フェンダーの歴史と使用ミュージシャン達【61曲をまとめたフェンダーのプレイリスト有】

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Photo: Fin Costello/Redferns

フェンダー・ギターはアイコンだ。あの外見、そして洗練されたかっこいいオーラが、まるで「弾いてくれ、爆音で、繊細に、そして上手に」と語りかけているようだ。Fender Electric Instrument Manufacturing Companyの創設者、クラレンス・レオニダス ‘レオ’ フェンダーの誕生日である1909年8月10日を記念して、このユニークな楽器を祝福しよう。

ある年齢の人たちの多くにとって、初めてフェンダー・ストラトキャスターの存在を知ったのは、1957年のザ・チャーピング・クリケッツのアルバム・カヴァーでバディ・ホリーが抱えていたギターではないだろうか。その2年前、バディ・ホリーがテキサス州ラボックのアデール・ミュージックという店に入り、自身の最初のエレキギターと引き換えに新しいフェンダー・ストラトキャスターを手に入れた、その当時300ドルを少し超えるぐらいの金額だった。現在でいえば約2,600ドル(約28万円)だ。

4年後、イギリスの偉大なインストゥルメンタル・バンドのシャドウズのファースト・アルバムのカヴァーには、バディ・ホリーのクリケッツのアルバムを見て買ったというハンク・マーヴィンがストラトキャスターを手に持っている(実物は見えないが本人談による)。シャドウズのあとに出たイギリスのほとんどのギタリストは、ハンク・マーヴィンの赤と白のストラタキャスターにインスパイアされたと認めることだろう。

ストラトキャスターの前に、初のソリッド・ボディのエレキギターだったテレキャスターがあり、1950年に登場した初の1ピックアップのモデルはエスクワイヤーと名付けられた。明るく、豊かで、テレキャスター・トワングと呼ばれるカッティングの音色、そしてゆるく、暖かいブルースのような音色で知られている。それはピックアップ次第で自由に変えられ、‘ブリッジ’・ピックアップでトワング・トーンを、‘ネック’・ピックアップでメロウな音色を奏でることができた。

初期の頃は、カントリー・ミュージシャンがテレキャスターを好んで使用した。エルヴィス・プレスリーやリック・ネルソンと演奏したギターの魔術師、ジェームズ・バートンはその頃のスターの1人だ。エリック・クラプトンもヤードバーズとブラインド・フェイスに属していた時は、テレキャスターを弾いていた。シカゴ・ブルースの王、マディ・ウォーターズもテレキャスターを好み、アルバート・コリンズ、スタックス・レコードのブッカー・T.&ザ・MG’sのギタリスト、スティーヴ・クロッパーも同じだった。アップルの屋上で行われたザ・ビートルズの最後のライヴ演奏では、ジョージ・ハリスンがカスタムのテレキャスターを演奏していた。ジミー・ペイジもレッド・ツェッペリンの名曲「Stairway to Heaven(邦題:天国への階段)」のソロで演奏した。

ストラトキャスターは1954年に登場し、60年以上経った今でもロック・バンドだけでなく、ほとんどの他のジャンルのグループにも主役として存在し続けてきた。今ではエリック・クラプトンのシグネチャー・ストラトキャスターやジェフ・ベック、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ジョン・メイヤー、バディ・ガイ、ロバート・クレイ、リッチー・ブラックモア、ケニー・ウェイン・シェパードにエンドースされたモデルも買うことができる。

ダイアー・ストレイツの「Sultans of Swing(邦題:悲しきサルタン)」で、もちろんあのマーク・ノップラーが演奏するオープニングを聴けば、すぐにストラトキャスターだとわかる。ギターの音色でそれは瞬時にわかるが、同時にマーク・ノップラーのようなギタリストでなければあのように見事にギターは歌ってくれないものだ。

エリック・クラプトンは、デレック&ザ・ドミノスのアルバム『Layla and Other Assorted Love Songs(邦題:いとしのレイラ)』でも愛称ブ‘ラウニー’と名付けたストラトキャスターを弾いていた。エリック・クラプトンは、1967年の5月にクリームのツアーしている際に、ロンドンの楽器店サウンド・シティでブラウニーを400ドルで購入した。ボディはアルダー、2トーンのサンバーストのフィニッシュ、メイプル製のネック、スカンク・ストライプのルーティング、そして黒のドットのインレイがある。1956年にシリアル番号12073で製作され、1970年のソロ・デビュー・アルバム『Eric Clapton』のカヴァーでそれを見ることができる。1999年の6月、自身が主宰するドラッグとアルコール依存の治療のための施設、クロスロード・センターの基金を募るため、ニューヨークのクリスティーズでその愛用のギターをオークションにかけた。ブラウニーは49万7500ドル(約5,400万円)で落札され、当時最も高価なギターとして取引されたが、のちに2004年にクラプトンのもう1台のお気に入りのギター、ブラッキーが95万9500ドル(約1億円)で落札され、自身でその記録を塗り替えた。ブラウニーは、ワシントン州シアトルのExperience Music Projectで見ることができる。


もう1曲フェンダーを象徴する曲が、ザ・ローリング・ストーンズの「Little Red Rooster」で、ブライアン・ジョーンズがテレキャスターを弾いている。そんなザ・ローリング・ストーンズが1981年にハンプトン・コロシアムでライヴを行いアンコールで「(I Can’t Get No) Satisfaction」を演奏した時にある事件が起こった。ミック・ジャガーがユニオン・ジャックと星条旗のケープをまとい、キース・リチャーズがリフを弾き、何百というカラフルなバルーンが天井から降ろされた時、1人のファンがステージに突進してきたのだ。

キース・リチャーズはそれをかわしたが、もう一度ファンが向かってきた時、彼は素早くフェンダーを外し、振りかざして男の頭を殴ったのだ。ファンは転がり、警備がステージからエスコートし、キース・リチャーズは何事もなかったかのようにそのまま演奏を続けた。そんな攻撃がありつつも、テレキャスターのチューニングが狂うことはなかったのだ。キース・リチャーズによると「あれでもチューニング狂わなかったんだぜ、フェンダーにとってこれ以上の宣伝はないよ」と。

フェンダーを祝福して60曲のプレイリストを下記にまとめたが、今まで述べてきた楽曲以外にもピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアのソロが印象的な「Comfortably Numb」、ジェイムス・ギャング時代のジョー・ウォルシュ、ジミ・ヘンドリックス、ディープ・パープル、ビーチ・ボーイズ、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ロビン・トロワーやジェフ・ベック、その他にもよく知られている曲も、そうでない曲も含まれる。このプレイリストにのせきれなかった、オススメの曲があれば是非教えてください。

(*本記事およびリストは本国uDiscovermusicの翻訳記事です)


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