バール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」解説:まるでサンタのような俳優によるクリスマスソング

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Photo: Michael Ochs Archives/Getty Images

歌手で俳優のバール・アイヴス(Burl Ives)は、どんな舞台や映画でも簡単にサンタクロースを演じることができただろう。米イリノイ州生まれのこのエンターテイナーは、ガタイがよく(体重は堂々たる300ポンド/約136kg)、白い髭を生やし、笑い声をあげ、最高のサンタのような笑みを浮かべていた。その彼が、今や定番となったクリスマス・ソング「Holly Jolly Christmas」で最もよく記憶されているのは、理にかなっているというものだろう。

1958年の映画『熱いトタン屋根の猫』の主役の一人であり、『ビッグ・カントリー』の演技でアカデミー助演男優賞を受賞したアイヴスは、1965年11月にデッカ・レコードで「A Holly Jolly Christmas」を録音したとき、年齢は50代半ばであった。その8年前にデッカにてアルバム『Christmas Eve With Burl Ives』を録音していたアイヴスにとって、この曲の録音は祝祭への回帰であった。

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クリスマス・ソングの名手のよる楽曲

「A Holly Jolly Christmas」は、ホリデーソングの真の名手、ジョニー・マークスが書いたものだ。このニューヨーカーはブレンダ・リーの「Rockin’ Around the Christmas Tree」のほか、チャック・ベリーが作曲した「Run Rudolph Run」、ジーン・オートリーが大ヒットさせた「Rudolph The Red-Nosed Reindeer(赤鼻のトナカイ)」も作曲している。

マークスが1962年に書いた「A Holly Jolly Christmas」は、実はアイヴスが2バージョン録音しているが、大成功したのは1965年10月にリリースされたスローバージョンの方である。プロデュースはミルト・ガブラー、編曲はオーウェン・ブラッドリーで、ブルックリン・スタジオで録音にはオーケストラも参加している。

この曲は、1964年のクリスマス・テレビ特番『赤鼻のトナカイ』でアイヴスが初披露しており、アイヴスはナレーターのサム・ザ・スノーマンの声も担当している。

 

エンターテイナー、バーレ・アイブス

元もアメフトの選手で旅回りのバンジョー奏者でもあったアイヴスは、イリノイ州のイングランド系アイルランド人の小作人の家に生まれた。そしてその歌声は温かくメロウであり、感傷的なクリスマス・ソングを歌うのにぴったりだった。アイヴスは他にも「Frosty The Snowman」をヒットさせ、そのことを証明している。

アイヴスが歌った「A Holly Jolly Christmas」は世界中で大ヒットし、今もリスナーの心を惹きつけている。この曲は、オリジナルのリリースから54年後の2019年、米ビルボード・ホット100の3位を記録。また、「A Holly Jolly Christmas」は他のアーティストも録音しており、アラン・ジャクソン、ジョニー・マティス、フェイス・ヒル、レディ・Aなど多岐にわたっている。

アイブスは1995年4月、口腔癌の合併症のため85歳で亡くなった。「私はいつも自分をエンターテイナーとして見ていたよ」と語ったアイブスの歌声は、今もクリスマスを彩り続けている。

Written By Martin Chilton



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