reDiscover:ダイアー・ストレイツ『Making Movies』

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1980年にダイアー・ストレイツが3枚目のアルバムをリリースした頃は、まだCDが出る2年前のことだった上に、大ヒットとなった『Brothers In Arms』に比べるとその存在は薄いかも知れない。しかし『Making Movies』と共にバンドは80年代に突入し、それからの10年間を支配し続けたラジオ・フレンドリーなルーツ・ロック・サウンドがスタートを切った。このアルバムは10月17日にリリースされた。

1980年の夏に行われたレコーディング・セッション中にマーク・ノップラーの弟デイヴィッド・ノップラーがバンドを脱退したことでマークがバンドの唯一のギタリストとなり、曲作りも主に手掛けることになった。前2作が両方ともUKチャート5位にランクインした実績のあるバンドに相応しい野心をマークは抱いていた。彼が作る曲の長さは6〜8分を超えるようになり、メンバーはその手腕を振るうチャンスを与えられた。「Tunnel Of Love」もその一例で、1945年のロジャース&ハマースタインの人気ミュージカル『回転木馬』のテーマを取り入れており、後にジャズ調のサウンドへと変わっていく。

アルバム・タイトルの通り、マーク・ノップラーの物語調のリリックはそれぞれの曲を小さな映画に仕上げている。薄幸な恋人同士から名付けられた「Romeo and Juliet」ではロミオがジュリエットの元へこっそり近づく様子が歌われており、マーク・ノップラーがしゃがれた声でジュリエットを誘う(“ベイビー、きみと僕、どうかな?”)。それは親密であると同時に映画のようである。世界最高のラブストーリーに抜け目ない知恵を注いでいる。それはバズ・ラーマンが『ロミオ+ジュリエット』 として映画化する10年以上も前のことだった。

ブルース・スプリングスティーンの『Born to Run(邦題:明日なき暴走)』と『Darkness On The Edge Of Town(邦題:闇に吠える街)』のアルバムを手掛けたジミー・アイオヴィンがプロデューサーとして加わった。ジミー・アイオヴィンは地元バンドを世界規模のアーティストへと巧みに変身させることができる。不安定なギターとマーク・ノップラーのしゃがれた声が特徴の比較的控えめな「Expresso Love」も、その重ねられたギターとスプリングスティーンのEストリート・バンドのロイ・ビタンが奏でる刺激的なキーボードのお陰で、素晴らしいトラックに仕上がっている。

当然「Romeo And Juliet」はUKで8位にランクインし、それはダイアー・ストレイツのベスト・ランキング・トラック「Sultans Of Swing」と同じポジションとなった。『Making Movies』は4位にランクインし、252週間チャート入りを果たし、1982年の『Love Over Gold』から続けて3作品が チャートのトップにランクインされるための道を切り開いた。ロミオとジュリエットにとってタイミングが悪かったかもしれないが、マーク・ノップラーたちにとってそれは間違いなく完璧なタイミングとなった。

 



『Making Movies』のSpotifyでの試聴はこちら

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