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スペインとロシアでローリング・ストーンズ『Sticky Fingers』のジャケが変わった理由

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キース・リチャーズはこう言っている。

「『Sticky Fingers』がアルバムのタイトルになるとは思わなかったよ。制作中にただ俺たちが仮にそう呼んでいただけなのにさ。ただ、大抵は仮タイトルのままになるけどね」

1971年に発売された『Sticky Fingers』は、クラシックとしてファンに支持された。アルバムのタイトルが神秘的雰囲気を醸し出し、ズボンのジッパーがついたアルバム・ジャケットは純粋に画期的なアルバム・カヴァー・アートとして捉えられた。

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彼らのアルバム・ジャケットのために、ザ・ローリング・ストーンズがアンディ・ウォーホルに払ったのは1万5千ポンド。45年前に支払った多額の金額は、現在の金額だと約15万ポンドである(*約2,200万円)。『Sticky Fingers』はこれまでにない素晴らしいアルバム・ジャケットとして絶賛されたが、アンディ・ウォーホルはその仕掛け人であって、実際にデザインをしたのはジョー・コッカーの『Mad Dogs and Englishman』や1971年のカーペンターズのアルバムにも名前がクレジットされているグレッグ・ブラウンだった。しかしライターのロイ・カーはこのように述べている。

「このアルバムの強さはアンディ・ウォーホルによる物議を醸すアルバム・デザインでもなく、歌詞でもない。ロックン・ロール・バンドとして、期待に応えられるストーンズの能力だ」

『Sticky Fingers』はこのおなじみのアルバム・ジャケットで世界中に発売されたが、当時独裁者として君臨していたフランコ将軍の国、スペインだけは卑猥なアートとして捉えられ、レコード会社はアルバム・ジャケットを変更せざをえなかった。そして彼らが使った替わりのイメージが、糖蜜で覆われた缶詰の中からジェスチャーで表現されたネバネバした指のヴィジュアルで、元のジャケットよりもはるかに卑猥だとも思われかねないものだった。

新しいアルバム・ジャケットはジョン・パッシュ (最初の舌ロゴもデザインを担当)とフィル・ジュード (のちに『Goats Head Soup / 山羊の頭のスープ』のインナースリーブに使用された山羊の頭を撮影) によってデザインされた。

アルバム・ジャケットを変更するだけでは満足しなかった政府は「Sister Morphine」をアルバムからカットすることも強く要求。代わりにチャック・ベリーの「Let It Rock」のライヴ・ヴァージョンが収録された。このようなことから、3ヶ月後の1971年7月16日までスペインではアルバムが発売されなかったのだ。

1992年、やっとロシアでもアルバムが発売されたものの、オリジナルのアルバム・ジャケットから大きく変更されていた。バックルは星マークにハマーと鎌が彫られたソビエト連邦軍服のベルト、ジッパー付きのブルージーンズが彩色された写真にはキリル文字が(タイトル等が)載ったものだった。そしてオリジナルのジャケットは男性だが、このアルバムは女性らしきモデルのようだった。

その後2015年にオリジナルの『Sticky Fingers』の曲とレアな楽曲、ザ・ローリング・ストーンズ伝説のライヴとなった1971年、ロンドンのラウンドハウスから未発表のライヴ・トラック4曲を収録した限定版デラックス・ダブルLPが再発された。

The Rolling Stones' Sticky Fingers – Re-Issue coming soon!

Written by Richard Havers


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ザ・ローリング・ストーンズ『Sticky Fingers』
   


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2022年5月13日発売
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