイギリスでは、バンドにとって当時最高となる全英トップ15入りを記録した。

 

3. 2112

ラッシュの熱心なファンたちの間で、決して色あせることのないもう一つの人気曲が、1976年発表の4作目のスタジオ・アルバム『2112』のタイトル曲である。「Overture」、「The Temples of Syrinx」、「Discovery」、「Presentation」、「Oracle: The Dream」、「Soliloquy」、「Grand Finale」という7つの章で構成された約20分に及ぶこの壮大な組曲は、ラッシュのプログレッシブな音楽性を象徴する代表作の一つと言える。

アルバム発表後、ゲディー・リーはCircus誌のインタビューで、バンドが当時置かれていた状況について次のように語っている。

「僕たちの影響を受けた存在は、今もなお周りにいる。それが少し難しいところなんだ。僕たちはまだ若いバンドで……自分たちにとっては、偉大な先人たち自身と競い合っているようなものなんだ」

 

4. Limelight

名作アルバム『Moving Pictures』には、ラッシュが名声や公の視線にさらされることへの戸惑いを映し出した楽曲「Limelight」も収録されている。この曲は、バンドが世界的な成功を手にする一方で、スポットライトを浴びる生活に次第に居心地の悪さを感じるようになっていたことを象徴する作品でもある。ゲディー・リーは1981年、Sounds誌のインタビューで次のように語っている。

「僕がバンドを始めた理由は、演奏するためだった。そして、人々のために演奏するためだった。でも問題は、ほとんどの場合、スポットライトの中にいると、その事実をしっかり持ち続け、認識することがとても難しくなるということなんだ」

「Limelight」は2010年、カナダ・ソングライターの殿堂(Canadian Songwriters Hall of Fame)入りを果たした。また、ギタリストのアレックス・ライフソンは、この曲のギター・ソロについて、ライヴで演奏する際のお気に入りの一つだと明かし、「そこにはとても悲しく、孤独な何かがある。それは独自の小さな世界の中に存在しているんだ」と語っている。

 

5. La Villa Strangiato

「La Villa Strangiato」は、ユーモラスにも「An exercise in self-indulgence(自己満足のための練習曲)」という副題が付けられた楽曲で、1978年発表のアルバム『Hemispheres』のラストを飾った。

この曲もまた、ラッシュらしい壮大なエピソード形式のインストゥルメンタル作品で、演奏時間は約10分。全体は12のセクションにも及ぶ複雑な構成を持ち、バンドの高度な演奏技術と遊び心が融合した代表的な楽曲となっている。

 

6. Working Man

また、ラッシュ初期からのファンが今なお特別な愛着を寄せる曲の一つが「Working Man」だ。この楽曲では、オリジナル・ドラマーだったジョン・ラトジーが演奏しており、彼が脱退し、数か月後にニール・パートが加入する直前の時期に録音された、バンド初期を象徴する重要な作品である。

 

7. Xanadu

「Xanadu」も忘れてはならない。1977年のアルバム『A Farewell To Kings』に収録されたこの壮大な楽曲は、ラッシュが音楽的な武器としてシンセサイザーを本格的に取り入れていく転換点**となった作品だった。プログレッシブな構築美と幻想的なサウンドを融合させ、その後のバンドの音楽的発展への道筋を示した一曲である。

 

8. Subdivisions

1982年発表のアルバム『Signals』に収録された「Subdivisions」は、全米ロック・ラジオで大きな成功を収めたヒット曲だ。社会における分断や対立をテーマにしたこの楽曲は、何十年にもわたりラッシュのライヴ・セットリストに組み込まれ続け、現在でもロック系ラジオ局の定番曲として親しまれている。また、2010年発売の音楽ゲーム『Rock Band 3』にも収録された。

ニール・パートはこの曲について、「もちろん、ものすごく自伝的な曲だよ。僕たちにとって重要な一歩でもあった。キーボードを中心に書かれた最初の曲だったからね」と述べており、ラッシュが新たなサウンドへ進化していく転換点となった作品だったことを明かしている。

 

9. Headlong Flight

一方、ラッシュの長いキャリアの終盤を飾る楽曲として挙げられるのが、2012年にリリースされたラスト・アルバム『Clockwork Angels』からのシングル「Headlong Flight」である。全米2位を記録した同アルバム発売の翌年、2013年にはラッシュはついにロックの殿堂入りを果たしている。

ゲディー・リーは「Headlong Flight」について、「最初から最後まで、書くことも録音することも本当に楽しい曲だった」と振り返っている。また、彼がRolling Stone誌に語ったところによれば、この曲は当初インストゥルメンタル曲として構想されていたという。その時点での仮タイトルは、なんと「Take That Lampshade Off Yo Head!(そのランプシェードを頭から外せ!)」という、ラッシュらしい遊び心に満ちたものだった。

 

これらの楽曲をはじめとする数多くの時代を超えた音楽的冒険は、ラッシュの音楽がなぜ今なお色あせず、そしてこれからも永遠に生き続けるのかをあらためて示している。ニール・パートは、1978年に行われたNMEのインタビューで、バンドが目指していたものについて次のように語っていた。

「僕たちはミック・ジャガーとローリング・ストーンズのようになりたいわけじゃない。そういう形を目指していたわけではなかったんだ。何より重要だったのは、メンバー全員がインプットとアウトプットの面で平等であることだった。作曲においても、音楽的な面でも、バンドの一員であるというあらゆる意味において、全員が同じだけの力を注がなければならない。僕たちは皆で一緒に進まなければならないんだ。人々の集まりが本当に創造的な集合体になれる唯一の方法は、それぞれ異なる形で貢献することだと思う」

この考え方こそが、ゲディー・リー、アレックス・ライフソン、ニール・パートという3人の才能を結びつけ、ラッシュを単なるロック・バンドではなく、互いの個性と技術が融合した唯一無二の創造体へと導いた原動力だった。

Written By Paul Sexton


ラッシュ『RUSH 50』
2025年3月21日発売
4CD・7LP / iTunes Stores / Apple Music / Spotify / Amazon Music / YouTube Music




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