「今までで最高のアルバム」と本人が語ったゲイリー・ムーアのブルース作『Still Got The Blues』

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天才ブルース・ロック・ギタリスト、ゲイリー・ムーアは、その短くも華やかなキャリアの中で、3枚の全英トップ10アルバムを残した。そのうちの1枚は『Still Got The Blues』に違いないと考える向きも多いに違いないが、意外なことにそれは誤りである。しかしながら1990年にリリースした『Still Got The Blues』によって、アイルランドが生んだ偉大なアーティストは新たなオーディエンスを獲得することになった。

『Still Got The Blues』は、アメリカではゴールド・ディスクに認定され、当時のゲイリー・ムーアに過去最高のセールスをもたらした。同作には、アルバート・キング、アルバート・コリンズといったゲイリー・ムーアの憧れたアメリカン・ブルースのヒーロー、そしてジョージ・ハリスンも参加している。

イアン・テイラーと共同でゲイリー・ムーアがプロデュースしてヴァージンからリリースされたこのアルバムで、ゲイリー・ムーアはキャリア20年目にして初めてハード・ロックから距離を置き、メロディックかつ明確にブルージーなスタイルを打ち出した。そしてゲイリー・ムーアのファンはそれを歓迎し、彼は90年代に新たな成功を浴びることになった。

アルバムは「Still Got The Blues」「Moving On」「King Of The Blues」といったゲイリー・ムーア作のオリジナル・ナンバーと、オーティス・ラッシュの「All Your Love」、ジミー・ロジャーズの「Walking By Myself」等のゲイリー・ムーアが敬愛するアーティストのカヴァー曲で構成されている。他にはジョージ・ハリスンが提供しヴォーカルとギターも担当した「That Kind Of Woman」、フリートウッド・マックの「Stop Messin’ Around」のカヴァーも収録。ゲイリー・ムーアは1995年にピーター・グリーンに向けたトリビュート・アルバム『Blues For Greeny』をリリースすることになるが、これはその予告編的なトラックになっていた。


『Still Got The Blues』のイギリスのチャートにおける最高位は13位だったが、その後もコンスタントに売り上げを伸ばし、リリースから4年半を経た1994年9月にはプラチナ・アルバムに認定されている。同作はオーストラリア、ドイツといった国でも同様にプラチナ・アルバムに認定。最終的には全世界で約300万枚以上のセールスを記録している。

1992年に雑誌Qに掲載されたインタビューでゲイリー・ムーアは以下のように語っている。「ピカピカにプロデュースされたクリーンなアメリカのギター・サウンドを狙ったわけじゃないからね。もっと自然なのを作りたかったんだ。狙い通りになったと思うよ。再出発って感じだね。今までで最高のアルバムになっていると思う」。

Written by Paul Sexton



ゲイリー・ムーア『Still Got The Blues』

    

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