ザ・キュアーのデビュー作『Three Imaginary Boys』

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1979年春、ザ・キュアーのメンバーがロバート・スミス、ロル・トルハースト、マイケル・デンプシーだった時、バンドのデビュー・アルバムが生まれた。そのアルバム『Three Imaginary Boys』 がリリースされたのはその年の5月8日、その数か月前にリリースされたデビュー・シングル「Killing An Arab」に続くものだった。

この曲「Killing An Arab」はアルバムには収録されていないが、そのシングルのB面であり、同じく心をとらえる「10.15 Saturday Night」はアルバムのリード・トラックであった。この作品は、当時の音楽雑誌には非常に温かく迎え入れられた、ザ・キュアーのサウンドがシャープで、アングラで、ニュー・ウェーヴのランドスコープにオリジナリティを持たせたものであったので、評論家はこの作品をポスト・パンク時代の新たなクリエイティヴととらえた。

アルバムに収録された13曲(最後に収録された、1分の‘Untitled’トラックを含めるならば)は、1967年のジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのデビュー・アルバム『Are You Experienced』に収録されている「Foxy Lady」のカヴァーを除けば、すべてバンドによって書かれたものだった。ザ・キュアーのプロダクションはフィクション・レコードのクリス・ペリーによって整えられた。

バンドのキャリア初期の段階でさえも、デビューした時には若干20歳になったばかりのロバート・スミスはカリスマ性を見せつけ、周りに同調することを拒否し、逆にそれが彼を際立たせていた。「僕はただ、自分が満足できる何かをしようとしているだけ」と彼は、『Three Imaginary Boys』リリース時に、NME誌に語った。

それから数か月後、彼は増え続けるオーディエンスについて物思いにふけながら、トラウザー・プレス誌に語った「僕は、人々が僕らを溺愛したり、すべての言葉に熱中したり、僕らのように見えるようにしたいと思うなんて、思ってもみなかったよ。ニュー・ウェイヴやパンクはそういったことをやめることからスタートしているし、みんなそれぞれのファッション、音楽、アイディアを持っているものだから」。

「今は一周したんだろうね、そしてみんな言うんだ、‘ザ・クラッシュみたいにやろうぜ’って。それってとてもばからしいよ。バンドがそうやって気取りたいんだとしたら、それが悪いことだというつもりはないよ、ただ、それは新しくないよ」。

Written by Paul Sexton


 

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